書店が閉まるから、僕たちは本を出す
コロナの影響で、今多くの人が自宅に閉じ込められています。
書店は臨時休業の嵐。
この状況下において、新刊の刊行を延期する出版社も出て来ました。
当然の判断でしょう。
リアルな書店に人がおらず、しかもAmazonでも本の流通が機能していない(緊急性の高い生活用品を送ることが優先されている模様です)。
だからこそ、僕たちはあえて予定どおりに本を出すことを決めました。
「そもそも」から始めよ
先週の会議。
僕たちはうなだれていました。
「さすがにこれだけリアル書店が閉じていては本を出せない。出したって、意味がない」
このときはまだAmazonの本の流通は比較的動いていました。
それでも、本を読むような心境にはなかなかなれません。
ニューヨークタイムズの記事によれば、ゲームと動画に費やす時間は激増している一方で、本は電子書籍ですらほとんど増えていません。
出すのか、出さないのか。
刊行を遅らせるとしたら、いつ出すのか。
コロナの蔓延に終わりが見えない中、何を基準にGOを出すのか。
そんなとき、石川善樹さんの新刊『フルライフ』の編集担当、中島さんが口を開きました。
「売れる売れないの話はいったん脇に置いて、僕らはそもそも何がやりたいんでしたっけ?」
ああ、そうだった。
本が読まれない時代に本を届ける、新しい読書体験をつくるために僕らは立ち上がったんだった。
本が届けづらいくらいでやめるなら、僕たちは「そもそも」やらなくてよかったじゃないか。
「希望を灯す」をコンセプトに立ち上がった出版社が、これだけ不安に包まれた今本を出さないなんて、自己否定もいいところだ。
笑ってしまう。
だから出す。
書店に人がいないからこそ、僕たちは本を出す。
そう考えると視界がぐっとクリアになった。
今できることはなんだ?
・書店に本が並ばない中、読みたくても読めない人のために何ができるか?
→noteで新刊『フルライフ』に加え、『世界は贈与でできている』『D2C』全文を無料公開することにしました(趣旨にご賛同いただいた著者のみなさま、ありがとうございます)。
**
・本を読むような気分になれない中、読書を楽しくするために何ができるか?**
→著者参加の「花木(ハナモク)飲み」をzoomで開催することにしました(知ってました? フルライフって本によると、花金ではなく、これからは花金ではなく花木なんですって!)
当日は最所あさみさんも飲みにくるとか、なんとか。
このほかにも、読者主導でオンライン読書会をどんどん開くアンバサダー制度をはじめたりと、NewsPicksパブリッシングはどんどん仕掛けていきます。
さて、晴れて通常運行で『フルライフ──今日の仕事と10年先の目標と100年の人生をつなぐ時間戦略』が発売されるわけですが…
この本がどんな本なのかは、編集担当の中島さんが詳しく書いてくれています。
一言で言えば、3ヶ月先すら見えない今だからこそ、100年の人生を戦略的に考え直そうぜ、という本です。
Q.ハードな仕事と、長い人生の"重心"はどこにあるのか?
Q.そもそも「フルライフ(充実した人生)」とはなにか?
Q.フル(充実)の真逆にある、空っぽな人生とは何か?
Q.後悔が生まれる原因は?
Q.あなたはどのような戦略に基づいて、限られた時間を使っているか?
Q.戦略の先に、自分は何をしたいのか?
Q.ところで「戦略」とは何か?
Q.限りある時間の中で、Doing(する)とBeing(ある)のバランスをとるには?
Q.真のWell-Beingとは?
…
などなど、たくさんの問いに答える本になっています。
コロナは変化を連れて来ました。
これは『シン・ニホン』著者安宅和人さんがおっしゃっていたことですが、密集した都市空間で人生を充実させるという人間が2000年間志向してきた流れが、今まさに逆流しようとしている。
これは、出版を「維持する」のではなく「変えていく」と決め立ち上がった僕たちには、まさに追い風です。
今はひるむときではなく、仕掛けるときです。
どうせ変わるなら、楽しいほうに変えちゃいましょう。
さてさて、これから何をしちゃおうかな!
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