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【ヒト・モノ・カネ】次の時代の経営資源はどう変化していくのか #5

前回は、新たな経営資源ツナガリについて深掘りをしました。何が新しいのか、ツナガリ人材を得るためには何が必要なのかを述べました。今回は、新たな経営資源シクミについて述べます。

いつもの通り、予防線を張らせてください。

これから述べる論考は、あくまで個人的な考えで、理論として完成されてもいない、いわばまだ妄想の段階です。学術的な裏付けはおろか、十分な検証もしていません。ただの思いつきと言われても文句は言えないです。未熟な内容ということを承知した上で読んでください。

お前だれやねん?って思った方は#1をお読みいただくか、次の超ショート自己紹介を読んでください。

長野県松本市で、henca合同会社という中小企業向けの経営コンサルティングの会社をひとりで経営してます。どんなことやってくれるの?って興味を持った方は弊社Webサイトをご覧ください。

経営資源におけるシクミとは?

従来のモノに対応する新たな経営資源2番目としてシクミがあると#2で述べました。

市場における産業の重心がモノからコトへ移っていることに異論はないでしょう。

例として国内の第二次産業(主にモノ)と第三次産業(主にコト)を比較すると、2020年の国勢調査では第二次産業の就業者数が23%、第三次産業が70%と、コトに関わる就業者数はモノの3倍以上となっています。

さらに、同じく2020年の名目GDP構成比で見ると、第二次産業が25.9%に対し第三次産業は73.1%と大きく差をつけています。この差はここ10年ほど変わっていません。

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/2020/sankou/pdf/seisan_20211224.pdf

もちろん、分類上の第二次産業と第三次産業が、そのままモノとコトの価値の違いとは言い切れない部分はあります。第二次産業である製造業や建設業が経営資源としてのモノを重視すべきではないという話でもありません。

しかし、顧客の興味がモノからコトへ移っている今、コトの価値を提供するためのアイデアやプロセスがますます重要になってきます。それが経営資源としてのシクミだと考えるのです。

新しい時代の生産装置としてのシクミ

さて、製造業を例にすると、モノは大きく2種類に分けられると思います。

1つは、材料や素材、それを加工して生み出される最終製品等。1つ1つと数えられるモノを想像してもらえれば良いかと思います。

もう1つは、それらを作り出すモノです。つまり、生産装置や機械設備等を指します。かつての大量消費時代には、これらを用い、いかに効率よく、大量に、品質の良いモノを、市場に届けられるかが製造業の要でした。

モノを生み出す生産装置としてのモノ。これをコトに置き換えるとどうでしょうか?そうです、コトを生み出す生産装置がシクミとなるのです。

例えばホテル業で考えてみましょう。

アパホテルを展開するアパグループは、主要顧客であるビジネス出張者のために、短時間で済むチェックイン・チェックアウトのシクミや、コンパクトで快適に過ごせる機能的な宿泊設備等、徹底した顧客価値の磨き込みと仕組み化でコトの価値を最大化させ、成長してきました。

アパホテルのほとんどは自己所有物件で、不況時や経営不振の同業者から底値で買い占めたモノ。そこにアパグループ独自のシクミをまとわせて高収益物件へ転換しています。

もう1社、星野リゾートはさらにその先を行っていると言えそうです。なにしろ、自己所有物件のホテルは無く、ホテルの運営だけに特化しているからです。モノは持たずにコトに集中している代表的な事例でしょう。

彼らは、現場スタッフに権限委譲しサービス品質向上のための裁量に自由度を持たせることや、ITによる効率化等、ホテル運営とサービス提供のシクミを構築し、数々の旅館やホテルを再生、成長させてきました。コト消費として、星野リゾートの顧客満足度が高いことは言うまでもありません。

さらに、不動産投資信託の投資会社を子会社として設立し、星野リゾートの物件を買上げることで、運営会社の資金調達手段とすると同時に、不動産投資の事業を立ち上げることに成功しました。これも経営資源としてのシクミに値するでしょう。

このようにモノを所有、提供するだけでは、成長が難しい時代となっています。次回は、新たな経営資源、シンヨウについて述べます。

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