公文書として残しておけば必ず読む人がいて、未来に役立つ日が来ると思う。
Twitterに以下(写真あり)の書き込みがあったので載せます。
「猪瀬直樹氏は今でこそ好々爺だが、小泉首相の特命で道路公団民営化委員を務めていた時の氏はまさにジャックナイフであった。そのごく一部を語る官邸サイトの議事録だけ見ても、ノンフィクション小説の一章として成立している。http://202.214.216.10/jp/singi/road/kondankai/050524/kiroku.html」
別にいまも好々爺ではありませんが、このやりとりはアメリカの法廷ドラマのようなスリルがあります。ここに登場する道路公団の実質的な最高権力者の内田副総裁は、この討議で追い詰められて、最後にこの場を逃げ出すまでの部分を掲載します。
この結果、内田副総裁は談合で逮捕されるに至りますが、この民営化委員会で盛り上がったから小泉首相は郵政解散に打って出ることができたのです。
上記のhttp://202.214.216.10/jp/singi/road/kondankai/050524/kiroku.html をクリックすると全文を読むことができます。
こうして公開してやったので電子データとして記録が残ったわけです。河野太郎大臣は、行革をやると言っていますが、こうした公開の委員会(いわばアメリカの議会の公聴会のようなやり方は最初で最後ですが)でやらなければ絶対に役人に誤魔化されてしまいます。
なお民営化委員会はこのとき懇談会という名称になっているのは、7人のうち5人が敵前逃亡したからです。邪魔者がいなくなって、かえってやりやすくなりました。
○猪瀬直樹委員 今、奥山理事と奥田理事がいますが、やはり奥山理事と奥田理事はどちらかというと文科系になるわけで、事務系ということになる。
内田副総裁は理科系というか、技術系になりますね。これは内田副総裁ではないとわからないと思って、今日出席いただいたんですけれども、猪瀬委員提出資料を見ていただきたい。この色が塗られているところは、今、新聞紙上をにぎわしておりますA会、K会の関連なんです。これをめくっていただきますと、色がほとんど付いています。例えば、めくっていきますと、1ページをめくって、裏表がありますけれども、2ページ目もめくって、8ページ目のところで「第二東名高速道路高岡高架橋(鋼上部工)西工事」と書いてありますけれども、このところを見ると65億円ということですね。落札額が68億円です。落札率が98.12 %になります。これは全部色が付いて真っ赤っかというか、この色が黄色と赤が付いていますけれども、これを見ると明らかに談合でありますね。その点、どのように認識されていますか。
○内田副総裁 まず、技術系だから事務系だからということで、こういったことは技術系がわかる、事務系がわかるということではないと思います。
今、猪瀬委員の資料の中にある数字でございますが、これは私の方としては競争の結果、生じたことだというふうに認識しております。
○猪瀬委員 これが何で競争の結果ですか。競争の結果だということをどうやって説明できるんですか。
○内田副総裁 私どもはきちんとした競争入札という手続を行って契約に至っております。
○猪瀬委員 この発注の工事の全体が平均97%なんですね。勿論ところどころ白いのがありますので、すべてが談合とは言いませんが、この今の部分については間違いなく98%で、K会、A会が全部入っていますね。これは談合と言えませんか。
○大宅映子委員 今これを見ていて気が付いたんですけれども、1か所として同じ会社が2度続けて取っていることはないんですね。全部満遍なく。これは時系列に並んでいるようなので、普通だったら同じ会社が2度あり得ると思う。地域も違うからというのもあるんですが、これはずっと入札したところも重なっているところがあっても、必ず同じところは2度というのはないというのが今わかりましたけれども。
○内田副総裁 今見せていただいた、この資料ですけれども、私どもとしては、この結果については、あくまでも、その競争の結果というふうに思っております。
ただ、今話しに出ましたK会だとかA会というのは、今、新聞紙上もにぎわしておりますし、当局がいろいろ調査中であろうかと思います。
その件に関しては、私はコメントを控えさせていただきます。
○猪瀬委員 これは談合でないとしたら、あなたは責任者として自覚が足りなかったのではないですか。つまり、これだけの予定価格に対して、98%、97%であれば、これは談合の結果だろうと普通考えますよ。それを考えないとしたら、おかしいんじゃないですか。認識が足りないのではないですか。
○内田副総裁 私どもの方では、その談合だと断定する根拠もございませんし、少なくとも先ほどありましたように、今回の件に関しましては、当局が調査しておりますし、その結果を私どもは見守りたいと思っております。
