Japan Sales Collection 2023
さきほどセレブリックス様主催の #JSC2023 Day1が終了しました。光栄なことに審査員として参加させていただきましたので記憶の限り、極めて個人的な見解をメモとして残させていただきます。ポイントは書いてありますが具体的な数値や図はありませんので気になる方はアーカイブ配信を見てみてくださいね。
注意:記憶したものを書いていますので少し間違っている部分もあるかもしれませんのであくまで個人のメモとしてお読みください。
#JSC2023 は2日間開催で今日はDay1でした。Day1は「企業対抗 営業コンテスト」と題して各企業の営業に関する仕組み化を競うプレゼン大会です。
書類選考を通過した5社が予選を行いそこから選ばれた3社が本日の決勝戦に登場しました。※詳細は上記のページからご確認ください。
こんな方読んでほしい
こんな用途で読んでほしい
1社目 RevComm様「BPO活用により限られた人数で案件を最大化」
多くの企業によって人的リソースの確保は大きな問題になっています。特にインサイドセールスのような新しい職種の場合、求人の増加もあり採用と育成が間に合わないケースも存在しています。
RevComm社も同様にインバウンドだけではなくアウトバウンドでの顧客開拓を実行していくにあたりリソース不足に直面しました。当時は今回登壇されている瀬河さん1名の体制でスタートし、すぐにその課題が顕在化。そこでBPOという手段を選択しますが、いくつかの課題を抱えていました。
そこでRevComm社では自社プロダクトのMiiTelを活用しこの課題をクリアしていきます。ポイントを個人的な目線でまとめてみます。
効果
・MiiTelを使い通話を可視化。商談獲得までのプロセスを分解しつまずいている部分を明らかにすることで改善を進めた。
・複数社で同時に同じプロセス改善を進め、その結果を各社に共有し改善の
スピードを飛躍的に伸ばした。
・失敗事例のサンプルが集まったことでより的確な回答例を事前に展開できるようになった。
副次的効果
・プロセスを評価できるようになったことで成果でしかコミュニケーションできなかったBPO先との連携が深くなった。
・BPO先のメンバー育成が進み成果が安定するようになった。
・同じデータを社内に共有することで社内教育にも良い影響があった。
まとめ
成果で競ってもらうことでより成果を出してもらう、基本的には成果で判断、情報共有はしない、育成は先方の責任、というイメージが少なからずあるBPOに対して、テクノロジーを使いながらも本質的なパートナーシップを組むことで成果を最大化した事例だと感じました。
私もよく「BPOのプロジェクトを成功させたいのであれば自分のチームのように接することが最大のポイント」とよくお伝えさせてもらっています。それを気持ちやスタンスだけではなく、テクノロジーと仕組みを使って成果に結びつけた好事例だと思います。詳細が気になる方はぜひアーカイブ配信を見てみてください。
2社目 coco様「1人あたりの受注額を◯◯倍にしたスクラムセールス」
皆さんの事業は分業スタイルですか?現在、多くのSaaS企業で採用されているであろう分業モデル。その課題を解決したのがスクラムセールスというcoco社の新しいアプローチです。
端的に説明すると「ISもFSもCSMもすべて一人でやってしまおう」という役割の話と「そのために必要な教育を半自動で実行する」という教育の話、そして「お客様は作業を代行するよりツールを使いこなした方が幸せだ」という思想とそれを実現するオペレーションの話です。
役割の話
分業することの問題点としてどこかに不具合が発生した場合のリソースアロケーションが難しいという点です。例えばリードが不足するとISが暇になる、するとFSも暇になるがCSだけ忙しいといった状況が発生した場合に、簡単に異動させるわけにもいかないのでなんとかその場を凌ぐことになるのですが…といった状況です。coco社ではリード対応から商談対応、お客様のフォローまで1人が行いますので、週単位、もっというと日単位でも人員配置を変更することができます。
教育の話
ひとりで何でも対応できるようになるなんてさぞ教育が大変だろうと思いますよね。しかしcoco社ではオンボーディングが半自動で人が担当することなく完了します。それは業務のすべてが動画やテキストの資料に落ちており、かつテストまでセットになっています。入社すると同時にその資料が共有され自分で学び、回答し、合格できたら現場の支援が入るフローが組み込まれているのでそこまで人の手がかかることはほとんどありません。
そして現場にでるとSFAの項目が連動しており、各種アクションのToDoもれや商談の事前準備などがすべて可視化、管理されておりスキルの平準化がツールと人のサポートによって実現されているのです。これで課題となる教育にかかる多大なリソースや平準化がクリアされていました。
思想の話
もちろん全員で対応する以上サポート品質にばらつきがあってはいけませんし、担当しか回答できないという状況を作ってはいけません。そこでそもそもサポートについても誰でも対応できる仕組みと回答が用意されています。とはいえお客様から「直接教えてほしい」「いつもの人に聞きたい」「作業代行してほしい」という要望があると思うのですが、coco社は意思をもって対応していません。
