ゲーム開発のPMは楽しいという話
この記事は、Craft Eggアドベントカレンダー2022、10日目の記事です。
自己紹介
株式会社Craft Eggでプロジェクトマネージャーをしている井上です。ゲーム開発に関わって10年ぐらいたったかな…といったキャリアです。普段はゲーム開発をして、余暇はゲームを遊んでいるようなタイプです。
今回アドベンドカレンダーに参加しまして、ゲーム開発のPMについて書かせてもらいます。(半分ぐらいPdMかもしれない)ゲーム開発においてはPMというロールを置く場合と置かない場合があり、プロデューサーやディレクターが担っていることもあります。なんかよぉわからん…という印象の方がいたり、「お金とガントチャートの管理だけしているんでしょ?」という印象の方がいると思うので、「いやいやPMって結構楽しいよ」ということを伝えたいです。この記事をきっかけにゲーム開発のPMに興味を持ってくれる人が増えるといいな…と思います。
PMの楽しいところ
まずはセールスポイントから。また以降のPMの話は3社ぐらいでゲーム開発のPMとして働いた経験ですが、自己流であり弊社流ではありますので、現場や会社によっては違うかもしれません。あくまで「弊社だとこんな感じだよー」という紹介になります。
①ゲーム開発のほとんどのところに関われる
プロジェクトマネージャーの定義から、自分のプロダクトの品質・納期・コストに責任を持たなければなりません。ということはスケジュールは遅れてはいけないのと同じぐらい、クソゲーを作ってはいけないわけです。ゲームは面白いゲームを作ってプレイヤーさんに楽しんでもらい、ゲームに対してお金を払ってもらうビジネスです。面白くないゲームを作っていてはプロジェクトは事業成果を上げれず失敗です。そのため面白いゲームを納期内につくることにあらゆる努力をするのがPMだと思います。
納期内というのがクローズアップされがちですが、それはあくまで一端だというのがわたしの持論です。納期内にできたが誰も遊んでくれないゲームもこれまた失敗プロジェクトになります。
②役割に捉われず動ける
前段のとおり、プロジェクトを成功に導くのがPMの仕事なら、ゲーム開発のあらゆるところが分掌になります。裏返すと、ディレクターや各責任者とも話し、自分自身がしっかりと自信をもってお客さまにお届けできるモノか、判断できなければいけません。鉛筆を舐めているだけの人はPMではないと僕は考えています。そうすると責任領域は広く、ゲームのあらゆる部分に責任がありますが、その中で責任分担をしつつ、自分が関与すべきと判断したところには関与していいはずです。
プロジェクトの中を飛び回り、ゲームが成功すると思われるためのあらゆる手段を取りましょう。会社によってPMの関われる範囲、意思決定の範囲のようなモノは違いがあると思いますが、言ってしまえばそこも含めて勝ち取っていくのが結果を出せる人間だと考えています。
③人の役に立てる
とはいえマネージャーですので、自分がすべての開発作業をしていくわけではありません。基本的にはプロジェクトメンバーが迷わないように整理し、人と話すことが多い仕事です。言ってしまえば、「プロジェクト内の困ったこと解決屋さん」という立場であると思います。自分に天才的なスキルがなくても、人の役に立つことでゲーム開発に貢献できる役割です。
ゲーム制作の主役はあくまでメインプロデューサーや、才気溢れるクリエイター、凄腕エンジニアであると考えています。マネージャーはあくまで彼らが困らないように、サポートする立場ですが、だからこそ貢献できることは色々あるはずです。(ゲーム開発現場は大体カオスです)なので最近では、課題が山積みの現場ほど楽しいです。「おーこんなにゲーム開発を良くできるところがあるなー」という前向きな気持ちになります。
逆にPMの楽しくないところ
良いことばかりを言っていると嘘くさいので、楽しくないことも書きます。
①責任は重く覚悟は問われる
いろいろなところに関われる、と書きましたが逆にいうと品質・納期・コストについてはあらゆることろに責任があります。ゲームの面白さや事業計画はプロデューサーや事業責任者が本懐と思いつつ、PMも責任の一端があるからこそ、あらゆることに関わります。仕事における責任とは何なのか、というのもいずれ書きたいテーマですが、ようは「自分がやりきる覚悟」みたいな感じでしょうか。失敗したら辞職するのか、でいうとそういう話ではなく、むしろ失敗したこそ、同じ会社で挽回しないと逃げになってしまうのかなと思います。そういうメンタリティが責任をもつ、ということかなと考えます。
②調整が多い時期はゲーム開発そのものから遠のく
特に開発初期はこんなゲームをつくるぞ!あんなゲームをつくるぞ!といった話し合いが多く、開発フローの課題解決やチーム内の効率化などを考えていくことが多いです。そうすると、メンバーと話し合ったり課題をまとめたり、そういった調整をしている時間がほとんどの時期もあります。人の役に立ててるなーという実感もあるのですが、ゲームクオリティに直接関われない時期もあり、なかなか悩ましいところです。
③将来のことはだいたい解らない
PMで一番多いのはこれかもしれません。将来の計画を任されることが多く、事業の計画として「3年後にこのゲームをリリースしよう!」といった計画策定をしないといけませんが、ぶっちゃけゲーム開発という不確実性が高いプロジェクトの未来は誰にもわかりません…。その中でなるべく計画に近づけるよう、未来を収束させていく必要があります。未来の予想や計画は困難ですが、「このゲームいつできるかわからんのよね。つまりお金もいくらかかるかわかんない」だと、会社の事業としてやれないので、素晴らしいゲームを作るために頑張って計画を立てます。最後はだいたい、「まあこんなもんだろ!いけるっしょ!」という気合いも必要です。
以上がプロジェクトマネージャーの仕事ややっていること、面白いことや大変なことになります。興味が湧いたでしょうか。やはりマネージャーなので本質は調整役、忙しいは忙しいです。(ゲーム業界に暇な人は基本的にいませんが)
一言でいうとPMはゲーム開発におけるジェネラリストだと感じます。ゲームを好きな人こそ、多くのことに関われ、役割に捉われず自分のゲームに主体的に関われるPMを目指してみてはいかがでしょうか。
ゲーム業界にPMが増え、クリエイターを助ける人が増えることで素晴らしい作品が世に出ることを願っています。そして僕は面白いゲームをたくさん遊びたいのです!!
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