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ゴンチャがつくり、広げる、だれもが自由にカスタマイズを楽しめる、ティーカルチャー。


株式会社ゴンチャ ジャパン 代表取締役社長 角田 淳氏

アメリカの大学を卒業したのち、大手自動車メーカーに勤務するかたわらで、スポーツイベントや音楽イベントの企画やマネジメントを行い、それが、のちに本業になる。10年間スポーツマネジメントに携わり、39歳の時に日本サブウェイに入社。マーケティング・経営企画などを経て、社長に就任。2021年10月、サブウェイを退社し、ゴンチャ ジャパンに入社、社長に就任する。


タピオカブームと、ゴンチャ ジャパンと。

いろいろあった、と言えば怒られるだろうか。

ゴンチャが日本に初めてオープンしたのは、2015年。2018年あたりから空前のタピオカブームが始まり、ゴンチャの前には連日、長蛇の列ができた。

SNSなどを通じたコミュニケーションが盛り上がるタイミングだったことも、ゴンチャにとっては追い風だったにちがいない。スマホで撮影されたタピオカドリンクは、デジタルの世界をかけめぐった。

ただし、第三次と言われたタピオカブームも、やがて終わり、タピオカドリンクのショップも次々、姿を消す。

ゴンチャ ジャパンでも経営者がかわるなど、そういう意味でもいろいろあった。

粥(かゆ)を導入したり、コーヒーを始めたり。ティーカルチャーを標榜するゴンチャ ジャパンが、迷走を始めたと言っていい。その時、現れたのが、今回、ご登場いただくことになった角田淳さん。

じつは、角田さんには2019年の10月に、この「飲食の戦士たち」にご登場いただいている。その時は、サブウェイの代表として。

あの時も低迷し、立ち直り始めた業績を立て直すのが角田さんのミッションだった気がする。もちろん、角田さんの実績は今のサブウェイをみれば明らか。「いまや絶好調だ」と角田さんも笑顔で語っている。

ちなみに、現在は別の事業に携わっていらっしゃるが、当時の日本サブウェイ合同会社の共同代表、鈴木孝尚さんにも「飲食の戦士たち」にご登場いただいているので、興味のある方はコチラをご覧いただきたい。

では、ゴンチャ ジャパンのお話に入る前に、角田さんの生い立ちを、今回はさらりと追いかけてみよう。

ブラジル育ちの、グローバルな小学生。

角田さんが、生まれたのは1971年。生まれてすぐに父親の仕事の関係でブラジルへ渡り、小学校入学直前まで生活していたそうだ。つまり、南米育ち。

「ポルトガル語、スペイン語、そして、小学校になって初めて日本語をつかうようになります」。

小学生で3ヵ国語を話すことができたんだろうか。まさに、グローバルな小学生である。

校長先生の薦めもあり、中学から静岡の学校に進み、寮生活を開始。ラグビーも始めている。高校を卒業するとアメリカの大学に進学。

もともとグローバルな小学生である。角田さんにすれば、アメリカの大学の進学は日本の地方の大学に進学するのと、そうかわらないのかもしれない。ちなみに、お姉さまは、高校から渡米されている。

アメリカの大学を卒業した角田氏は帰国し、大手自動車メーカーで勤務。その一方で、様々なイベントの企画やマネジメントを行い、スポーツイベントや音楽イベントをプロモートもする仕事を行っていく。

39歳、知人の紹介で、サブウェイに入社。その時、角田さんは「スポンサー側の仕事をしたことがなかったので、一度、経験してみたいと思い、新しい世界に飛び込んだ」と言っている。

そのサブウェイ時代の実績が評価され、ゴンチャ ジャパンの株主たちから、オファーがとどく。

サブウェイと、ゴンチャと。

サブウェイとゴンチャ。フードとドリンク。文化ももちろん異なるが、似ているところもなくはない。

消費者がカスタマイズして、つくる。楽しみと同時に、初オーダーだと、とまどいがなくはない。

実際、角田さんも「ポイントカードをお持ちのコアなファンは慣れていらっしゃるので、オーダーのスピードもやはり早いですが、SNSでも時折『オーダーの仕方がわからない』という投稿があり、そういうユーザーは少し時間がかかるようですね」と、おっしゃっている。

もちろん、この「むずかしさ」が「たのしさ」にかわる。これも、おなじ。

もう一つ、サンドイッチとティーと、アイテムは異なるが、新たなカルチャーを日本に広げるというミッションも似ている。

もっともサブウェイに比べ、ゴンチャ ジャパンのあゆみは、まだ10年にもならない。

空前のタピオカブームで業績が加速し、店舗数が拡大。ティーカルチャーがファンの心をつかんだのはまちがいないが、ブームが去った今、業績は、どうなっているのだろう。
つぎに、そんなお話もうかがった。

「現在(2024年5月)の店舗数は約160店舗。私がこちらに来たのは2021年10月ですが、その時は約100店舗でした。2015年の1号店オープンから現在まで、ブームなどもあり業績が上下したのは事実ですが、ゴンチャ ジャパンがオススメする、ティーベースドリンクは、この9年間で、ある一定の定着をみたように思います」。

