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読書メモ『クオリアと人工意識』

2020年7月21日、茂木健一郎氏の『クオリアと人工意識』を読了した。読書中に気になってメモしたポイントを以下に記載するが、消化できなかった部分は繰り返し読み、自分なりに理解した文章になっていることに留意されたい。【】内は物理書籍版のページ数である。 第一章 人工知能と人工意識【018】 人間は、他の生物に比べて「賢い」のだと自己認識しているわけである。しかし、「賢い」という属性が人間の専売特許である時代が、あとどれくらい続くだろうか 【021】 ゲームというアプローチに

    • ゲンロンカフェ『三宅陽一郎 × ドミニク・チェン × 東浩紀 人工知能のための哲学塾atゲンロンカフェ』動画視聴メモ

      個人的「AI強化月間」その2。ゲンロンカフェ「AI研究の現在」パックの動画の2つ目を視聴したときのメモ。 イベントは2019年2月8日(金)開催 Vimeoで2020年7月19日(日)視聴 第1部・世界について深く掘るほど(科学・哲学)、遠くまで構築できる(工学) ・AIを探求することは、人間を探求すること ・主観的なリファレンスが自身のみしかない ・フルセットAIは身体-機能-知能(体-心)を持つ ・知能を意識-無意識(身体、環境)から考える ・生態学的AI、環境や身体と

      • ゲンロンカフェ『原武史 × 藤村龍至 × 東浩紀 さいたまの過去と未来-出雲の血脈と郊外私鉄の可能性』動画視聴メモ

        イベントは2020年7月17日(金)開催、7月23日(木)視聴 第1部は、登壇者のなじみ深い土地の雰囲気や自然環境、歴史をたどりながら、埼玉と出雲、天皇の関係へと話題が展開した。第2部は、藤村氏の活動を振り返りながら、埼玉の現状の様々な取り組みや細かいディテールを踏まえたうえで、その未来と可能性が語られる熱く濃い内容となった。 第1部(19:00~21:00)原x藤村x東・狭山湖から流れる柳瀬川、荒川の支流、加藤典洋の思索の道 ・都市郊外は一律だったのに、埼玉の格は何故こん

        • ウェブ人間論

          梅田望夫氏と平野啓一郎氏による対談本『ウェブ人間論』を読み返した。そのメモ。 第一章 ウェブ世界で生きる・ネットの世界に住んでいる ・検索がすべての中心になる ・「ウェブ2.0」への変化 ・ネット世界で日本は孤立する ・自動翻訳の将来性 ・ブログで人は成長できる ・ピン芸人的ブログ ・情報にハングリーな人たち ・ウェブ=人間関係 ・リンクされた脳 ・理想の恋人に出会えるか? ●8時間x2回にわたる対談 ●「アメリカに帰る」と「ネットの世界に帰る」は同義かつリアルなもの ●

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        • ゲンロンカフェ『三宅陽一郎 × ドミニク・チェン × 東浩紀 人工知能のための哲学塾atゲンロンカフェ』動画視聴メモ

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          17本

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          開国前夜

          鈴木由紀子(Suzuki Yukiko)著『開国前夜 田沼時代の輝き』を読んだ。江戸中期から後期にかけて名を残した9人の人物に焦点を当て、明治維新に至るまでの旺盛な知識欲、豊かな文化、様々な改革を描いている。杉田玄白の『蘭学事始』は以前読んだことがあったが、この本でも触れられた「腑分けの衝撃」は迫力があった。また最上徳内という探検家は、厳しい北の大地に繰り出して新たな発見と出会いがあり興味をひかれた。当たり前のことではあるが、この時代は現代よりかは人の死がありふれたものであり

