短所を鍛えるか、長所を鍛えるか
自分自身も悩んできたことですし、果たしてこれに答えはあるのかわかりませんが、自分なりの解をつらつらと書いていきたいと思います。
こんな方に読んでほしい
・20代前半の方々
・これから就活を控えている、就活している方々
・転職を考えたり、転職活動している方々
【結論】長所を伸ばすために、短所を鍛える
尊敬してやまない野村克也さん(以降、愛を込めてノムさんと書きます)がこんな言葉を残しています。
ノムさんは優秀なキャッチャーというイメージをお持ちの方も多いと思いますが、ホームラン王を9回獲得し、日本プロ野球史上7人しか達成していない三冠王を獲得するなど日本を代表する打撃成績を残した方でもあります。
そんなノムさんもプロに入ってすぐに壁にぶつかります。それは「カーブが打てない」という壁です。ストレートにはめっぽう強かったノムさんですが、変化球に弱くその弱点をつかれてしまいます。するとストレートの対応にも精細を欠き打撃が振るわなくなってしまいます。
そこでノムさんはカーブに対応するために研究をはじめ、それを克服することによって本来の打撃を取り戻した結果657本ものホームランを放ち、三冠王を獲得するに至ったのです。その経験からノムさんは「長所を活かすために短所を鍛えるべきだ」とおっしゃるようになりました。
長所を伸ばすというポイントは同じ
長所か短所かという話ではなく、総じて長所を伸ばしていくことが良いと発信されている方が多いように思います。これはスポーツでもビジネスでもプロダクト開発でも言えることだと思います。キャリアを考えるうえでもスペシャリティを獲得する、それをオリジナリティまで昇華させることはとても重要であり、意識されている方も多いと思います。
問題なのはそのスペシャリティを極端な短所があると阻害してしまう可能性があるということです。先のノムさんの例がまさにですがビジネスパーソンにおいても苦手なこと、短所と呼べるようなものが存在すると思います。これまで以上に個人としての生き方、能力が試される現代においてこのあたりを整理し、自身の価値を最大化することからはもう逃げられないのではないでしょうか。
まずやるべきは自分を知ること
ノムさんの言葉にもある通り「まずはおのれの短所と弱点をしる」ことからはじめるのが最良だと考えます。自分を知る方法はいくつかありますが例を以下に列挙してみます。
・ストレングスファインダーなどの診断系ツール
・まずはやってみる、やらないとわからないことは多い
・指摘してくれる人をみつける
ストレングスファインダー
ストレングスファインダー®とは、米国ギャラップ社の開発したオンライン「才能診断」ツールであり、 Webサイト上で177個の質問に答えることで、自分の才能(=強みの元)が34の要素によって導き出されます。例えば私であれば一番上にくるのは”コミュニケーション”です。なんとなくわかりますよねw 説明のために私の上位5つを書いてみます。
・コミュニケーション
・達成欲
・社交性
・学習欲
・個別性
これが強い、ここに無いものが弱いということではなくこれらの要素が良くも悪くも発揮されるということです。それを理解するためにここから更に深堀りしていきます。ポイントはバルコニー(良い方向に働く)とベースメント(悪い方向に働く)は同じ要素から生まれるということです。具体的な例を示していきます。
問 これらの要素が発揮された良い事例を教えてください。
解 コミュニケーションによって関係者との関係構築を図り問題を解決した。
問 これらの要素が発揮された悪い事例を教えてください。
解 コミュニケーションでの問題解決が定常化し戦略的思考を疎かにした。
このようにバルコニーとベースメントは違う要素から発揮されるものではなく、同じ要素から発揮されてしまうということです。そういった意味でストレングスファインダーは自分を知るツールとしてとても秀逸だと思います。
※育成はもちろんチームビルディングにもおすすめです。
参考:書籍購入すると診断することができます。
まずはやってみる、やってみないとわからない
言われてみれば当たり前なのですが、経験したことのないことは得手も不得手もわかりませんし、自分の能力開発に生きるかどうかもわかりません。色々なところで話していますが、私自身も前職でインサイドセールス配属と聞いて正直負の感情からスタートしています。(現在のように認知がなく理解できいなかった部分が大きいです。)
しかしやってみると自分のスキルとの相性や能力開発されていく実感、そして成果につながった経験から自分のキャリアの方向性を決めることになります。最近の20代の多くの方から「武器がほしい」「スペシャリティを身に着けけたい」「それを最短でやりたい」とお聞きします。気持ちはもちろんわかりますが、そのためにも、そして自身の強み弱みを知るためにもまずはやってみること、これもおすすめしたいと思います。
指摘してくれる人をみつける
長所短所でいえば長所を褒めてくれる方は非常に多いように思います。それは相手に精神的な負担が少ないこと、そして成果と紐付けて理解しやすいことが影響しているからです。
・売上成績でトップになった=交渉力がある、提案力がある
・数値分析によって受注傾向を割り出した=分析力がある
・マーケティングイベントを起案した=企画力がある
このようにポジティブな事例はその人の長所と理解しやすい(本質的かは不明)ので言葉をかけてくれる人が相対的に多くなります。逆に短所はどうでしょうか?売上が伸び悩んでいる=営業力がないよね!と言葉をかけられることはないと思います。原因を特定しないと的はずれなコメントになりますし、ではその原因を多くの人が分析して特定してくれることはありません。
