意味が分かると怖い広告
「意味が分かると怖い話」という物語のジャンルがあります。その中でも下記の「井戸」という話が有名で、おそらくご存知の方も多いと思います。
ある日、泣き声がしゃくに障ったので妹を殺した、死体は井戸に捨てた
次の日見に行くと死体は消えていた
5年後、些細なけんかで友達を殺した、死体は井戸に捨てた
次の日見に行くと死体は消えていた
10年後、酔った勢いで孕ませてしまった女を殺した、死体は井戸に捨てた
次の日見に行くと死体は消えていた
15年後、嫌な上司を殺した、死体は井戸に捨てた
次の日見に行くと死体は消えていた
20年後、介護が必要になった母が邪魔なので殺した、死体は井戸に捨てた
次の日見に行くと死体は消えていなかった
次の日も、次の日も死体はそのままだった
一応解説すると、それぞれの死体はひとりでに消えていたわけでは勿論ありません。何者かが夜な夜な死体を処理していたということになりますが、母親の死体だけは誰も処理をしなかった。つまり、犯人の知らぬ間に死体を処理していたのは、実は自分の母親だったというオチですね。
今回は「意味が分かると怖い話」のように、パッと見ただけでは意味が分からない(分かりづらい)が、その背景を理解すると背筋がゾッとする、そんな「意味が分かると怖い広告」を集めてみました。
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1. Mariamの身長が突然低くなった理由
▶︎ Case|International Society for Human Rights(ISHR)
国際人権団体ISHRによる啓蒙広告。これは、Mariamという子どもの「身長」を年齢ごとに壁に刻み込んだもの。6歳、7歳と年を追うごとに順調に背が伸びていますが、なぜか8歳のときに突然身長が低くなっています。
そして最後には以下のコピーが書かれています。
About 50 percent of all landmine victims are children.
(地雷被害者の約半数は、子どもです。)
つまり、Mariamが8歳のときに地雷で足を吹き飛ばされ、7歳のときよりも身長が低くなってしまったことを意味していたのです。
2. 不自然に空席が残されたままのポートレイト
▶︎ Case|Catholic international development charity(CAFOD)
これは"Lost Family Portrait(失われた家族のポートレイト)"と題された、シリア内戦で家族を失った人々のポートレイトです。
本来一緒に写るはずだった両親や配偶者、子どもたちの席が空席のまま残された状態になっています。これらの写真は実際にカトリック海外開発機関(CAFOD)の広告となり、世界中で大きな反響を呼びました。
3. 子どもたちの笑顔の裏に隠された"Shot by"の意味
▶︎ Case|The Coalition to Stop Gun Violence(CSGV)
無垢な笑顔の子どもたちの写真。以下の有名なAppleのシリーズ広告"Shot on iPhone(iPhoneで撮影)"と同じようなレイアウトですが、書いてあるコピーが少し異なります。
"Shot by..."に続く「Colt 1911」「Beretta 9」「Glock 17」などは実在する銃の名称で、写真に写っているのは、銃で撃たれた罪のない子どもたちでした。アメリカのNPO団体「銃暴力阻止連盟(CSGV)」の啓蒙広告。
4. 自分以外が背を向けている奇妙な記念写真
▶︎ Case|Instituto Alzheimer Brasil(IAB)
誕生日会や結婚式などのかけがえのない思い出を切り取った記念写真の数々。しかしそのどれも、自分以外の全員が背を向けていて顔がわかりません。ブラジルのアルツハイマー患者支援団体IABの啓蒙広告でした。
"It's not easy when your memory turns against you."
(自分の記憶に見放されるのは、不安でしかない。)
5. 芸術作品のように飾られる衰弱した子どもたちの写真
▶︎ Case|Museo Del Holocausto
まるで芸術作品のように額縁に入れられ飾られている、痩せ細った子どもたちの写真。彼らはアウシュヴィッツで人体実験を繰り返していたヨーゼフ・メンゲレの犠牲者でした。
ここには芸術作品などただの一つも無いということを伝える、アルゼンチンのホロコースト博物館の広告。
"Un museo, nada de arte."
(芸術作品のない博物館。)
6. 屋上に佇む、顔のない84体の彫刻たち
▶︎ Case|CALM's 'Project 84'
イギリスでは毎週、84人もの男性が自殺している――。
このショッキングな事実を伝えるため、CALMが実施した"Project 84"という施策。TV局のビル屋上に設置された顔の無い84体の彫刻、これらは実際に自殺した84人の男性をモデルに制作されたものでした。
なお、英国の45歳未満男性の死因第一位は自殺だということです。
7. 人名が「月名」となっているカレンダー
▶︎ Case|Iziko South African Museum
南アフリカにおける奴隷制度は、1834年の奴隷制廃止により崩壊。当時一部の奴隷達は名前を剥奪され、October(10月)やDecember(12月)といった月名で呼ばれていましたが、子孫達は現在も“Paul October”や“Regina December”のようにその名を受け継いでいます。
イジコ博物館は彼らの本名を月別に冠した「奴隷カレンダー」を制作し、その衝撃的な事実を同国民へ啓蒙しました。
8. 囚人服を着た子どもと黒ずくめの両親
▶︎ Case|Save the Children
父親と母親の隣で、オレンジ色の囚人服を着せられたまま地面に跪くよう強制される子どもたち。左上にはこんなコピーが書かれています。
"Domestic violence kills more children than terrorism."
(家庭内暴力は、テロよりも多くの子どもたちを殺す。)
まるでイスラム国の処刑ビデオを彷彿とさせる、国際児童支援団体「Save the Children」のショッキングな啓蒙広告。
9. 未来から過去の自分へと連鎖する罵声と暴力
▶︎ Case|Save the Children
父親や母親と思しき人物が、凄まじい剣幕で幼い我が子を怒鳴りつけている。その周りを取り囲んでいるのは、大人へと成長していく未来の自分。しかし最後に行き着いた先は、自らを虐待していた両親の姿だった。
虐待が連鎖する様子を描いた国際児童支援団体「Save the Children」の啓蒙広告。
10. 子どもたちが残した不自然な落書き
▶︎ Case|ABS-CBN Foundation
これらのイラストは性的虐待を受けていた子どもたちが実際に描いたもので、男性器と思しきものを口に咥えている描写など、非常にショッキングな内容が続きます。
フィリピンで児童支援を行うABS-CBN基金はこれらの絵を広告内に用いることで、イラストを描かせることが性的虐待の発見に繋がることを訴えました。