ゴンチャのファンの多くは、流行に敏感な10代、20代の若い世代。

「この世代は、ゴンチャの文化と一定の親和性がある世代です。カスタマイズした、ティーを楽しむ。若いからこそ、楽しみ方を知っているように思います」。

たしかに、ゴンチャの文化は、「自由に、ティーを楽しむ」こと。それを体現しているのが、この世代。たしかにドリンクをもった若者は絵になる。

じつはタピオカブームの時と比べても、店舗の数は増えているそうだ。ゴンチャが一過性のものでなかった証でもある。

「当面の目標は200店舗です。将来的には、年間の来店数を、4000万人にもっていきたいですね。その時には400店舗が視野に入ってくると思います」。

ただし、数字に縛られない。急ぐこともしない。

「まず、ブランドを360度、確立することだ」と角田さんはいう。対ユーザーだけではなく、クルーのトレーニングや、サプライチェーンの確立など、インフラ整備も行っていかないといけない。

やることは、いろいろありそうだ。だが、就任後の3年間で角田流の改革は大きく前進している。その点についても、うかがっている。

ゴンチャのレシピは、自由に、楽しめること。

「外部に向け最初に行ったのは、ソーシャルメディアの活用です。ゴンチャが推し進めるティーカルチャーを広く浸透させていくための、方法の一つです。Xやインスタグラムなど、Z世代やα世代を中心に情報を拡散しています」。

角田さんも、日々、SNSのチェックはかかさないという。さすが、もとプロモーター。

その一方、内部に向けては、「我々が大事にしていることってなんだっけ?」と、問いかける。マネージャークラスといっしょに合宿し、話はつづく。

「ゴンチャのハピネスってなんだっけ? それってどういうこと? 新たなものをクリエイトするというより、理念などの再確認ですね。お客様が、その日の、その時の気分で自由にチョイスできる、そういう楽しみをゴンチャは大事にするんじゃなかったっけ? そんな話です」。

「じつは、そのあたりが、ボヤっとしていたんですね。タピオカがブームになったものだから、効率化だけを追い求めて時間がかかるフローズンをやめたり、味のチョイスも、カスタマイズの種類も減らしたりして。なんのために『ハピネス』をうたっているんだっけ? 自由に楽しめる、それがゴンチャの価値だとすると、なんでそれやめちゃったんだろうかって。そういうことを一つひとつ整理していきました」。

原点にもどり、ブレを修正する?

「そうですね。品質にこだわったお茶と、だれもが自分の好みに合ったカスタマイズを楽しめる。ゴンチャの創業者が追いかけ、形にしたのが、このレシピだったんです。それを見失っていたかもしれません」。

「店舗のクルーに対してもおなじことが起こっていました」と角田さん。

「店舗のクルーたちには、髪色のカラーチャートが渡され、ある一定の範囲でしかカラーが許されていなかったんです。それって、おかしくないかって。だって、自由じゃないでしょ。ゴンチャで働く人が、自由じゃなきゃ、ブランドの理念はどこにいっちゃうのって話です。だから、今、カラーチャートはありません」。

ティーカルチャーと、自由。千利休が知れば、どう思うだろう。案外、ゴンチャの空気を気にいるんじゃないだろうか。わびさびを開放した、もう一つの文化。

茶道の対局にある、大衆の文化。もうひとつの茶道が花開くと言ったら、おおげさすぎるだろうか。ともあれ、角田さんとスタッフたちの対話はつづく。

「全体への共有はもちろんですが、定期的にワークショップを行い、キックオフミーティングなども行っています」。

店舗のクルーからハピネスになる。

角田さんらしく、アーティストなどとのコラボの件数も増やしていく方針。ファンの心を動かすマーケティング、広告、ソーシャルメディアもまだまだ活用する。

現在のゴンチャ公式X(旧Twitter)アカウントのフォロワーは約50万人、年内に100万人をめざしている。ニュースの発信にも注力する。期間限定商品を年6回から11回にアップし、ファンとコミュニケーションを取りつづける。

「今のゴンチャが大事にすべきは、スピードです。走りながら、微修正を繰り返す。最初から完璧をもとめすぎてはかえって大きな問題を生むと思っています」。

スピードを重視する角田さんによって、社内の体制もいっぺんした。全社員が年俸制に移行。賞与も設定された。ただし、業績に連動するタイプの賞与である。

「コロナ禍があけ、業績が上がったので」と笑う。

3年前とはクルーたちの表情もいっぺんしているのではないだろうか。
これが、経営者のちから。

「ブランドは外からだけではなく、中からもつくりあげていかなければなりません。だから、クルーもハピネスじゃないといけないのです」。

そういった角田さん。

今回も、「ゴンチャ」というブランドを再設定し、みごとに再構築している。言葉にすれば簡単だが、これはまちがいなく偉業だ。

24/09/10
株式会社ゴンチャ ジャパン 代表取締役社長 角田 淳氏

飲食の戦士たちより

主な業態

ゴンチャ(Gong cha、貢茶)

上質な茶葉のうま味を引き出し、おいしいお茶を淹れる秘訣は、
じっくりと丁寧に、丹精をこめること。
そして、お茶を淹れる人の笑顔にあります。
それを熟知していた台湾の良き友HuangとWuは1996年、
最高品質の茶葉を活かし、
バラエティに富んだ斬新でおいしいお茶を提供する
ビジネスに乗り出しました。

https://www.gongcha.co.jp/brand/

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