          開国前夜

          偶発的な経験の記録

          昨日、今日と立て続けに普段経験しない場面に遭遇し、記憶に留めておくだけにもいかないと思い、その状況と対処、反省点を記録する。心象に負荷がかかる場面もあるが、目を背けてはならないと考えありのままを書くことにする。 2020年7月5日(日)18時・状況と対処 電車に乗っていた。座席の一番端に腰かけ、本を読んでいた。ちょうど駅に停車する直前くらいに、座席のシールド越しに物音がしたが、読書を続けていた。若い男性と女性が近づいて下を向いているので、はじめて注意をそちらに向けた。どうや

          偶発的な経験の記録

          ゲンロンカフェ『松尾豊 × 東浩紀 人工知能はどこまで社会を変えるのか』動画視聴メモ

          個人的な「AI強化月間」として積読の本や関連動画から知見を広めたい。まずは、最近公開されたゲンロンカフェ「AI研究の現在」パックの動画を1つ視聴した。そのメモ。 イベントは2015年10月20日(火)開催 Vimeoで2020年7月4日(土)視聴 人工知能学会誌の表紙問題は意外と根が深い。社会の様々な人にAIを知ってもらうことが重要でデザインを一新した。擬人化した ロボットが人々の生活に入ったときにどのような感情を生み出すかを考える必要があった。 AIブーム ①1960

          ゲンロンカフェ『松尾豊 × 東浩紀 人工知能はどこまで社会を変えるのか』動画視聴メモ

          ゲンロンカフェ『茂木健一郎 × 東浩紀 ニッポンの脳#7 2019年・晩秋の巻』イベントメモ

          2019年11月24日(日)に五反田・ゲンロンカフェで開催されたイベント『ニッポンの脳#7』に参加した。(ニコニコ生放送、ハッシュタグ) 参加して感じたこととメモ。 ■感想1930 ゲンロンカフェに到着して席に着いた。しばらくしてから、肩にバッグを背負った茂木さんがスタジオに入ってきた。どうやら事務所に東さんがいなかったのでそのまま来たらしい。数分後、同じように肩にバッグを掛けた東さんがやってきて、打合せなしでそのまま始めますかというような感じでイベントが開始された。 T

          ゲンロンカフェ『茂木健一郎 × 東浩紀 ニッポンの脳#7 2019年・晩秋の巻』イベントメモ

          九州観光記2019

          2019年9月20日~23日の4日間、九州を巡った。 今回の旅における主目的は水俣の街と歴史を少しでも知ることであったが、想像以上の体験をすることができた。 水俣体験記に絞って書いたほうが読みやすくなると思われるが、私自身の記憶をなるべくつながりのあるものとして書き残しておきたいのと、読む人に何かしらの情報となるものがあるかもしれないので、今回の旅の経過を特に体裁を整えずに書き連ねることにした。 以下の文章は9月23日、9月29日にそのほとんどがメモとして書かれ、10月2

          九州観光記2019

          あいちトリエンナーレ2019 ホー・ツーニェン《旅館アポリア》体験メモ

          あいちトリエンナーレ2019 ホー・ツーニェン《旅館アポリア》体験メモ それぞれの映像体験は「親愛なるツーニェン」という導入で始まり、部屋を取り囲む風に戸が揺れる様子のけたたましい豪音と振動で終わる。 ■一ノ間「波」(12分) 八畳の和室に幅3mほどのスクリーンが設けてある。 室内は6人くらいで満員、開いた襖の外から眺める。 手紙のようなやり取りにも見える映像には、後の部屋での映像に続く重要なキーワードが出される。 ・喜楽亭について ・大島康正『世界史的立場と日本』 ・草

          あいちトリエンナーレ2019 ホー・ツーニェン《旅館アポリア》体験メモ

          ゲンロンカフェ『被災地の記憶/アートと歴史』イベントメモ

          2019年1月23日(水)19時、ゲンロンカフェで開催されたイベント『被災地の記憶/アートと歴史』に参加した。徳一の話など一部は以前聞いた覚えがあったが、芸術祭の今までの取り組みや登壇者の活動について詳しく聞けて感銘を受けた。そのときのメモ。 冒頭、小松理虔さんから会津若松の地酒紹介など。末廣、しぼりたて、雪がすみ、国権。その後、江尻浩二郎さんの自己紹介。小名浜出身、いわきの歴史に詳しく、キルギスで遊牧民生活。 芸術祭の3年間にわたる取り組みについて。 芸術祭が始まる前年

