ラツーダ錠
お久しぶりです。
しばらくやる気がなくてサボっていましたが、再開しようと思います。
今回は最近よく見かけるラツーダ錠(ルラシドン)です。
まずは簡単に概要から
医薬品名:ラツーダ®錠20mg、40mg、60mg、80mg
一般名:ルラシドン塩酸塩
薬価基準収載日:2020年5月20日
効能・効果:統合失調症、双極性障害におけるうつ症状の改善
用法用量:
①統合失調症:通常、成人にはルラシドン塩酸塩として40mgを1日1回食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は80mgを超えないこと。
②双極性障害におけるうつ症状の改善:通常、成人にはルラシドン塩酸塩として20mg~60mgを1日1回食後経口投与する。なお、開始用量は20mg、増量幅は1日量として20mgとし、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は60mgを超えないこと。
以上が添付文書に書いてある情報です。
作用機序はセロトニン・ドパミン拮抗薬(SDA)に分類される非定型抗精神病薬です。
もう少し詳細な作用機序は、ドパミンD2受容体、セロトニン5-HT2A、5HT1A、5-HT7受容体に対して結合親和性を示し、ドパミンD2受容体、セロトニン5-HT2A、5-HT7受容体に対しては遮断薬として、セロトニン5-HT1A受容体に対しては部分作動薬として作用します。これらの薬理作用が統合失調症における陽性症状・陰性症状、双極性障害におけるうつ症状の改善に寄与していると考えられています。
ヒスタミンH1やムスカリンM1/M2受容体への親和性はかなり弱く、傾眠や体重増加、抗コリン作用による副作用の発現リスクは少ないと期待されています。
下図は販売元のサイトからの転載です。Q&Aなど色々な情報があるので是非見てみてください。
ところでセロトニン5-HT7受容体ってなんぞや、と思いませんでした?
大学でセロトニン受容体について勉強しましたが、僕はモサプリドの5HT-4までしか習っていません(多分)。ですので、5-HT7について少し調べてみました。
5-HT7受容体はシナプス後に存在し、セロトニン放出の調整に重要な役割を担っています。遮断されるとセロトニン放出は脱抑制されます。5-HT7受容体は視床、視床下部、扁桃体、大脳皮質、海馬、自律神経節、近く神経節などに発現し、サーカディアンリズム、レム睡眠、痛覚、学習、記憶及び体温・血圧など自律神経機能調節に関与しています。
5-HT7受容体についてはもう少し理解が深まったら単独で記事を書きたいと思います。今はほとんど理解していません。
続いて処方鑑査の観点から見ていきたいと思います。
僕的ポイントは相互作用です。
以下添付文書より、
本剤は主にCYP3A4で代謝を受けて消失するため、CYP3A4の強力な阻害剤や誘導剤とは併用禁忌となっています。CYPの強力な阻害剤であるアゾール系抗真菌薬のイトラコナゾール、ボリコナゾール、ミコナゾール(経口、口腔用、注射剤)、フルコナゾール、ホスフルコナゾール、そして僕が冬眠している間に登場したポサコナゾール、HIVプロテアーゼ阻害剤であるリトナビル、ロピナビル・リトナビル配合剤、ネルフィナビル、ダルナビル、アタザナビル、ホスアンプレナビルのほか、コビシスタットを含む製剤、クラリスロマイシンは、併用により本剤の血中濃度が上昇し、本剤の作用増強の恐れがあるため併用禁忌となります。また、CYP3A4の強力な誘導剤であるリファンピシン、フェニトインは併用により本剤の血中濃度を低下させ、本剤の作用が減弱する恐れがあることから併用禁忌となります。
あとは抗精神病薬のお決まりのアドレナリンも禁忌です。理由はそう、アドレナリン反転ですね。
あとは併用注意に、ジルチアゼム、エリスロマイシン、ベラパミルなどがあります。ジルチアゼムについては添付文書に併用時のルラシドンのAUCが2倍程度に上昇したとの記載があります。
たまーーーーーーーに同じ薬局で調剤しているのにラツーダと上記の風邪薬が併用されてたりするのを見かけますが、罪深いですよね。
ラツーダに限らずSDAに分類される薬はCYP3A4阻害剤との相性がよくない薬が多いですよね、ペロスピロンやブロナンセリンなどです。これらの薬は3つとも空腹時で吸収が低下するため食後投与となっています。グループとして覚えやすいです。
あとは肝機能や腎機能も処方鑑査をする際は注意が必要です。
添付文書に用量調節の仕方が記載されているので見てみてください。
個人的に面白いなと思ったのが、販売されている規格の最小単位が20mg、その他規格も倍数なのに増量幅が10mgだったり、開始用量が10mgだったりと半錠が問題ないことが暗に示されていることです。調べる手間が省けますね。これで半錠は推奨されませんとか言われたらどうするんでしょうね。
あとは副作用を少しだけ、
悪性症候群、錐体外路症状、高血糖、糖尿病性ケトアシドーシスなどがあります。ただ錐体外路症状は定型抗精神病薬と比較すると軽減されていると考えられています。QT延長のリスクはないと言われています。
ぶっちゃけ僕もそんなにわかってないので、いつかアップデートしたいと思います。