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モネの《睡蓮》から学んだ4つの考え方

こちらのnoteは「Goodpatch Design Advent Calendar 2024」の1日目の記事として書きました。他の投稿もぜひご覧ください!


デザインのこれまでと現在

「デザイン」と聞いた時、あなたは何を連想しますか?

19世紀、産業革命の時代に誕生したと言われるこの言葉は、社会や経済の変化に伴ってその意味や対象を広げ続けています。
そして現在のビジネスシーンにおいては、例えばグラフィックデザイナー、空間デザイナー、UIデザイナー、UXデザイナー、Webデザイナー、コミュニケーションデザイナー…というように、数多くの「デザイナー」が活躍しています。

引用:「Designship 2024

私の在籍しているグッドパッチという会社では「デザインの力を証明する」というミッションを掲げ、2011年の創業以来、デザインやデザイナーの役割を広げ、その価値を高める活動を行ってきました。
現在約260名のメンバーが所属していますが、必ずしもデザイナーとしてのバッググラウンドがあるメンバーだけではなく、これまでコンサルタントや企画職など他職種として働いていたメンバーなどが「デザイナー」として活動しています。

作り手へのリスペクト

そんなデザイン会社の中で、私自身はPRとHRの仕事を担当しています。直接的なデザイナーとして活動しているわけではありません。

ではなぜ、デザイナーではないのにデザイン会社で働いているのか。
それはやはりデザイン、もう少し広義で言うと美術が好きで、その作り手に対して尊敬の念のようなものがあるからだと思います。

もともと私は大学時代には「美術史」を専攻し、19世紀フランスの印象派絵画を中心に学んでいました。そのため美術や芸術に触れることは学生時代から機会としても多かったのですが、一方で自分自身で表現することや何かを作ることには苦手意識があり、大学卒業後に新卒で入社した会社はいわゆる一般企業の総合職でした。

美術史とは
もともと、作品や時代のスタイルを分析する「様式論」と、テーマやその意味・内容を考察する「図像学( イコノグラフィー)」の2本柱で研究が進められてきました。しかし近年では、歴史学はもとより宗教学や文化人類学、社会学や考古学などの周辺諸学の学術的な成果を積極的に導入しつつ、新たな広がりと深まりを見せようとしています。また広告やデザイン、写真やアニメは当然のこと、漫画や落書きまでも美術史の射程に収めており、授業では伝統的なディシプリンを修得する一方で、先端的な題材や現代美術の趨勢にも目を向け、つねに「生きる学問」としての美術史を目標に掲げています。

https://www.waseda.jp/flas/hss/about/course/art_history/

そこから巡りめぐってデザイン会社であるグッドパッチで働いています。美術史を学んでいたことが、私をこの会社に巡り合わせてくれたのだと思います。

※定義によってはデザインと美術は別物とされてしまうかもしれませんが、私個人としては「作るという行為そのもの」や「作り手の存在」を重視しているため、その点は特に気になっていません。

美術史から学んだ考え方

引用:クロード・モネ《睡蓮》1916年(国立西洋美術館所蔵

そして、美術史で学んだ知識や考え方は、社会人になった今、大切なビジネススタンス・ビジネススキルとなっていると感じます。
他の学問と比べて美術史は実務とは縁が無いと思っていたのですが、振り返ってみると実はこれまでの社会人生活を支えてくれていました。

言葉にすると恥ずかしさもあるのですが、せっかくの機会ですので、美術史を学んでいたからこそ個人的に大切にしている4つの考え方を抜粋して紹介します。

1:感覚と論理を掛け合わせる

美術史の最も面白いところは、美術作品や作家を軸とし、美という非常に個別的で感覚的なものを対象として、学問としての普遍性が成り立っているところだと思います。
一見すると矛盾しているようですが、それが成立しているところがとても面白いと感じます。

感覚と論理のどちらかだけではなく、そのどちらも重視することが大切。

2:よく観察する

美術史で絵画を観るときには次のような順序で分析をしていきます。
・まず事実として何がどのように描かれているのか
・そして作者の人生や歴史的な背景を踏まえるとそこからどのような考察ができるのか

主題や筆致、画材、配色などに至るまで、まずは対象をしっかり観察することが美術史の基本的な研究アプローチ方法です。
さらに、そこに作家のパーソナリティ(どんな人生を歩んできたのか、何を信条としていたのかなど)を掛け合わせて考察をしていきます。
たとえ同じモチーフを描いていたとしても、人によってそれを選んだ理由は異なり、それぞれに込められた意味合いも変わってきます。

まずは対象をしっかり観察して事実を把握すること。そしてそこで得た情報と人を切り離さずに考えることが大切。

3:潮流を読む

印象派が誕生した背景には次のような出来事があったと言われています。

・当時は「写実主義」が主流で、現実をそのまま見たままに描いていた
・ダゲレオタイプ、カロタイプと呼ばれる写真技術が誕生した
・写実に残すという点では、写真に絵画が代替される恐れがあった
=芸術家として失職する恐れがあった

このような時代背景において「今まで通りの画風では写真に自分たちの立場が代わってしまうかも。これまでと違う芸術のあり方を模索しなくては…」という葛藤のなかで生まれたのが、印象派と呼ばれる(その瞬間を見たままに描きとめる)新しい画風でした。

(釈迦に説法ですが)世の中は常に変化するので、潮流に合わせて自分自身も変化することが大切。

4.人にポジティブに向き合う

モネの《睡蓮》の連作であれ、ミケランジェロの彫刻であれ、何よりも素晴らしいと思うのがその作品が現在も残り続けているということです。
数百年〜数千年にわたって作品を保護し残し続けるという人間の意志と営みが紡がれてきたからこそ、私たちが今日作品を鑑賞することができています。
そして、美術を介して「綺麗だな」と心から思うことは、その人にとってポジティブな影響があり、私たちが美術作品を鑑賞する大きな理由の一つではないかと思います。

先人たちのように何千年も残るような偉大な作品を作ることは難しいと思いますが、人にポジティブな影響を与えるというのが、美術の本質の一つだと思っており、自分のできる範囲でこのことは実践していきたいと思います。

例えばコミュニケーションひとつでも、人にポジティブな印象が残るような仕事をしたい

最後に

ここまでご覧くださりありがとうございました!
グッドパッチでは現在、さまざまな職種を募集しておりますので、ご興味がある方はキャリアサイトをぜひご覧ください。

他の記事もお楽しみに!それではありがとうございました。


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