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シールド回転アームを作ってみた感想

 サムネイル画像はシールド回転機の脚機構のレイアウトです、びりーです。本記事はかわロボでシールド回転アームを初めて作ってみたい、と考えている人向けです。
 筆者はこれまでロッドやシールドなどの有限回転アームの機体を主に製作していました。今回は高回転タイプのシールド回転アームを初めて製作して、運用した感想を書きます。


シールド回転アームを作製した目的

 シールド回転アームの弱点を探るために製作しました。2022年の本大会に出場した際に決勝トーナメントで当たったシールド回転アームの「シルシル」に負けたのが悔しかったんです。

そもそもシールド回転アームって?

 図1が実際に製作した機体「Full Noise」です。アングルみたいな形状のアームがぐるぐる回転します。モーターは6発でギヤ比は1桁台のトルク低めで回転数重視の設計です。回転数を測定したことはありませんが、うちの機体は2000~3000RPMくらいでてそうです。プロペラレシプロ飛行機のような音を立ててアームが回転します。友達のiphoneのスローモーション映像には、回転中のアームは映りませんでした。

図1-1 斜め横から
図1-2 アームアップ

 かわロボ機体の中でリーチは最短クラスですが、威力は最大クラスです。一撃入れるとほぼ勝ちですが、自分より大きなリーチを持つ機体に突っ込む必要があります。またアームにトルクがないため、この機体はアームで転倒復帰できず、転倒復帰用の機構も積んでいません。転倒したら10秒以下で相手を倒す必要があります。

試合で狙った動き方

 機体のコンセプトが「スタートダッシュで最大火力を叩き込む」でしたので、最初のうちはひたすらスタートで突っ込み続けました。(操縦初心者すぎてこれしかできなかったのは内緒。)
 ですが、流石にこれだけでは勝率はあがりません。そもそも転倒スタートの上手い人はこちらのダッシュが間に合いません。転倒スタートしてからでも、しっかりアーム先端をこちらに向けてきます。そもそもスタートダッシュが効果的になりにくい小型機はどう対処するつもりなんだと。
 なのでスタートダッシュで突っ込む以外に4種類の勝ちパターンを想定していました。

①相手のカウンターめがけて突っ込む
②フェイントを入れて相手のアームを上げさせてから突っ込む
③追いかけっこ中に反転ターンして突っ込む
④山を挟んで機体を左右に振ってからスキをみて突っ込む
 
 シールド回転アームなのでアームを地面にベタ付けできません。うちの機体「Full Noise」はアームと地面とのすき間が30mm前後あります。なので、相手のアームがフィールドから浮いた状態を脚の操作で作る必要がありました。
 ①は1本タイプのロングロッドやミドルロッド相手で狙いました。十字山とアームの隙間をすり抜けてカウンターに突っ込みます。ただし2本タイプのロングロッドでかつロッドの間隔が広い機体(某楽器シリーズ、某神皇シリーズ)だと、すり抜ける隙間が狭くなってやりにくい。
 ②は正面から相手にギリギリまで近づいて、相手のアームが上がる瞬間に後進しかわしてから突っ込みます。どんな機体相手でも使いやすい手段だけど、うまい人ほど引っかかってくれない。
 ③は追いかけられている最中に、わざと相手を背後に近づけてから反転して浮いたアームに突っ込みます。ギリギリを責めるほど効果が高いので度胸が試されます。
 ④は他チームのシールド機でやっているのを見ます。相手のミス待ちになるのでこちらが死ぬほど滑らかに動き続ける必要があります。上手い人は2分間ずっと滑らかに頭を振り続けます。

シールド回転アームがいいなと思うポイント3選

 シールド回転アームがいいな思うポイントは次の3つです。

①アームの威力すごい
②アーム先端の位置を考えなくていいの楽
③射程距離の極小さい機体でインファイト仕掛けるの楽しい

 ①補足:一撃入れるとほぼ試合が決まるアームの威力はやはり魅力的です。

 ②補足:シールドアームは先端が引っ掛からないように少し上げたり、投げ飛ばす前に下げたりとアーム先端の位置調整が大変です。対して、シールド回転アームはアーム回して突っ込めというさっぱりとした操縦ができます。

 ③補足:リーチのある機体のアームを掻い潜って突っ込めたときはめちゃめちゃ楽しいです。相手と接触してアームを動かせなくなるときもありますが、こちらが相手の下に入り込んで相手の脚が少し浮いた状態になるので、脚で場外まで押し込むことができます。

