激動を生き抜く!これから地方公務員が考えるべきこと:若手職員に大いなるリスペクトを!
私が勤める大学でも毎年、多くの学生が公務員に就職しています。来春卒業予定の学生からも、公務員としての就職が決まったという報告を受けると、試験を終えてホッとすると同時に、これから多くの有意義な経験を経て成長してほしいと願うばかりです。
私はかつて、地方公務員として勤務していましたが、同年代・同期の仲間は課長になっています。つまり、新卒の学生から見れば上司になります。私が就職した頃に接した上司は、とてつもなく年上で威厳がある雰囲気だったので、若手のこちらから話すのはとても大変だったことを記憶しています。
しかし、今は自分が上司に相当する立場・年齢となりましたが、自分が若手から見てそうした境地に達しているかどうか、心許なく感じます。現在、私が接しているのは学生ですが、彼らの感性や姿勢には今の自分にない「未来への明るい希望」を感じます。威厳で話しかけづらくするのではなく、学生を尊重し、無限とも言える可能性を引き出すのが教員としての自分の役目だと痛感しています。
これは公務員の世界でも同じではないでしょうか。公務員の世界は、今なお年功序列であり、上司の命令に従う義務まで求められています。しかし、それが公務員の仕事にプラスとなるには、前提として、新卒一括採用が中心で経験が能力を高め、一元的指揮系統であることが求められます。この中で今でも成り立つのは1つもありません。新卒一括採用だけでなく経験者採用や氷河期採用なども増えていますし、何よりも能力を高めるのは経験だけでなくなっています。そして、一元的指揮系統もまた、縦割りの弊害によって必ずしも有益なものではありません。
特に、公務員の経験は必ずしも能力を高めるものではありません。例えば、若い人が使いこなしているスマホを行政サービスに活かす方法は、若手公務員の方が当然に熟知しています。私が就職した頃はパソコンが登場した時で、デスクのパソコンを上司が使いこなせない事態も起きていました。それが今、スマホでも起きているわけです。上司が若い頃に得た経験から脱却できず、成長が止まってしまうケースが多いのではないでしょうか(自分自身も例外ではありませんが…)
そして、これからさらに多くの変化が起きてきます。人口減少や高齢化だけでなく、AIやメタバースなどデジタルの新たな技術が生活を大きく変えることになります。若手職員は、これらを使いこなして新しい行政サービスを創造する世代でもあります。むしろ、若手職員よりもさらに若い人、つまり現在の子どもたちがその世代に該当するのかもしれません。
そうした時代に、年功序列は果たして有益なのか。学生は早く活躍したいのです。公務員の人気が下がっているというニュースをよく見ますが、それは長時間労働だけでなく年功序列が今も根強く残っていることも関係していると思います。ただ、若手職員は上司のポストを望んでいるとは思えません。むしろ、自分のアイデアややる気を活かせる仕事を求めているように思います。
そこで、今のベテラン上司は年功序列のなかで上司であり続けても、上司が若手をリスペクトして、若手の活躍を上手に引き出し、見守ることが大切なのだと思います。公務員が定年退職を迎えた時に「大過なく仕事をまっとうできた」と職員に挨拶すると言われていますが、大きなミスをしないようにするには職員に冒険をさせないことなので若手職員のやる気や創造力を阻害してしまう可能性があります。しかし、それではこれからの上司として失格と言わざるを得ません。年功序列を打ち破るか上司のマインドを変えるか、いずれかが必要になるでしょう。
私も教員として学生に接していると、その創造的な考え方に学ぶことがたくさんあります。私の恩師も「良い教師は学生が育てる」と言っていました。今、私がまさにそれを実感しています。同じように、良い上司は部下が育てるものなのかもしれません。公務員の上司にとっても、部下は指示に従う存在だけではないはずです。部下を「自分を成長させてくれる存在」として捉え、リスペクトの念を持って仕事に向き合っていく時代だと思います。
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