商品を売る側として見せないほうがよい工程
昨日、レモネードの専門店でレモネードを飲みました。半月ほど前に近所のイオンモールにオープンしたお店です。スタンドタイプで目につくお店だったのでオープンしていたのは前から知っていたのですが、あえてお金を出して飲みたいとまでは思いませんでした。
ところが、このお店のアプリに登録すると無料クーポンがもらえるということで、試しに飲んでみることにしました。本当は写真なども載せるとよいのでしょうが、ここでこのお店の名前を書くつもりがないので文章だけです。
このお店について書こうと思ったのは、お店の「サービス」について気になることがあったからです。味のことではありません。味は感動するほどおいしいということはありませんでしたが、あっさりしていてまあまあおいしいレモネードだとは思いました。
気になったのはレモネードの入れ方です。というのは、お店の人は、お酒の一升瓶を一回り大きくしたような白いポリタンクに入っているレモネードの液体をプラスチックのカップに入れたのですが、ポリタンクからレモネードを入れるその様子を見て、あまりおいしそうには感じられなかったからです。
ここで重要だと思うのが、「実際においしいかどうか」ではなく、「ポリタンクに入っているレモネードの液体がおいしそうに見えない」ということです。上に書いたようにレモネード自体はまあまあおししかったです。しかし、商品の「印象」というのもやはり重要で、「ポリタンクに入っているレモネード」はどうしてもおいしそうに見えませんし(「飲み物」というより「液体」というイメージを持ってしまう)、おいしそうに見えないどころか、出来合いの安っぽいレモネードという印象を与えてしまいます。
アプリでレモネードの無料クーポンを配布しているのは、自社のレモネードという製品を多くの知ってもらい、後々レモネードを買ってもらうためだと思うのですが、少なくとも「商品のイメージ」という点では、今回のような工程を客に見せることはかえってマイナスの印象を与えるような気がします。
こちらのお店のウェブサイトを見ると、「店頭で一つずつスタッフが手作りした新鮮なレモネード」とあり、確かに私が無料クーポンを使ったお店にも大きなレモン絞り機が置いてありましたが、今回のような商品の提供の仕方をすると、「一つずつ手作りした新鮮なレモネードと書いてあったのに」という印象を逆に与えてしまい逆効果だと感じました。
もちろん無料で提供するレモネードですから、一つずつレモンを絞って提供するのはコストと時間の面で難しいとは思いますのでそれは分かります。しかし、白い大きなポリタンクからレモネードを注ぐ様子を客に見せないことは難しいことではありません(なお、私がレモネードをいただいた時は他の客はいませんでしたので特別忙しかったわけではないと思います)。例えば、もう少し小さめの、レモネードがおいしく見えるような容器に入れておくだけでも印象は変わると思います。
また、私のようにポリタンクに入ったレモネードを気にしない人も一定数はいると思うのですが、少なくとも、「店頭で一つずつスタッフが手作りした新鮮なレモネード」を提供する「レモネードの専門店」のイメージを高めることにはつながらないような気がします。
もちろんイメージだけ良くても実際の商品がおいしくなければ意味がありませんが、おいしさが同程度の商品であれば、イメージの差は重要だと思います。そういう点から、今回の出来事は、「サービス」としての商品の「イメージ」の大切さということを考えるいいきっかけになりました。