シールド回転アームがしんどいポイント3選

 逆にしんどいと思うポイントは次の3つです。

①練習する場所が限られる
②脚がよくないとただの危ない扇風機
③安全性の確保に気を使う

 ①補足:アームの威力は魅力的ですが、練習会で本気で回しすぎると相手がいなくなります(フル回転の自分を自分でも相手したくない)。自宅での動作チェックは轟音で近所迷惑になりますし、床も傷つけかねません。そもそもフィールド上でも障害物を傷つけるリスクがあります。練習会では回転数を抑えめにして、本大会でのみフル回転させてました。なのでフル回転したアームを使う練習が限られるため、力業で相手のアームを引きはがすなどの手段を練習できずにいました。(力技をぶつける相手も自分で用意すればいいのでは?)

 ②補足:リーチの短さを脚の動きでカバーする機体なので、脚が遅いとただの危ない扇風機にしかならないです。機体の脚の速さとドラテクの良さの両方がないと、試合をすることすらままならないでしょう。

 ③補足:アームをフル回転するとアホほど電流を食うので、配線を含む電装がかなり熱を持ちます。アンプやバッテリーの破損を防止するため、シールドアームよりも試合後の熱のチェックは頻繁にしていました。機体の整備もかなり気を使いました。特にアーム回りのねじの緩みのチェックは頻繁に行っていました。多少ねじが緩んでも問題ないように設計はしていましたが、アームの回転中にねじが飛んでいくのはM3でも恐ろしい。あとはフィールドの破損のリスク、暴走したときのリスクなどなど配慮することはたくさんあります。試合中になんらかの原因で機体が崩壊して、ケガが起きてしまうことはあってはなりません。

相手をしたくないランキング

第1位:ガン待ちロッド全般
第2位:地面とべったりつけられるタイプのシールド機
第3位:押し出しシールド

第1位補足:うまいガン待ちロッドが一番相手にしたくありませんでした。スタートダッシュには間に合わせてくるし、フェイント入れてもアームを上げてくれないし、左右に振ってもきっちり合わせてくるし、追いかけっこにもならないし……逆に少しでもスタートに手間取ってくれるとこちらは楽。

第2位補足:図2はうちのシールド機「Dragon Lady S.」です。図2のようにシールドの先端の幅が機体と同じくらい広いタイプは相手にしたくありませんでした。他チームだと某Le○pardさんです。よく見る図3のようなシールドも地味にいやでした。シールドを地面にベタ付けにされると、安易に攻撃できないので……逆に図4のようになだらかに斜めになっていて、先端の幅が短いシールドになると少し楽。先端だけ避けて斜めになった隙間を狙いに行きます。

図2 先端が幅広のアーム
図3 フィールドにベタ付けできるシールド
図3 なだらかな傾斜のシールド(手前)

第3位補足:大体第2位と同じ理由でやりにくいです。こちらは個体数が少ないので、経験値を獲得しにくいというやっかいさもあります。

 この3種類に比べるとまだ横回転のほうがやりようがあります。横回転はアームを地面とベタ付けにできないので、アームをはじくことができます。とはいってもデスロールは怖いので、横回転と当たったときはカウンター側をはじきに行きました。

まとめ

①アームの威力すごい
②アーム先端の位置を考えなくていいの楽
③射程距離の極小さい機体でインファイト仕掛けるの楽しい
④練習する場所が限られる
⑤脚がよくないとただの危ない扇風機(脚の速さ、ドラテクが必要)
⑥安全性の確保に気を使う

終わりに

 今後、「Full Noise」の後継機を作る際にはモーター4発のギヤ比2桁台のマイルドな設計にすると思います。モーター6発でギヤ比1桁台の設計は、同じシールド回転アームを相手にするときに効果を発揮します。これは同族同士の戦いではアームの回転数が高いほうが有利になるためです。しかし、他のタイプのアームと練習するときのことを考えると、マイルドな設計のほうが扱いやすいと考えています。安全に気楽に試合が楽しめます。他の部分に重量も回せます。

 シールド回転アームを製作して、運用した感想でした。あくまで自分個人の感想です。同じ機体でもドライバーが変わるとまた違った感想になるでしょう。ただ、安全面に関して特段の配慮をしなければならないのはどのドライバーも同じです。何度も言いますが、会場でケガが起きてしまうことは絶対にあってはなりません。

 そもそも来年のルール変更次第では、同様の高回転アームは出場できないかもしれません。本記事は初めてシールド回転アームを製作したい人向けに書きましたが、どこまで有効な情報として残るのかはわかりません……まあ、ルールが変わったらそのとき考えることにしましょう。ではでは

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