大嫌いな空港で

 


 私は空港が嫌いだった。

 高校生の頃、初めてひとりで飛行機に乗った。
海外に住んでいたことのある祖母の勧めで、私は海外留学をすることになったのだ。
出発の日、不安と恐怖で叫びだしそうだった。
祖母の困ったような笑顔が見えなくなるほど、涙がぼろぼろ落ちてきたのを覚えている。
 それでも留学は楽しく、人間として成長できた日々を祖母に感謝した。

 でも、私が沢山の思い出を携え帰ってきたとき、
祖母はもういなかった。

 これが私の最初の旅の記憶。
それ以来、私は空港に行く度に泣きたくなった。
 



 あれから10年が経って、私はまた朝の空港にいる。隣にいる眠たそうな恋人と今は一緒に笑っている。
 空港は大切な人とのお別れの場所だった。
きっとこの先、また悲しい別れがあるだろう。涙を流すこともあるだろう。

 でもそれ以上に、旅は私に出会いを与えてくれる。

あのとき一緒に留学していた男の子と、私は結婚する。

おばあちゃん、私は空港が大好き。


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