令和5年(ワ)第70422号
引用は判決文から。強調は筆者による付加。
主文
法律
著作権法
概要
令和2年2月、原告A(カメラマン)がColabo代表の肖像を撮影した写真(「本件写真」)を撮影。
原告社団は、令和2年3月~令和4年5月、「シリーズ キモいおじさん」と題する全4回の動画のサムネイルに本件写真を使用。
被告は、令和4年8月~12月、本件写真を利用して作成した動画(「本件各動画」)を自身が運営する「暇な空白チャンネル」(「被告チャンネル」)に投稿。その際、著作者である原告Aの氏名を表示していない。
原告A及び(原告Aから本件写真の著作権の譲渡を受けたと主張する)原告社団(のりこえねっと)が、被告に対し、著作者人格権及び著作権に基づき、本件写真の使用等の差止め及び損害賠償を求めて提訴。
裁判所の判断
争点1:本件写真の著作権の帰属
→ 原告Aによる本件写真の納品及び原告社団による対価の支払をもって、原告Aから原告社団に対して本件写真に係る著作権が譲渡され、原告社団にその著作権が帰属
争点2:原告社団の著作権侵害の成否
→ 被告による本件写真の利用は、本件写真に係る原告社団の著作権(複製権、公衆送信権)の侵害に該当
(1) 複製権及び公衆送信権侵害の有無(争点2-1)
→ 肯定(侵害有り)
(2) 引用の成否(争点2-2)について
→ 否定
争点3:原告Aの著作者人格権侵害の成否
(1) 氏名表示権侵害の有無(争点3-1)
→ 肯定
(2) 同一性保持権侵害の有無(争点3-2)
→ 肯定
(3) 名誉又は声望を害する方法による利用行為該当性
→ 否定
争点4:差止めの必要性の有無
→ 肯定
争点5:原告らの損害の有無及び額
(1) 原告社団の損害 → 77万円
ア 著作権侵害による損害 70万円
イ 弁護士費用 7万円
(2) 原告Aの損害 →33万円
ア 著作者人格権侵害による損害 30万円
イ 弁護士費用 3万円
裁判体
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 杉浦正樹
裁判官 石井奈沙
裁判官 志摩祐介