          ゲンロンカフェ『被災地の記憶/アートと歴史』イベントメモ

          東京都美術館『ムンク展』鑑賞メモ

          2019年1月3日(木)午後、上野東京都美術館の『ムンク展 ー共鳴する魂の叫び』を鑑賞した。長蛇の列で一度離れ、16時頃再訪。それでも入館まで30分程待った。内部も非常に混雑しており、「叫び」は立ち止まらずに列に沿って歩きながらの鑑賞であった。いくつか気になった作品をしばらく眺めてしまい、2Fフロアで最後は駆け足となった。 「マラーの死」第1エリア<ムンクとは誰か>の中でも恐怖を感じる作品だった。実際にムンクの精神面への影響が大きな事件がモチーフになっている。 「病める子

          東京都美術館『ムンク展』鑑賞メモ

          綺麗な温泉をざぶざぶと

           寝る前に一風呂浴びるつもりで、下女に案内を頼んだ時、津田は始めて先刻彼女から聴かされたこの家の広さに気がついた。意外な廊下を曲ったり、思いも寄らない階子段を降りたりして、目的の湯壺を眼の前に見出した彼は、実際一人で自分の座敷へ帰れるだろうかと疑った。  風呂場は板と硝子戸でいくつにか仕切られていた。左右に三つずつ向う合せに並んでいる小型な浴槽のほかに、一つ離れて大きいのは、普通の洗湯に比べて倍以上の尺があった。 「これが一番大きくって心持がいいでしょう」と云った下女は、津田

          綺麗な温泉をざぶざぶと

          抱き合うように彼の頭の中を通過した

           靄とも夜の色とも片づかないものの中にぼんやり描き出された町の様はまるで寂寞たる夢であった。自分の四辺にちらちらする弱い電灯の光と、その光の届かない先に横わる大きな闇の姿を見較べた時の津田にはたしかに夢という感じが起った。 「おれは今この夢見たようなものの続きを辿ろうとしている。東京を立つ前から、もっと几帳面に云えば、吉川夫人にこの温泉行を勧められない前から、いやもっと深く突き込んで云えば、お延と結婚する前から、──それでもまだ云い足りない、実は突然清子に背中を向けられたその

          抱き合うように彼の頭の中を通過した

          表へ出た三人は濠端へ来て、電車を待ち合せる間大きな星月夜を仰いだ

           小林の所作は津田にとって全くの意外であった。突然毒気を抜かれたところに十分以上の皮肉を味わわせられた彼の心は、相手に向って躍った。憎悪の電流とでも云わなければ形容のできないものが、とっさの間に彼の身体を通過した。  同時に聡明な彼の頭に一種の疑が閃めいた。 「此奴ら二人は共謀になって先刻からおれを馬鹿にしているんじゃないかしら」  こう思うのと、大通りの角で立談をしていた二人の姿と、ここへ来てからの小林の挙動と、途中から入って来た原の様子と、その後三人の間に起った談話の遣取

          表へ出た三人は濠端へ来て、電車を待ち合せる間大きな星月夜を仰いだ

          やッぱり実戦でなくっちゃ君は悟れないよ

           小林は旨く津田を釣り寄せた。それと知った津田は考えがあるので、小林にわざと釣り寄せられた。二人はとうとう際どい所へ入り込まなければならなくなった。 「例えばだね」と彼が云い出した。「君はあの清子さんという女に熱中していたろう。ひとしきりは、何でもかでもあの女でなけりゃならないような事を云ってたろう。そればかりじゃない、向うでも天下に君一人よりほかに男はないと思ってるように解釈していたろう。ところがどうだい結果は」 「結果は今のごとくさ」 「大変淡泊りしているじゃないか」 「

          やッぱり実戦でなくっちゃ君は悟れないよ