大半の日本人は、「穴掘って埋める仕事」を喜んでやるだろう
JTCには、「追い出し部屋」があるらしい。「追い出し部屋」のしごとは、誰の得にもならない無意味なしごとであり、やらされた人は嫌になって、自主的に退職することが期待されている。しかし、私は「追い出し部屋」のしごとを、大半の職員は喜んでやっているのではないかと思う。
以下は、「がきデカ」の続編「中春こまわり君」の一場面。こまわり君が勤務する大手家電メーカーでは、リストラ対象者を自主的退職に追い込むために、土砂を移動させるだけの作業が課せられる。
著者、山上たつひこは、
「ふつうの人なら、こんな無意味な作業など、とてもできまい」
と考えているのだが、むしろ、「ふつうの人」だからこそ、この程度のことは喜んでやるだろう。課せられるタスクの意味を考える人は珍しい。
無意味な仕事でも、大半の人は喜んでやる
酒タバコの販売で、「年齢確認ボタン」を押すことを、セブンイレブン店員から指示されて、外国人がキレていた。
コンビニ年齢確認に「バカなルール」「大嫌い日本」 ブチギレ客に騒然...セブン運営は「一方的な言動と推察」: J-CAST ニュース【全文表示】
レジでは、「20歳以上かどうか」を聞くだけなのだ。何かで証明させるわけじゃない。タッチパネルを押させるだけなら、何も確認していない。つまり、この儀式には全く意味がなく、レジ担当者も「上から言われたから」やっているにすぎない。
この指示に「キレた」セブンイレブン店員はいないようだ。黙々と指示に従っている。
しかしながら、自分で考える癖がある人は、「年齢確認と称して、タッチパネルを押させる」作業には我慢ならないだろう。
仕事の意味を考えずに従っていていいのか?
「意味を考えず、指示に従う」ことがいいのか悪いのかは、場合による。
大きく複雑な組織では、意味がわからなくても、指示に従う方が、大半は正しい
核燃料臨界事故をおこしたJCOでは、親会社が決めたマニュアルを子会社職員が守らず、独自に改変した裏マニュアルを作成し、さらにそれすら末端職員は守っていなかった。
自分の頭で考えないとまずい場合
1983年、ソ連防空軍のペトロフ中佐は、早期警戒システムから、米軍の核ミサイル攻撃があったという連絡を受けた。
マニュアルでは、ペトロフ中佐の職務は、警報を次の部署に伝達するだけだった。ペトロフ中佐には判断する権限はなかった。しかし、彼は、常識的にありえない、誤報だと判断して、直ちに警報を伝達しなかった。
ペトロフ中佐は世界を救った。
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