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「東京B-LINE構想」東京の舟運が動き出したが!?(3)〜東京B-LINE構想路線マップ



東京B-LINE構想路線マップ

それでは、その公共交通として舟運が位置付けられた東京はどんな姿なのか?それを議論する上でも一度仮説的に路線図を描いてみたいと思います。
それが以下の「東京B-LINE想定路線マップ」です。

東京B-LINE路線マップ

如何ですか?だいぶリアルに想像ができませんか?
これは観光というより、バス路線や地下鉄路線と同等。品川に新幹線で着いた人がさっと羽田空港に行ったり、江東区や墨田区に住む人が船で日本橋に通勤したり、お台場へのアクセスが良くなったり、更にはディスニーランドにまで船で行けちゃいます。

こうすると今までイマイチ開発の起きなかった聖路加や浜町、東陽町のような場所が、舟運という新しい公共交通の駅近という好立地を得ることによって一気に日の目を見る可能性が出てきます。先述したように、それが正にニューヨークの川沿いで起きたことです。

例えばお台場は今まで陸からのアクセスばかりを考えて、肝心な海沿いは真っ暗でした。それが海からアクセスする街になった瞬間にこれだけ姿を変える可能性があります。

肝心な海沿いが真っ暗なお台場の現状
海からアクセスするようになったお台場のポテンシャル

仮説路線マップの検証

こういったまずは仮説的な路線マップを描いた上で、実際にその各地点における乗客の需要予測、ネットワークの需要予測、物理的な実現可能性、需要予測と合わせた運行頻度の検証、それを実現させるために必要な船の数、そのコスト等の分析を行い、仮説路線マップを精査していく必要があります。そしてその中で、その舟運事業者をどのように選定するか、どういったフェーズで拡張していくかを計画し、その最終ビジョンと合わせて部分的な社会実験から始めて行く、というプロセスが大事だと思います。

また、その運賃の料金設定はその他の公共交通と同程度にすることが肝であり、そうすることによって並列に選んでくれるようになり、観光でなく日常の公共交通機関としての認識が浸透するかと思います。その実現に向けて、最初はある一定以上の行政の助成金の投与は必要かと思いますが、長期的には運賃以外の収益をどのように設計して、その割合を減らして行くまで考える必要があります。

そしてもっと大事なことに、このプロジェクトを舟運だけの収支で考えずにその新しい公共交通の整備による都市への波及効果も同時に考慮していく必要があると思います。この水上交通の整備により今まで公共サービスが行き届いていなかった地域にサービスが行き届くようになることによって人口が増加したりお店が増えたり、開発が起きたりする。そのことによる経済効果と税収の増加も考慮して計画すれば、十分に採算の取れるスキームが描けるかと思います。

ニューヨークフェリーでの仮説検証プロセス

これらの一連のスタディは実はニューヨークの舟運においても行っており、2009年の仮説検証スタディを皮切りに、2011に社会実験の開始、2013年に社会実験の評価検証、そして2017年から正式にニューヨークフェリーシステムのサービスが開始され、毎年レビューを繰り返しながら路線の拡大、サービスの向上を行っています。そして2022年には行政からの助成金を削減すべく、アプリのAPI公開や広告収入、観光客に対する料金体系の変更等様々な工夫が導入されました。

NYCフェリー:35の候補地から各検証を丁寧に行い11箇所までフェリーの駅を絞った
NYCフェリーの様々なルートの検証
2022年現在のNYCフェリーの路線図
新しい収入源として船の中でビールが飲めたり、新商品のプロモーションに貸し出されたりする。
興味深いことにNYCフェリーの細かい歳入、支出、助成金の出所まで全て一般公開されている。

このような検証は一度東京でも行う価値があるのではないでしょうか?
もう少し戦略的に長期的なビジョンを丁寧にスタディし、そのビジョンをしっかりと提示した上で社会実験や船着場の整理、新しい船着場の設置による優遇措置などを考えるべきではないでしょうか?

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