炭酸水素ナトリウムについて
炭酸水素ナトリウムと聞いて何を思い浮かべますか?
え?京大病院の6.7倍のメイロン???たしかに最近そのような医療ミスがありましたね。そうではなく、重曹と言えば思い浮かべやすいですかね。
一般的には掃除や料理に使われると思いますが、医薬品にも炭酸水素ナトリウムはありますし、薬剤師なので今日は医薬品について勉強します。
炭酸水素ナトリウムの化学式はNaHCO3で、水溶液のpHは弱アルカリ性です。
炭酸水素ナトリウムの適応は下記の通りです。
(経口)
・下記疾患における制酸作用と症状の改善
胃・十二指腸潰瘍、胃炎(急・慢性胃炎、薬剤性胃炎を含む)、上部消化管機能異常(神経性食思不振、いわゆる胃下垂症、胃酸過多症を含む)
・アシドーシスの改善、尿酸排泄の促進と痛風発作の予防
(含嗽・吸入)
・上気道炎の補助療法(粘液溶解)
経口での処方は見かけることはありますが、含嗽・吸入は見たことがないのでイメージが全くわきません。
今回炭酸水素ナトリウムを勉強しようと思ったきっかけはこれから記載しますが、抗がん剤投与中の患者に処方されていたのを見かけたからです。
炭酸水素ナトリウムはイリノテカンの副作用である下痢の予防に対して用いられるようです。
イリノテカンによる遅発性下痢症に対して、ウルソデオキシコール酸による胆汁のアルカリ化、炭酸水素ナトリウムによる腸管内のアルカリ化によりSN-38(イリノテカンの活性代謝物)の吸収を抑制し、酸化マグネシウムによりSN-38排泄を促進することで、発症率を下げることに成功した。といた文献もあるので、エビデンスのある予防法なのかなあ。ちなみにイリノテカンの下痢に対しては半夏瀉心湯も有効です。
炭酸水素ナトリウムがイリノテカンの抗腫瘍効果に与える影響なども気なりますが、大変なので調べるのはやめました。
今後、炭酸水素ナトリウムが処方されてたらドヤ顔で調剤してそうです。
それ以外の炭酸水素ナトリウムの用途としては、掻痒感のある患者に対してその症状の緩和目的に重曹清拭やレスタミン軟膏の塗布を行うことがあるようです。
これは重曹水が弱酸性である汗と化合して二酸化炭素を発生させることにより、その際の刺激が掻痒感を紛らわせるのではないかと考えられているらしいです。が、詳しく調べていないのでまた後日調べたいと思います。
炭酸水素ナトリウムは注射剤ではメイロン静注®があります。
こちらの適応は下記の通りです。
・アシドーシス
・薬物中毒の際の排泄促進(ただし、pHの上昇により尿中排泄の促進される薬物に限る)
・動揺病、メニエール症候群、その他内耳障害、急性蕁麻疹に伴う悪心・嘔吐およびめまい
メイロン®と混注不可な製剤はCa製剤、Mg製剤、ドパミン、ドブタミン、ミダゾラム、イソプロテレノール、ベクロニウム、アドレナリンなどがあります。理由はいつか調べたいです。
またメイロン®は袋に入っていますが、その理由わかりますか?
炭酸水素ナトリウムは徐々に炭酸ガスを放出し、その一部が炭酸ナトリウムに変わります。そのため容器を炭酸ガスバリア性のフィルムで包装し、包装内を炭酸ガスで置換し、気液平衡を利用することで製品の品質を保っています(多分)。
こんな感じで、インジケーターの色で使用できるか判断できます。
こういうところで物理とか化学が必要になるんですね。
また、大塚製薬のHPには希釈についても記載があります。
ちなみに7%と8.4%という二つの規格がありますが、上の図からもわかりますが、8.4%のほうがアシドーシス補正時の投与量が計算しやすいです。7%の製品のメリットは誰か教えてください。
あとは僕もよくわかっていませんが、「重炭酸ナトリウム負荷試験」というものもあるようです。重炭酸ナトリウムは炭酸水素ナトリウムと同じものを指します。これは副甲状腺における副甲状腺ホルモン(PTH)分泌予備能の評価に用いられますが、詳細は調べてないので割愛します。
今回は使命感で投稿しただけで、誤字脱字や内容などもろくに確認せずに投稿するので、後日清書したいです。
あとであとでが多すぎますね。
【参考文献】
1)Int J Cancer. 2001 Apr 15;92(2):269-75.
2)大塚製薬HP