ただ、言えることは、落札率が高いから即談合だと決め付けるのはいかがなものかと、私は思いますが、少なくとも私どもの予定価格というものは、それの積算に関わる基準、指標。そういったものはすべて公開しておりまして、かなりの部分はその業界の方でもその積算はできるのではないかと思っております。
○猪瀬委員 繰り返しますが、今まで談合はなかったと思っているわけですか。つまり、これが談合ではないと。では、道路公団の発注工事は談合はないんだと、こういうふうに認識されてきたわけですか。
○内田副総裁 私どもはそう信じて業務を進めております。過去にあった談合につきましては、私もこういった談合のないように、常々業界の方々にも文書での要請もいたしておりますし、適正に執行が行われているというふうに、私どもは信じております。
○猪瀬委員 内田副総裁が信じても、こちらは信じられないんです。まずこれはファクツから積み上げてものを考えるというのが普通の思考方法ですから、ファクツを見れば、これは例外というものはないんです。
つまり、一部、国土交通省の談合の問題で明らかになってきたのは、福島県の会社が1回入っている入札があって、競争入札の結果、落札率が60何%に落ちているところがあったんです。この道路公団の入札は平均すると、みんな97%前後なんですね。一番最後に平均値を示しておきましたが、97%と。これはどう考えても談合だというふうにしか言いようがないんです。
談合じゃないと信じているというんだが、何をもって信じるわけですか。この状況を見れば、疑いの方が強いわけでしょう。そういう疑いを一度も持たずに、ずっと道路公団で仕事をされてきたということですね。
○内田副総裁 当然、談合であると私どもが疑いを持っていれば、しかるべき処置をしておりましたし、この結果をもって即談合の結果であると断定することはできないと思っております。
これは当局がいろいろ調査しておるわけですから、その結果を見守りたいというふうに私どもは思います。
○猪瀬委員 そうしますと、これで公正取引委員会は国土交通省の談合問題について調査し、更に道路公団の談合問題についても調査すると、今新聞に書いてありますね。その結果、これが談合だというふうにわかったら、内田さんはどのようになさいますか。
○内田副総裁 仮定の話になので、お答えしにくいんですが、少なくとも当局の調査の結果、談合であるという事実が明確に判明した場合には、私どもは内規に従って、しかるべき処置をしていきたいと思っております。
○猪瀬委員 今、談合である根拠について、一つ申し上げたいのは、この猪瀬委員提出資料の最初のページに書きましたが、橋梁談合の47社のうち、33社39人が道路公団OBが天下っている。この表ですけども。この色を塗ってあるところは、要するに道路公団から橋梁メーカーに天下りしているということです。では、天下りは談合と無関係だと思いますか。
○内田副総裁 私どもの公団の職員が退職して、こういった会社に就職することは、個人の職業の選択の自由であろうかと思います。このことと今回のその談合とは無関係というふうに信じております。
○猪瀬委員 こういう橋梁メーカーにOBが就職することについての一定の歯止めというものが普通はあるはずなんですね。つまり、普通、役人が天下りをする場合には、何年間直接行ってはいけないとかありますね。道路公団の場合は直に入っていいわけですね。
発注側から受注する側に人が流れていったら、これは普通はルールとしては違反ですね。
○奥山理事 一般的に就職の、国家公務員と同様の規制が必要あるのかどうかということですが、公団の役職員に関しましては、特に法的規制はございません。
国家公務員法によりますと、103 条に私企業からの隔離、あるいは人事院規則により企業への就職についての規制がございます。おっしゃるように、離職後2年以内には離職前5年間に在職していた密接な関係のある営利企業の地位に就くことはいけないという規制がございますが、道路公団の職員に関しては、特に法的規制はございません。
私ども職員は国家公務員ではなくて民間企業の職員でございますので、退職後に民間企業に再就職することについて、副総裁も申し上げましたが、職業選択の自由に関することですし、基本的には当事者と本人との私的な問題であります。公団として規制を行う立場にはないと考えますが、公団の役職員にあっても民間企業に再就職がいろいろ国民の皆さん方の不信や誤解を招くことがないように、より一層の配慮をしていくという指導が必要だというふうに思っております。
○猪瀬委員 ということは、特に規制がないということですね。
内田副総裁に聞きたいんですけれども、かずら会という名前を聞いたことがありますね。
○内田副総裁 新聞で拝見して、そういうものがあるということは承知しました。
○猪瀬委員 新聞で知るまでは聞いたことはないんですか。
○内田副総裁 聞いたことはありません。
○猪瀬委員 うそでしょう。聞いたことがないわけがないでしょう。
○内田副総裁 うそではありません。
