キスミー
長旅のお供に、久しぶりに紙とペンで絵を描いた。
いつもはスマホに指で描く。絵を描くことになるべくお金はかけたくないって美学、中学生の自分が泣かないように。
いつも描く女の子のこと、紙の上にはなかなか描こうと思えなくて、きみは液晶の中にしかいないんだねって話しかけた。次は、小田原駅。
ううん、違うよ。ちゃんと私は君から生まれてるよ
僕の指がきみの形をなぞりたがる
液晶は指の電気に反応していて
きみは体の表面を纏う電気そのもの、
画面に触れたときのほんのりとした温度がきみの体温。
ここにいたんだねって指を握りしめる、少しつめたくて、反った人差し指
描くために体は絶対必要で、僕は人の形を保たなくちゃいけないと思う
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