インバウンド戦略⑦ 旅も多様化の時代!現場で求められるインバウンド対策・3選!
観光業の現場が抱える課題とは
コロナ禍以降、観光業界は訪日外国旅行客の数を徐々に取り戻し、外国人観光客関連のニュースを目にする機会も多くなってきました。
企業の情報収集サービスを手掛ける帝国データバンクの調査によると、観光産業に属する企業の景気判断を総合した指標を表す「観光DI」は2023年4月に48.4と前月から1.9ポイント増加し、2002年5月の調査開始以降で最高を更新。
今後、観光産業の景気は緩やかに拡大していくと見込まれています。
一方で厳しい人手不足による機会損失が問題となっており、それらを管轄する観光地や各自治体においては、サービスの強化や安全な観光環境の構築・多種多様な文化への対応などが求められ、目下の課題となっています。
今回は多様化が進む外国人観光客を受け入れる観光地や自治体に焦点を当て、「現場で求められるインバウンド対応と対策」について紹介いたします。
外国人に人気の観光地 TOP3
外国人観光客が選ぶ人気の観光地をご存知でしょうか。
ナビタイムジャパンが提供する「Japan Travel by NAVITIME」で検索されたスポットを集計した「2023年外国人観光客 目的地検索ランキング」によると結果は以下の通りです。
1位 伏見稲荷大社
千本鳥居が圧巻!
赤い鳥居が続く景色がきわめて日本的であり、「和」「日本らしさ」 を求める外国人観光客に高評価。
公式サイトは日本語の他、英語、韓国語、中国語、(繁体字・簡体字)の5か国語に対応。
大手旅行予約サイトであるトリップアドバイザーの「旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の観光スポット ランキング」に 6年間連続1位の実績あり。
2位 ユニバーサルスタジオジャパン
世界的に注目度が高い日本の漫画やアニメを題材にしたアトラクションやイベントが人気の施設。
公式サイトは日本語の他、英語、韓国語、中国語、(繁体字・簡体字)の5か国語に対応。
Googleマップで公開されている口コミでは外国語での投稿が多数寄せられており、外国人観光客からの人気をうかがい知ることができます。
3位 奈良公園
天然記念物「奈良のシカ」でおなじみの名所。
公式サイトは日本語の他、英語、韓国語、中国語、(繁体字・簡体字)の5か国語に対応。
アクセス情報やイベント情報、奈良公園の歴史や見どころなどをインバウンド向けに配信しています。
ウェブサイトを多言語化し、海外向けに情報を配信することでより多くの外国人に観光地の魅力をアピールしています。
これらの結果により、以下の共通点が見えてきました。
特に注目すべきは、TOP3観光地全てで対応されている公式サイトでの多言語整備です。
自国の慣れ親しんだ「母国語」で自身が求める情報を「自由」に集めることは、言語や文化が異なる外国(日本)において、いかに重要であるかががご理解いただけるのではないでしょうか。
インバウンドを味方に!3つの対策
1.多言語表示は大事な情報源
土地勘のない外国人観光客にとって、日本の複雑な交通機関や施設を利用することは大きな壁となります。
電車やバスのアナウンス、交通案内のパンフレットなど、外国人観光客が利用する機会が多い場所には多言語表記や、ピクトグラムを充実させることによって、利便性と満足度を向上させることが重要です。
また、限られた現場スタッフの負担を減らすべく、外国人観光客向けの交通アプリや多言語に対応した公式サイト等、情報を自由に受信できる環境を充実させることも有効的でしょう。
2.サービスの細分化・オリジナリティの重要性
近年では、より独自性の高いオリジナルツアーが人気を博しています。
例えば、多言語に対応した専用のコンシェルジュが顧客の要望に合った個別のプランを作成し、日本の伝統的な文化をより深く体験できるサービスや、あまり知られていない「日本の隠れた穴場」を訪れるローカルツアー、旅行者の趣味趣向に合わせたプランなど、今後はより一層顧客一人一人に合わせたサービスの細分化・独自性をが求められるでしょう。
3.デジタルマーケティングの活用
インターネットやソーシャルメディア等、訪日外国人観光客に対して効果的な情報発信を行うデジタルマーケティングは、インバウンド対策において非常効果的な情報発信となります。
人気のあるソーシャルメディアプラットフォーム(例:Instagram、Facebook、WeChatなど)を活用し、魅力的な情報・体験の発信や、外国人観光客が投稿する写真やコメントに対して積極的に反応するなど、観光地と観光客の距離を近くに感じられるようなコミュニケーションを図りましょう。
また、多言語対応のウェブサイトを構築し、ウェブサイト上での予約やチケット購入など検索から販売まで一括で完了できるサービス展開をすることで顧客を囲い込むことが可能となります。
まとめ
コロナ禍以降、これまで抑えられてきた観光需要は、より一層高まることが予想されています。
旅の楽しみ方が多様な現代において、外国人観光客が求めているニーズを把握し地域の歴史や文化を伝えることに加えて実際に体験を提供することこそが、インバウンドビジネス成功のカギとなるでしょう。
一方、観光業を実際に受け入れる自治体や観光地のスタッフが対応できる範囲には限りがあり、要望に合った対応を行い続けることは容易ではありません。
多種多様な言語や文化をもつ外国人観光客を受け入れる現場にとっては、外国人観光客自らが迷うことなく自由に必要な情報を得ることが望まれています。
多言語に対応したサイトの構築やSNSの運用等、サービスに専念できる環境を整えることこそが観光業に従事する現場にとって重要課題であり、多様化する旅のニーズに対応できる手段なのではないでしょうか。
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