○猪瀬委員 何でですか。かずら会というのはOBの間では有名じゃないですか。知らないわけないじゃないですか。
あなたは、今この委員懇談会でうそを言っているんですよ。
○内田副総裁 うそではありません。知りません。
○猪瀬委員 全く知らないわけですか。
○内田副総裁 新聞で知りました。
○猪瀬委員 それはおかしいですね。かずら会を知らないわけがないですよ。かずら会を知らなければ、モグリですよ。そういうことでしょう。業界でOBについては、かずら会に入っているということが常識ですよ。それを知らないと、今よくここで言いましたね。これは記録にとどめておきますが、いいですね。
あとで、これがうそだとわかったら、どうなりますか。
○内田副総裁 うそではありませんので、そういう仮定の話には答えようがありません。
○猪瀬委員 仮定の話ではないですよ。かずら会がいろいろな談合をまとめていると言われているんです。
では、K会、A会があるのは御存知でしたね。
○内田副総裁 それも知りません。新聞で知りました。
○猪瀬委員 K会、A会があるのも知らなかった。それはよくわからないですねえ。そういううそをここでおっしゃったということは記録にとどめておきますけれども、いいですね。
○内田副総裁 うそではないということは、はっきり申し上げます。
○猪瀬委員 これだけ談合が公然と行われていて、K会、A会というのは業界では有名ですよ。つまり、内田副総裁が全く直接関与することはないとしても、K会、A会があることはみんな知っていますから、それが1つの業界の情報として入ってくるのは当然でしょう。
○内田副総裁 少なくとも、私は今まで業務の中でそういう話は聞いたこともありませんし、私はK会、A会なるものは新聞で初めて知りました。
○猪瀬委員 そんなわけはないと言っているんです。K会、A会というのは道路公団の中で飛び交っている言葉ですから。
○内田副総裁 何を根拠に道路公団の中で飛び交っているとおっしゃっているのか、それがわかりません。
○猪瀬委員 発注側として、本当に競争入札をしているかどうかわかりませんが、入札している人たちと関係があるわけですから、どういう会があるかということについては、情報として、逆に言えば気をつけなければいけないという情報として入ってくるはずですね。つまり、そういう警戒感もなかったということですか。
○内田副総裁 そういう情報は入っておりませんでした。
○猪瀬委員 では、K会が紅葉会でA会が東会だという名前だったということは御存知ですね。
○内田副総裁 それも新聞で知りました。
○大宅委員 だって、紅葉会と東会というのは、もう前に談合の疑いが出て、それで一応なくなったことになって、それがK会とA会に移行したわけでしょう。
○内田副総裁 少なくとも、私はそのことを覚えておりませんし、承知しておりません。
○猪瀬委員 では、奥田理事。K会とA会をあなたは新聞に載るまで知りませんでしたか。知っていましたね。
○奥田理事 私も新聞に出るまで全く知りませんでした。
○猪瀬委員 奥田理事、別に内田副総裁に話を合わせる必要はないんですよ。東会と紅葉会は91年にですよ。そうでしょう。たかだか10年ちょっと前ですね。大きく載りましたよ。そういうものがあったことは知らないわけないですね。そうですね。
○奥田理事 そういう事実があったということは今回の新聞で知りました。私もずっと契約の仕事をやっていれば、何年か前にあれば、そういう勉強をしていたかもしれませんが、この契約の担当になってから、この仕事をやっておりまして、A会、K会ということは今回の事件になるまで全く認識しておりませんでした。
○猪瀬委員 内田副総裁、公団が発注する橋梁工事の年間の規模はどのくらいですか。つまり、鋼鉄製の橋梁工事とコンクリ製のPCの橋梁工事と両方あると思うんですが、年間大体どのくらいとどのくらいですか。
○内田副総裁 今、私は把握しておりませんので、だれか、そちらにわかる人いるかな。
○大宅委員 すごい常識というか、91年に新聞ざたになったということは、つまり談合という話になって、業界が疑われていて、それを契約業務を担っていなかったから知らないって、例えば、トヨタにいてアメリカとの貿易業務をやっていなかったので、アメリカとの貿易摩擦については知りませんと言っているのと同じことに聞こえるので、そんなばかなことがあり得るんですか。その自分の目の前に与えられた業務だけやっていれば、その公団がどうしているとか建設がどうなっているとか。
今、鋼材とPCでも、大体どのぐらいの割合かわからないって、何もそんなことを知らないで、自分の目の前に与えられたものだけやっていれば済むという、とてもいい社会みたいですね。そう理解してよろしいんですか。
○内田副総裁 過去にそういう談合問題があったということは、ぼんやりとは覚えていますが、それがそのK会とかA会とかいうものがそのときからあったかどうか、そんなことまでは何も覚えておりません。
