ものづくりイノベーション特区SHIBAURA
ものづくりイノベーション特区SHIBAURA
こういった舟運の可能性を考える上で、もう一つ思うことはスタートアップ拠点との相性です。今、この人口減少、高齢化が起き、生産性の低下が嘆かれている日本においてイノベーションの必要性が大きく語られています。岸田総理も「スタートアップ育成5ヵ年計画」を発表して5年でスタートアップへの投資額を10倍の10兆円規模にすることを宣言しました。
そんな中、どうすればみんなが起業にチャレンジし、スタートアップエコシステムが盛り上がるようなカルチャーを日本に根付かせられるか、という議論が多くなされています。日本は失敗を恐れる、ロールモデルが少ない、長期的な投資がやりにくいなど、日本でスタートアップがイマイチ盛り上がりきらない原因を色々と分析されています。ただ、その原因の一つとして、単純に周りで起業している人に出会わない、そういった情報が入らない、環境をみたことがない、といったことから、その発想すら出ない人々が圧倒的、ということがあると思います。最近は色々なメディアで騒がれたり、あらゆるところにインキュベーションオフィスができたり、大学で起業サークルができたり、と少しずつ環境に変化はありますが、それでもまだ少数派だと思います。そこで、スタートアップが集まりたくなる都市環境をつくり、その地域に訪れた人々がインスパイアされ合うような場というものが都市に創れたらどうなるでしょうか?そのヒントは水辺にあると思っています。
現在色々な再開発の中にインキュベーションオフィスを設けることは流行っていて、様々な大規模開発、高層ビルの中にはそういったシェアオフィス的な施設が多くみられます。ただ、それは全て内側に隠れてしまっていて、新しく未来を築いていく技術や人材に人々が自然に出会い、ワクワクする環境にはなっていないと思います。
そこで提案したいのが「ものづくりイノベーション特区SHIBAURA」です。芝浦〜天王洲の間の運河地帯には多くの大学機能(東京工業大学や東京海洋大学)、ソニーやNTTといった大手起業、そして役目を終えようとしている倉庫街があります。そして、実は品川駅や高輪ゲートウェイ駅、田町駅といった主要駅からも近く、そこをぐるっと一周回るように運河が流れています。
この地区は水門でコントロールされていて、水も穏やかですので、先に示した大きなフェリーの舟運とは別に、そこから乗り継ぐ形で、この内側の運河をぐるぐる回るような小型自動運転プラットフォームが人々を移動させるというパーソナルモビリティのような水上交通の世界観が創れるかもしれません。(上記の赤いライン)
例えばこういった地区をイノベーション特区に制定して、この地域内でしたら道路や運河上は様々な規制が緩和され、自動運転など新しい技術の実証実験が自由にやれる環境を整備される。そこでは倉庫環境を利用して、様々な「ものづくりスタートアップ」が行政の補助の元安い賃料で色々なものづくりの試行錯誤を行なっている。周辺の大学や大手企業とも身近に情報交換する環境にあり、必要に合わせてコラボレーションが生まれている。運河と合わせて臨海部という特殊な環境が人々のインスピレーションを刺激し、そこでは拘りのレストランやカフェが並び、カッティングエッジなイベントが行われていたりする。そこに訪れる人は必ずしもスタートアップ関係者である必要はなく、多様な人々が集まる新しい東京の人気スポットになると同時に、そういった都市アメニティを満喫する中で、自然とものづくりスタートアップ環境に身近に触れ、いつしか自分もその一員になりたくなる。
そんな環境が想像されないでしょうか?少なくとも僕は、そんな場所があったらめちゃめちゃ遊びに行きたいと思います。
シリコンバレーがスタートアップの創造基地になっていると言いますが、実際の環境は多様な企業が乱立すつつも、基本的にはクルマ社会のど真ん中にあるような環境で、この東京の臨海部の方が圧倒的に魅力的な環境が創れるのではないでしょうか?
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