
大転換期のウェブメディア ⑥カウントダウン開始?見え始めた兆候
ここに来て新たな動きが見えてきた。内容はBetter Ads Standardsに基づく規制が強化されるというもの。
上記はその基準であるが、実はこれまでもこの規制は有効とされている。ただ、見ている感じでは、対策をちゃんと施しているメディアを除き、肌感覚ではそこまで強烈に規制が入っているようでもなさそうだ。これがこの秋から強化され始めているというのだ。
具体的にはGoogle Chromeでの規制強化というものであるが、ご案内のとおり、Safariではそもそもの広告配信がとうの昔に規制されており、Cookieベースの配信がほぼできない。しかもこれは徹底されているため、今さらどうこうという話ではない。それに反してChromeでは中途半端な状態が続いており、極論すれば、汚い広告の跋扈を招いていると言ってもよい。それがここにきて規制を強化するというのだ。
どの辺が対象になるのかは上記のリンクで確認されたしなのだが、まず短期的な規制の話でいうと、これは全てのメディアに即座に適用されるものではないと見ている。例えていうと、まずはひどいスピード違反を摘発しようとするものではないかと考えている。いまGoogleが目の敵にしているのはMFA(Made For Advertising)が第一であり、おそらくはその辺の規制はすでにやっているのかもしれないが、まずはここの規制を徹底する。その後に、様子を見ながら広告枠を多く設置しているところに目を向けるのではなかろうか。この1年くらいの止まるところを知らないウェブ広告単価の下落は、広告供給に対して需要が大きく超過している、すなわち広告枠の大量設置による需要超過がその原因であるという説を採用するならば、MFAを追放しその後の広告枠減少への圧力をかけていけば需要と供給のギャップは減るとGoogleが見込んでいても不思議ではない。Googleとしても広告単価の下落は自らの収益に影響を与えるものであり、本腰を入れて取り組む理由としても適切だろう。
MFAは論外としても、広告の面積が画面のそれの30%を超えてはならないという規制を拡大解釈的に強化していくとなると、広告枠を大量設置している場合、状況次第ではこの30%に抵触するはずだ。そしてこれに対応するために広告数を減らす対応を行えば広告収入への影響が大きく、体力的にキツくなるメディアが出てきてもおかしくない。となると、ドミノ的にメディアの閉鎖が起きることが想定されるのは別の記事で書いたとおりである。行くも地獄残るも地獄、大変な局面になったものである。
業界内部に属する人間として、これが自分の所属するメディアで起きてしまったらと考えると頭が痛いが、大きなところからの視点で見ると、インターネットで情報爆発が起きて以降のメディアの増加や情報の氾濫が、ここに来てその宇宙のはてまできてしまっているということもできる。それを一旦自動的に調整するという意味では通るべき道なのかもしれず、その後にはさらにいい状況が待っているかもしれない。そう考えると、悪いことでもないように思えてしまう。
さておき、2025年がメディア受難の年になりそうな確率は高いという考えは変わらない。その後に生まれ変わったウェブメディアの世界が誕生するかもしれないし、あるいはもっとひどい世界が現れるのかもしれない。どっちにしても、現在の状態は是正されるべきであり、この道は進んでいかないといけないだろう。そして、このnoteの趣旨とは少し離れるが、最近の一連の選挙におけるテレビなどのいわゆるオールドメディアの役割への批判をウェブメディアがどう受け止めていくのかも興味深い点であり、そこを上手く捕らえて正しい方向に向けられるのであれば、ウェブメディアも見捨てたものではないだろう。その対応も含めて生き残ることができたメディアはさらなるサバイバルにも対応できるだろう。そのグループに入れるようにしたいものである。