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今日からできる、飲食店の為のリピーター育成法

主として飲食店の店長さん向けに、お店のリピーターを育成するための、考え方と具体的な手法を、私自身の約10年に及ぶ大手外食チェーンでの経験を踏まえ、集客に苦戦する飲食店の店長さんのお仕事に、少しでもお役に立てればと思い、執筆いたしました。

 現在、外食市場は、お客さんを奪い合う、まさに戦国時代に突入したと言っても過言ではありません。特に、ここ最近では、業界の垣根が完全に崩壊し、コンビニやスーパーと言った、別業種が外食市場に続々と参入し、顧客獲得競争は熾烈を極めています。

 その結果、各社とも新規顧客獲得に必死になり、多額の販促費用を投下し続けており、新規顧客獲得コストは年々うなぎ上りの状況です。

 その新規顧客獲得のために実施している販促施策が、本当に効果的なのか?と、ほとんどの店長さんが疑問に思っているはずです。でも、店長さんは疑問を持ちつつも、その販促手法を見直したり、止めたりすることができません。

 その理由は、”止めたらお客さんが来なくなるかもしれない”と、思うからなんです。

 もちろん、いきなりゼロにするのは、リスクが高すぎますが、ほんのちょっとだけ、別のことに使うのであれば、問題ないと考えます。

 そこで、本書では、店舗の集客コストを最適化するために、新規顧客獲得に使っている販促費用の一部を、リピーター育成施策に投入し、リピーター育成を進めることで、最終的に新規集客コストを最適化する手法を解説いたします。

 この記事で解説させていただきます手法は、すべて多額のコストをかける事無く、お店レベルで実践可能なものですので、記事の内容を実践していただき、リピーター育成による数々の効果を体験いただければと思います。



1.飲食店集客の現状

お客さんの取り合いが激化で、販促コスト上昇が利益を食い潰す

コンビニエンスストアが業界や業種の垣根を破壊し、侵攻を進めています。今までであれば、外食産業内だけの競争で済んでいました。しかし、現状はコンビニを中心とした流通業が外食市場へ参入しています。

コンビニは、ケンタッキーの牙城であったチキン市場を攻略し、その後、ドリップコーヒー、ドーナツ、、、といった感じで、外食チェーンのメイン商材を導入してきました。そして、ついには、店内にイートインスペースを設置し、ファストフード店だけでなく、ファミレスとも競合するまでになっています。

もちろん、コンビニの進化により、新たな需要を発掘し、従前の飲食店のお客さん以外のところから、新たにお客さんを連れてきている面もあります。しかし、数万店規模のコンビニがイートインスペースを設置する流れは、飲食店にとってはかなりのインパクトがあります。

それこそ、何も手を打たずにいれば、間違いなく、お客さんを奪われる流れに陥ってしまいます。

一方、外食市場内はどうかと言うと・・・・

当然ですが、業界内ではお客さんの奪い合いは激化しています。同時に、働き手の奪い合いも激化しているので、飲食店はかなり深刻な状況にあります。

飲食店の場合、お客さんの奪い合いが激化してくると、最終的に行きつく先は、ディスカウント合戦に陥ってしまいます。

当然、集客は大手広告メディアに頼る状況が続くので、広告コストが上昇し、商品のディスカウントを行うことで、当然、原価高も上昇します。

さらに、折からの人手不足により、人件費も高騰している状況です。

人手不足の中、新規顧客を獲得するために、ディスカウント施策を乱発。結果、お店のキャパを超えるお客さんが来店し、対応しきれず、お客さんに迷惑をかけてしまう状況に陥ってしまうケースも多くなっています

費用をかけて集客しているのに、人手不足で対応しきれず、結果的にお客さんを逃がしている状況です。いうならば、お金をかけて、お客さんに来ないでくれと言っているのと同じことになっています。

当然、人手不足の中で、強引に店を運営するので、従業員も疲弊し、離職へと、つながっていきます。この行き過ぎた、顧客争奪戦の結果、原価上昇、販促費上昇、離職拡大と、まさに負のスパイラルに陥っている訳です。

根本的に打ち手を変えない限りは、この状況を脱するのは難しいというのが現実です。


今までの発想のままでは無理!周囲から頭一つ抜け出すには

新規顧客獲得のために、繰り広げられている考え方や手法は、右肩上がりの成長期の視点のままなんです。ですから、業界の垣根が吹っ飛んで、競争が激化した、成熟期・衰退期には当然、適合しないんです。

だから、集客のために、多額の費用をかけても、お店の業績向上につながるどころか、業績は悪化の一途になってしまいます。

では、今のような、競争が激化した成熟期・衰退期にどのような打ち手がいいのか・・・・

結論から言うと、集客の力の入れ所を、新規から既存へシフトさせる。

つまり、すでに来てくださっているお客さんの利用頻度を上げることに、力点を置くようにします。簡単に言うと、リピーターを増やすと言うことです。

ちょっと、拍子抜けしてしまったかもしれません。

ただ、現状、ほとんどの所が、新規顧客獲得ばかりに気を取られて、すでにお店に、ご来店いただいている既存のお客さんに対するケアが何もできていません。この部分を強化することで、周囲より頭一つでることができます。