また、信頼関係がないと指摘することはなかなか難しいです。普段コミュニケーションがない相手に対して「あなたのここが短所です」と私は言ったことも言われたこともありません。逆に普段から信頼している人はすぐに指摘をしてくれますし、社内にそういった人がいることはとてもありがたいことです。もしくは自分から意見を求めにいくなどしないと自身の短所を知る機会というは激減します。ですからそういった指摘をしてくれる人を持つことは自分を知るための近道となるのです。
短所はどこまで鍛えるべきか
短所を克服する、それを人並み以上にするのはとてつもない労力と果てしない時間がかかります。ですからポイントは「得意ではないけどなんとかしてやれるレベル」や「なにかに頼ればできるレベル」もしくは「一度できた経験がある」という状態まで持っていくことです。
例えば表計算ソフトの活用。苦手な方もいると思いますが現代のビジネスパーソンで数字を扱えないのは致命的です。ですから「簡単ないくつかの関数を用いて集計や計算ができる」もしくは「一括でのデータのクレンジングができる」というレベルに慣れれば作業効率は比較的に改善しますし、繰り返しているうちに正しいデータを取得するためのデータ整備も無意識にできるようになります。
例えばSFAの活用。カスタマイズできる必要な無いと思いますが、最低限レポートダッシュボードの作成は覚えたいところです。これがないと入力するばかりでデータ化されているメリットを享受することができません。
交渉力、提案力のある営業 × データ分析、ダッシュボードでのモニタリング
上記の営業、強そうですよね?SQLが必要な深いデータ分析はできなくとも、手元でこれまでの受注データや営業成績の分析、日々の活動のモニタリングができればその人がもっている営業力が存分に発揮されます。もしそういった能力がないと集計に時間を取られたり、漏れによって重要な商談機会を失うなどその人が本来持っている能力を発揮することができません。
ですから得意とは言えないまでも簡単なことができるようになることで皆さんが保有している能力をもっと発揮できる可能性があるのです。
初期レベルのスキル習得は効率が良い
RPGや育成系ゲームをやったことがある方はわかると思いますが、アイテムやキャラクターのスキルをレベルアップさせる場合、レベルが低いうちは少しの経験値やエネルギーで成長させられますが、レベルが高くなるほど求められる経験値が増えるためレベルが上がりにくくなります。しかし高レベルなほど強い能力や魔法、効果があるので苦労してでもレベルを上げることで攻略が容易になるという設計になっています。
現実世界でも同じことだと思っていて、表計算ソフトで例えるなら集計や簡単な関数はWebページを見ながらでもすぐにできると思いますし、数回繰り返せば覚えられるレベルです。しかしマクロを組んで自動化するということになるとそうは行きませんし、作業自体も説明を読みながらでは効率がわるすぎて時間がいくらあっても足りません。実務で使えるレベルになるには相当な練度が必要です。
ですから短所を長所にすることは難しくても、初期レベルをマスターすることは比較的容易で時間もかからない。つまり投資対効果が高いと言えます。イメージにすると以下のようになっていて、途中から難易度が飛躍的にあがります。ですから少しの時間で能力習得が可能なレベル3あたりを目指すのがおすすめです。
短所攻略を阻むのは精神的な障壁
「簡単ならやればいいじゃん」と感じた方も多いのではないかと思いますが、苦手意識や短所だと思っていることを改善するには必要以上にストレスがかかります。それもイメージ図にしてみましたが、やはり最初が高く、だんだんと下降します。しかし習得難易度があがるにつれて上昇していくのでここでも一定水準までを目指すのが良いのではないかなと思います。
ではこのストレスとどう向き合うのか、どうやってやる気を出せば良いのか、という問いが残りますが答えは「まずやってみる」です。
脳の構造としてそうなっているという考え方に私は賛成です。ですから本当に解決したいのであれば動くことであり、前向きに進むための動機を作ることが必要なことだと考えています。
また、最初から高いハードルを設定することはおすすめしません。もちろんこれが長所であればそうすべきですが、短所を鍛えるということにおいては可能な限りハードルを低く設定し、クリアしていくことでドーパミンを分泌し良いサイクルで継続していくことが重要です。
まとめ
長所はある一定まで自然に伸びていくと思いますし、伸ばすべきだと思います。そして上のレベルを目指す際も、経験値は短所に比べて多く獲得できるようになっているのでレベルも上がりやすく、自己肯定感も得やすいので高レベル到達にかかるストレスとも向き合える仕様になっています。
一方で短所をそのままにしておくと長所を潰してしまいかねませんし、長所を伸ばすことすら阻害します。ですから一定のストレスはあるかもしれませんが比較的改善しやすいレベルまで”おいしいとこ取り”するくらいの感覚で向き合うのが良いのではないかと考えています。
このnoteがきっかけで「短所を鍛えることは意外とお得」そんな風にポジティブに考えてもらえたら幸いです。
しげの
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