推し活は、持続可能な自己啓発

9月のわたしは、ひたすらに卑屈モードだった。
仕事でハプニングが続き、心のゆとりをガシガシ削られていく。
ネガティブに支配されると、当たり前だけどnoteもあまり楽しく書けない。ひねくれを悪い方向に使ったような文章を量産してしまった。
結果、反響もよろしくないので、ますますどよーんと落ちていく。

「今月中に仕上げる」と意気込んでいた文学フリマ用のエッセイも、亀の歩みでしか進んでいなくて。案の定、9月のうちにおわらない。自己肯定感の高速落下は留まることがなかった。

"やっぱりわたしは何もできない無能だ、もう何もしたくない。"

自分用に書き残している日記を読み返すと、自分への攻撃的な言葉がたびたび綴られている。どうしたよ?そんな絶望して、と今なら冷静なツッコミを入れてしまえるけれど、今回のメンタル低空飛行は長丁場だった。

冬頃に当選していたあいみょんのライブですら、なんか気が乗らないな…と思ってしまうほどだったから、かなりの重症。
キラキラしている推しを見たら、自分を心底いやになってしまうような気がしていたのである。

とはいえ、あいみょんを好きな気持ちに変わりはない。さすがに、せっかく手に入れたチケットを無下にするなんて、もったいなさすぎる。直前になると、まあ楽しんでこよう、という気持ちも湧いていた。

迎えた9月28日。ツアー初日に、事前情報ゼロで向かう。彼氏と待ち合わせて、数駅離れた街の喫茶店にもちゃっかり行った。
いつもならのんびり過ごせるはずの空間なのに、今日はそわそわ浮足立っている。当然だ。1年ぶりのライブなのだから。
会えない期間が長かったことも、たぶんネガティブをこじらせた原因のひとつだろう。

会場に着き、フォトブースで写真を取ったあと、いよいよ入場。
友達から聞いていたけれど、ららアリーナは本当にステージとの距離が近かった。
ライブの前、客席に着いて待っていると、いつも気持ちが高まりすぎて吐きそうになる。彼氏となんの話してたっけ。申し訳ないけど全く思い出せない。

一時間ほど待機して、ついに始まった。初っ端から演出がかわいくて、すでに半泣き。初日なので、なんだか緊張感がいつもより強めで。だけれど、あいみょんも聴衆も手探りで徐々にあったまっていく感じは、すごく贅沢に思えた。

ステージで楽しそうに歌っている推しの姿を見ていたら、最近抱え込んでいた黒い渦たちは、どうでもよくなっていた。何なら、この時代に生まれて良かった、だなんて壮大な感情も発生する始末。

そういえばわたしは、あいみょんがまじで大好きなんだった。そんなことすら忘れてしまっていたなんて、そっちの方が大問題じゃないか。

ライブから10日ほどたつけれど、エネルギーが充満している感覚がある。
轟々と激しく燃え盛っているのとは違う。沸々と静かに、でも強く長く滾っている。

あいみょんに会って、本来の自分に戻れたのだと思う。
社会にもまれて、卑屈になって、「もう何もしたくない」と思いがちだったこの頃。
でもわたしは元々、「何クソ」根性がものすごく強い人間だ。
うまくいかない状況で、自分の力不足を感じたとき。「どうせ無理だからもういいや」ではなく、「なんでできないんだよ、ふざけんな自分!」と悔しさをパワーに変えて進めるタイプ。
気にしいで悩みの沼にハマりがちでも、潰れずにやっていけてるのはこの性分のおかげだと思っている。

あいみょんの曲に出会った大学生の頃、今よりもっとくすぶっていて。
自分に自信がない、何をしたらいいのかもわからない、そのくせ自分はこんなもんじゃないとも思っている。清々しいほどに、井の中の蛙。

なりたい姿と現実のギャップに、何度舌打ちをしただろうか。
そんなとき出会ったあいみょんの曲は、自分のひねくれとチューニングが合っていたのだと思う。なんとなーくだけど、彼女の音楽からも「何クソ」と反骨心が伝わってきて。引き寄せられるように聴き込み、どっぷりハマった。

ちょいと恥ずかしい話だけれど、社会人になってから、自己啓発書の類でモチベーションをあげようとしたことがある。
読後すぐは、さっそくやってみよう!とパワーがみなぎる。されどすぐさま、炎は消えてしまい、そのたび自分の怠惰さを呪って、いやーな感情に陥った。

よくよく考えれば、自然な成り行きだ。わたしを奮い立たせてくれるものは、「すぐやる習慣」でも「成功するためのマインドセット」でもないんだから。
推しの歌詞、声、何より人柄。
わたしにとっては、自己啓発本の何倍も、エネルギーで満たしてくれる。持続時間だって、遥かに長い。
もう5年も、活力をもらい続けている。

改めて、「ドルフィン・アパート」に参戦してよかった。この先も、あいみょんの背中を追いかけて、かっけー女になっていこう。
「推し」なんて言葉じゃ役不足になってしまうほど、力強い存在で。
好きになれてよかった、いつもありがとう。

なんか次がないみたいな熱量で語ったけど、このツアーはあと3回いく。たのしみ。

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