もちろん、継続的な新規顧客の獲得活動も重要なので、既存強化と新規獲得を同時進行で実施する必要があります。

別の項目で解説しますが、新規顧客獲得よりも、すでに来店経験のあるお客さんの来店頻度を高める方が、コストも労力も、新規獲得ほどかけずに実施することができます。

しかも、売上貢献効果は新規顧客のそれを、はるかに上回る訳ですから、新規獲得に投下しているコストの一部を、リピーター育成に回すことで、得られるメリットは非常に多くなります。


3.リピーター育成が重要な理由

今や外食市場は戦国時代

今の外食市場は、本当に戦国時代と言っても過言ではありません。なぜかというと、はじめにの部分でも、お話させていただきましたが、異業種からの外食市場への参入が相次ぎ、今までの外食産業内の競争だけでは収まらなくなっています。

コンビニ各社は、イートインコーナーの設置や、店内調理できる惣菜類の充実などを行い、外食市場への参入を加速させています。

その結果、業種業界の垣根を超えて、お客さんの奪い合いを行っている状況にあります。

このような厳しい競争環境の中で、各社とも新規顧客を獲得しようと、多額のコストをかけて、新規顧客の獲得を続けている状況です。

ほとんどのお店が、その集客費用の効果に対して、疑問を持ちつつも、止めたらお客さんを奪われてしまう!と思い込んでいるので、一旦止めて、費用対効果を確認することができないんです。その結果、集客コストは右肩上がりで上昇し、店舗の収益性を悪化させる原因にもなっています。

繰り返しになりますが、新規顧客獲得競争が熾烈を極めており、どこも様々なメディアを活用し新規集客をしています。しかし、多額のコストをかけて、集めた新規のお客さんも、次回来店されるかどうかは解りません。

自分たちが行っている、集客施策で本当にお客さんが呼べているのかどうか。その施策の実際の効果は解らないというのが正直なところではないでしょうか。

ですから、このまま従前どおりの集客施策を続けてくのではなく、一旦立ち止まって、現状のような、激しい競争環境下での最適な集客施策を考える必要があります。


2:8の法則で考えれば、やるべきことはただ一つ!

一般的に、お店の売上の80%は、お客さんのうちの20%、来店頻度の高い、いわゆるファン的なお客さんからの売上になります。つまり、お客さんの上位2割がお店を支えているといっても過言ではないのです。

そして、残りの8割のお客さんで、売上の2割を獲得している訳です。

もちろん、繰り返しになりますが、新規顧客の獲得施策は継続的に行わなければなりません。ただ、上図からも読み取れる通り、売上の8割を支える、お店のファンに位置付けられる来店頻度の高いお客さんを、増やしていく施策も行うことも重要であることも解ります。

当たり前のことですが、お客様の来店頻度が上がれば、売上への貢献度合いも高まる訳ですから、ここに手を打たない理由はありません。しかしながら、ほとんどのお店が、新規獲得にばかりに目が行って、手つかずになっているのが現実です。

また、販促コストの面では、販促コストの8割が、2割の新規顧客獲得のために使われているとも言えます。

つまり、販促コストのほとんどが、新規獲得のために充てられており、既存のお客さんに対するコストはあまりかけられていないのが現状です。

要は、来店されるかどうか分からない、見込み客に対して、ジャブジャブエサを、与え続けているのに、お店に来てくれたお客さんには、あまりコストをかけない状況で、言い換えると、釣った魚にはエサをやらない状態が続いています。


お店の売上を安定させるためには

競争環境が激しい状況下において、お店の売上を安定させる一番の方法は、新規獲得以上に、お客さんの来店頻度を高めることがポイントになります。

つまり、新規顧客獲得中心の販促施策から、リピーター育成中心にシフトさせ、お店のリピーター・ファンを増やすことで、基礎売上を確保し、売上の下支えをさせます。

すでにご存じのことと思いますが、一般に、新規獲得コストよりも、リピーター育成コストの方が圧倒的に低く、売上貢献効果は、リピーター育成の方が圧倒的に高い状況です。

売上の8割を支えるお客さんを、安価に育成できる!

多くの店長さんやオーナーさんは、このポイントを見落としていますので、これに気づいた時点で、周りよりも、確実に一歩リードしている状況とも言えます。


3.リピーター育成法

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現場を熟知しWeb集客に明るいハイブリッドコンサル 大手外食チェーンでの約20年間の業務経験からの知見を基に、飲食店などの有店舗向けのコンサルティングサービス提供。併せてネットやSNSを活用したマーケティング手法をミックスした形での店舗経営&運営の課題解決のサポートを実施