選挙・政治への参加を促す「遊佐町少年議会」の取り組み


  6月15日のNHK「クローズアップ現代」で放送された、投票率の向上に関する放送「崖っぷち!?“投票率”は上がるのか」が大変興味深いものだった。

 選挙の投票率が低下し、特に若者の投票率が低い。それは、若者の負担増加をもたらすという試算が紹介された。厳密な因果関係ではないかもしれないが、若者の政治離れは政策にも影響を与えるであろう。「自分たちの一票が反映されるわけではないから…」「面倒くさい…」といった理由が聞かれるが、それが大きなコストを若者に課しているとすれば、この考え方を見直す必要がある。

 続いて、投票率が全国一高い山形県遊佐町における少年議会の取り組みが紹介された。これは、実際に「少年議員」と「少年町長」を子どもたちによる選挙で選び、少年議会を開いて予算措置(45万円)も行って政策を実施する、というもの。まさに、選挙と政治そのものを少年に行ってもらう取り組みである。
 多くの自治体でも、子どもたちの議会見学や対話などが行われているであろう。しかし、それは大人が「教える」ものであり、子どもたちにとってすぐに自分ごとにはならない。子どもたちを「未熟者」と捉えている節もありそうだ。しかし、少年議会は子供たち自身が決め、行動するものであるから、まさに子どもたちが自分ごととして責任ある行動が生まれる。この経験が遊佐町における投票率の高さに結びついているのではないか、ということを番組からのメッセージとして感じた。

 私が関わっている福井県鯖江市では、提案型市民主役事業という取り組みがある。市が行っている事業の改善案を市民が提案し、良いものは提案者に実施していただく、という仕組みである。市民の主体性を引き出すだけでなく、市のサービス改善にもつながる。これは大人の市民が中心だが、自分ごととして市民が関わることに大きな意義があると思う。

 遊佐町の少年議会は、さらに子供たちに主体的に取り組んでもらう施策として、やはり意義深いものと思う。しかも、番組では子供たちがまちの課題を自分たちの足と目と耳で発見し、解決策を提案している姿もあった。まちへの愛着と「自分たちでも解決できる」という意識が生まれることは、若者のその後の政治への関わり方に大きな効果をもたらすであろう。
 地方創生では、どうすれば若者が地元に残ってくれるか、大人たちが一生懸命考えている。しかし、大人のフィルターを通せば若者目線はいつの間にか薄くなってしまう。そろそろ子どもたちを「未熟者」や「未来の担い手」と捉える発想から脱却し、「今すぐ関わってもらう」仕組みを少しづつでも取り入れた方が良いのではないだろうか

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