妻の会社に対して思うこと
妻が海外赴任を打診されたこと自体は、妻のキャリアを考えればとても良いことなのだろうと思いますし、これだけ共働き世帯が増えていることを考えれば、妻の仕事を理由として夫が仕事を休職・退職することが起こるということ(そしてそれが自分の身にも起こること)は不思議なことではありません。ただ、どうも個人的に腑に落ちないことがあります。
当たり前ですが妻の会社に対する忠誠心は私にはありません
終身雇用制度が崩壊しつつある昨今、「御恩と奉公」で社員に全国転勤や海外勤務を命ずることがどんどん難しくなってきているというのが私の認識だったのですが、社員でもなければ妻に扶養される必要もない配偶者である私が、妻の会社の都合で人生の大きな決断を迫られ、仕事を退職することになりました。なぜですかね苦笑 しかも妻は特に希望を出していたわけではないのに・・・。
仕事辞めることになる配偶者には向こう3年分くらいの給与を支度金として払ってくれてもいいんじゃないかと感じるほど、共働きの家庭にとって、一方のキャリアを急に中断することは、金銭的にも精神的にもインパクトが大きいことですよね。なによりもムカつくモヤモヤするのは、会社としてそのことをきちんと認識しているのか、あまり伝わってこないことだなと思います。
行先不明の船に乗り込まないとならない不条理
しかも、配偶者がどの国に赴任することになるかによって、家族の生活は大きく変わります。にもかかわらず、そこに関する決定権は当然のようにないわけです。2019年からベトナムで始めている調査研究があるので、ベトナム駐在だったら、なんなら激熱の展開だったわけですが、そんな都合よく赴任先は決まりません。
有力駐在先のリストの中にあった場所だと、これまで5,6回は渡航していて土地勘があるシンガポールであれば、ヘルパーとインターナショナルスクールの費用はかかるけど、それでもヘルパーを雇えば仕事はきちんとできそうだぞ、などとイメージが湧きました。なにより大学院生の時にフィールド調査をしていた中国海南省からシンガポールにはたくさんの移民が移住しているので、親近感もあります。駐夫コミュニティも活動が盛んだと書いてあるブログまで見つけ、LinkedInでシンガポール国立大学のポジションを探したり、Property Guruという不動産サイトで物件を探したりと、シンガポール生活へ妄想を膨らませていました。
今回のシミュレーションの前提
正直に言うと、当初打診があって帯同OKにしたのはシンガポールに行く前提でシミュレーションしていたからでした。ところがふたを開けてみればロンドン。正式決定の直前のタイミングでも妻や私たちに意向確認はありましたが、すでに頭の中は駐在モードになっていたので、いろいろと考えが及びませんでした。
もっとも考えが及んだところで帯同OKの答えは変わらなかったと思います。ただ、それでも想定とあまりに違って焦ることもしばしばあります。もちろん住んでいる国が違うのですから当たり前ですし、ロンドンはロンドンで暮らしやすいところだとは思いますが、少なくとも、こんなに日々毎日の食事の準備と洗濯に時間を取られて、仕事する時間がここまでなくなるとは思っていなかったです。
これもまた人生。丸ごと引き受けていくわけなのですが。