それは「お客様が本当に幸せな状態はツールを自身で使いこなしている状態であるはずだ」という強い信念があるからです。確かに言われてみれば自身で使いこなせることが最も時間もストレスも低い状態ですよね。
ここまでの説明をきいていて私が思ったことは「coco社はセールスやサポート組織もエンジニアのような世界観で作っているんだ」ということです。エンジニアはとにかくドキュメントに落とす文化、二度同じことをしない文化、非同期コミュニケーションで業務を効率化する文化、などがあると思っていますがcoco社はそれらをすべて実行していると感じました。
また、セールスやCSMはどうしても目の前にいるお客様に最大限の思いを持って接していると思うのですが、それが常に最適な未来を作るとは限りません。「カスタマーファーストよりもイシューファースト」という言葉が好きなのですが、お客様がなにを要望しているかではなく、お客様のもっている課題をどうすれば解決できるのか。そこにすべての判断の軸があり、それを実現しようとしているのがcoco社なのだと思います。
効果
具体的なことはかけていませんので気になる方はぜひアーカイブをご覧になってみてください。実際のプレゼンと資料はかなり詳細に書いてあります。
3社目 dip様「CRM利用率を99.9%にした自社CRMによる営業DX」
CRMの利用率99.9%。使ったことがある方ならこれがどれだけ以上な数値かわかっていただけると思います。しかも専門のベンダーではなく自社内のDXプロジェクトとして発足した内製の物語です。
これまでdip社ではCRMを7度導入しすべて思ったような成果には結びついていませんでした。なぜ使われないのか、それは機能が多すぎるわりに自分たちに使うほどのメリットがないから、という結論に至ります。そんな折に社長から「テクノロジーで社内のDX化をしてほしい」という命が下りこのプロジェクトが発足します。通常であればツールを探し、世の中の情報を集め、とにかく生産性をあげようというアプローチになってしまいがちですが、大平さんのアプローチはそうではありませんでした。
※個人的な見解での補足
社内の生産性を上げてほしいという依頼の背景にはdip社がこれまで成果を出してきたファネルが因数分解されていて「営業の行動量が上がる」「新規商談が増える」「接点数や接触回数が増える」といったなにか行動指標、中間指標を向上させてることができれば売上/利益につながるという算段があったのだと推測しております。
大平さんのアプローチ
・現場に徹底的に張り付いて課題を特定する
・業務や飲み会まで参加し解像度を上げる
・実際にプロダクトを最小単位で作りながら磨いていく
・現場に少しずつ広げて理解を得る
・現場にある程度浸透したらトップへ交渉し一斉展開
・目標を設定しそこに向けて展開を加速する
これは社内プロジェクトとはいえ、まるで新規事業をつくるときのようなアプローチです。どの工程も徹底度合いが素晴らしく、大平さんのやり抜く力とそれに協力して改革をしようという組織の素晴らしさを感じました。
とくに最初の課題の特定。新卒2年目の営業「佐口くん」が登場するのですが彼が困っていることを寄り添いながら特定していきます。最終的に行き着いたのは「開拓したいお客様リストの精査と抽出」に時間がかかっているというポイントでした。使われるようにするためには最低限の機能を実装してとにかく使いやすいものを作ろうという思いでプロトタイプの制作に取り掛かります。
というエピソードをすべて書いているとそれだけで5万字くらいになってしまうので気になる方はぜひアーカイブをご覧になってください。
効果
この事例は社内改革の正しいやり方を教えてくれている事例だと感じました。アプローチから巻き込み方、スモールスタートで効果を出してからの横展開、そして欲張らずに最低限の機能での課題解決などがポイントですが、2,000人規模での大改革は障壁やハードルがあり頓挫してしまうプロジェクトもたくさんあるはずです。ぜひこの事例を参考していただき社内改革を進めていっていただきたいと思います。
まとめ
前回の #JSC2022 では対お客様に対するテクニックやアプローチが多く登場し、その中からクラウドサインチームのコミュニティセールスが選ばれました。それに対して今回は社内の業務プロセス改革という違ったテーマになったと感じています。冒頭で主催の今井さんから「セールスはクリエイティブな仕事です」とご紹介がありましたがそれを強く感じる1日目でした。
各社の状況はもちろん企業規模やビジネスモデルも全く違います。それでも共通していたのは「もっと良い方法は無いのか」というあくなき探究心だと思います。どんな仕事も事業も歴史も本気で変えてやろうと思った人が変えてきました。つまりセールスをクリエイティブなものにするかどうか、は我々一人ひとりの考え方ひとつなのかもしれません。
というそれっぽいまとめて個人のメモを締めくくりたいと思います。繰り返しになりますが興味をもったらぜひ実際の動画を見てみてください。それが学びを深める最高の方法だと思います。
しげの