[日本企業調査レポート(3)] 帝人
に続く、日本企業調査レポートの3本目。
3社目に選んだのは、帝人。
大阪に本社がある老舗の合成繊維メーカー。
昨日、経営方針説明会に参加してきたので、その中からいくつか「おおっ」と思ったトピックをピックアップします。
説明は内川CEO。朴訥とした印象の方でしたね(もちろんいい意味)。説明会資料は帝人のWebページにも載っています。
ちなみに私はリーマンショック(2008年9月)よりも前にこの会社の株を買っているので、もうかれこれ15年以上株主をやっているわけですが。
いい会社なんですが、おカネもうけがヘタというかなんというか。😅
説明会で内川CEOも言っていましたが、どーんと右肩上がりの目標をかかげて目標未達、ということを繰り返してきた、と。15年もこの会社をナマあたたかい目で見守ってきた私も「確かになあ」と思っちゃったのですが、某N産自動車のように社長が暴走して会社を私物化して有価証券報告書にウソを書いたりとか、某T芝のように「ちゃれんじ」の名のもとに粉飾決算したりだとか、そういう悪さとは無縁の誠実な感じの会社なので、その点は安心しています。「できの悪い子ほどかわいい」みたいな心境と言ったらいいでしょうか。
もっとも「できが悪い」といっても実直だけど「おカネもうけがヘタ」「不器用」だからかわいいのであって、N産自動車は嘘吐きだからかわいくないです😤
上のグラフからも分かるように、売上は伸び悩み8,000億円前後をうろちょろ、当期利益は頻繁にマイナスに転じています。
と、そんな会社が、わざわざ大阪から東京にやってきて開いてくれた経営方針説明会。その中から3つ、トピックを選びました。
経営方針説明会トピック
アラミド繊維がアツイ!
アラミド繊維は強度、耐久性、耐熱性に優れた高機能繊維で、帝人がシェアトップです。
現在の用途は消防士さんが使う消防服とか、レーシングスーツ、防弾チョッキとか。
一定の需要は確実にあるけど、使う人は極めて限定的だから、そんなに儲かる感じではありませんね。
このアラミド繊維、その軽さと強度と耐久性から大陸間で電気を融通する海底電力ケーブルの補強材として有望な素材で。しかも2024年時点でのケーブル長は650kmですが、2040年には16,700kmになると予想されています(年平均成長率24%!)
ということは、目論見通りに改訂電力ケーブルの敷設が進めば、10年後、15年後の帝人の株価は・・・と、話を聞きながら捕らぬ狸の皮算用をしました。😍😍😍
熱マネジメント
今流行りの生成AIは莫大な電力を食う・・・ということで、データセンター需要が高まっていますが、データセンターに設置される高性能コンピュータというのはとんでもない熱を出します。その廃熱処理が非常に重要であり、帝人は素材メーカーの立場からこの分野に食い込もうとしているようです。具体的な話はなかったのは残念でしたが、トレンドに乗るのは重要。アメリカの古き良き時代、ゴールドラッシュの時にいちばん儲かったのは、ゴールドラッシュで金脈掘り当てようとした人ではなくて、その人たちにツルハシ🔨を提供した会社でした。トレンドに乗って、脇役で目立たずこっそり稼ぐ。これがいちばんオイシイ。😋
在宅人工透析
帝人のヘルスケア事業では創薬もしていますが、在宅医療向けサービスも展開しています。呼吸困難な患者さん向けの機器をレンタルし、メンテナンスなどの継続的サポートを提供する、というサービス。
で、今回の経営方針説明会で話題にあがったのが在宅人工透析。確かにこれを自宅でできたらかなりQuality of Lifeは改善しそう。でも、過去に帝人がこれに挑戦した時は、10年以上かけたけど認可が下りなかったそう。でも諦めたわけではなく、今は腹膜透析の在宅医療サービスを提供できないかと模索しているということでした。
人工透析なんてやらずに一生を終えられるのがいちばんいいんですけど、もし必要になってしまったとしても自宅でできれば多少は救われると思うので、ぜひとも事業化してほしいです。
在宅人工透析、腹膜透析については
https://www.tmghig.jp/hospital/about/efforts/itodenwa/cms_upload/150.pdf
にある説明が分かりやすかったです。
質疑応答
説明は内川CEOでしたが、質疑応答への回答には森山専務も参加。1時間30分(予定では1時間)の説明会に代表権を持つ役員が2人とも参加、となかなかの力の入れっぷりでした。
株価水準
24年9月20日(金)時点で株価は1,409.5円(終値)。
25年3月期の純利益予想を開示していないためPERは計算不能。PBRは0.64倍(1倍割れ!)、配当利回りは2.13%。10年チャートを見ても分かる通り、株価は1,300円前後を低迷中。
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