○大宅委員 そんなことまでというようなことではないでしょう。大変な問題じゃないですか。
○猪瀬委員 では、知らなかったということにしていいですよ。それで、この今の落札率が平均97%であるということについては、これはやはり不自然だと思いませんか。
○内田副総裁 先ほど申し上げましたように、あくまでも公正な競争の結果であると、私は思っております。
○猪瀬委員 公正な競争の結果だと普通97%にならないです。
○内田副総裁 何を根拠にその97%にならないとおっしゃっているのか、よくわかりませんが。
○猪瀬委員 普通の競争入札はそうじゃないからです。この5年間に道路公団が発注した、ここにある橋梁工事の合計は幾らか御存知ですか。
鉄の橋梁工事は5年間で幾らか御存知ですか。
○内田副総裁 道路公団の方ですか。
○猪瀬委員 今この資料で、5年分を出していただいたんですよ。5年間にわたってチェックしないと、落札率の統計上の精度が高められないので、つまり本当に97%なのかどうか。やはり5年間を見ると、平均するとずっと97%なんです。ということは、大きな変動がないまま5年間推移しているわけですね。この5年で大体橋梁工事の発注額はどのくらいだと記憶していますか。
○奥田理事 この表を足してみますと、4,849 億円でございまして、平均落札率が97.38 %でございます。
○猪瀬委員 内田副総裁、いいですか。つまり5,000 億円近い橋梁の発注をしていると。ということは、年間平均すると1,000 億円ですね。1,000 億円の巨大なお金が橋梁工事で使われる。勿論、いい橋ができればそれでいいわけですが、しかし、もしかして、これが実際の価格が競争入札で行われた場合に、これは年間1,000 億円ではなくて、仮に年間700 億円とかそういう金額であったならば、300 億円は違ってくるわけです。あるいは5 年間にわたれば、1,500 億円は違ってくるということが想像できるわけです。つまり、その分だけ国民の負担が大きくなっていると我々は考えるわけです。
内田副総裁は、そう考えないですか。
○内田副総裁 まず私どもは、積算というのは過去のいろいろなもののデータに基づいて、きちんとした積算基準に基づいて、予定価格というのは決めております。その範囲内で落札されているわけですが、その結果がその97%であったということだろうと思います。
それから、その談合であるという事実も確認されておりませんし、更にもっとその入札の結果、安くなったという根拠も何もないと、私は思っていますが。
済みません。私はもう出かけなければいけない時間なので。
○猪瀬委員 もう一つだけありますよ。もう一個の猪瀬委員提出資料。これはすぐに終わりますから。1枚紙ですから。
今のは鋼鉄製の橋梁の場合でしたが、こちらの1枚紙はコンクリート製の橋梁の場合です。今問題になっている、内田副総裁の部下になると思うんですが、技術系の幹部が特許料の問題で、いろいろときちんとした届出をしてあったかなかったという問題があるんですが、鋼材メーカーが公団に納入する、そのケーブル鋼材でキロ当たり単価をここに示してあります。本来鋼材メーカーは204 円のものを、この透明保護管の発明に関わる定着具業者を経由すると、219 円になって施工業者に入ってくる。公団に242 円で納入される。こういう流れを私なりに調べて、これを書いてみたんです。実際には更にここにある種のリベートのようなものが絡んでくるので、実際の鋼材メーカーの原価というか、鋼材メーカーの本来の売値はキロ当たり単価150 円ぐらいだろうと思われるんですが、そうすると随分高い買い物を公団がしているなと思うんです。
この技術系幹部について、内田副総裁は直接事実関係を問いただしたことはありましたか。
○内田副総裁 主に特許のことをおっしゃっているのではないかと思いますが、そういったことがいろいろ取りざたされたころから、道路公団として組織的に本人にヒアリングをするなり、いろんな手法で調査をいたしております。
○猪瀬委員 鉄の橋については、公正取引委員会が検察に告発しましたが、道路公団分はまだ積み残してありまして、これからやると思いますね。
それから、このコンクリートの橋、PC橋については今、警視庁が動いていますね。この公団前技術系幹部が、技術部長と思われる人が何らかの関与をしていたということ。つまり特許料の問題だけではなくて、いろいろあったように思われますが、その件についてはどのようにお考えですか。
○内田副総裁 今、申し上げましたように、現在調査を行っておりまして、公団として内部調査としてなし得ることはあらかた調査をやりまして、一段落を付けておりますが、その調査の結果の妥当性、あるいはさらなる追加調査が必要なのか否か。そういったことも含めて、現在第三者の検証をいただいておるところでございます。
済みません。ちょっと時間がありませんので、これで失礼します。
○猪瀬委員 結局、今、内田副総裁がお帰りになりますが、この97%の落札率について、一度も談合を疑ったことがないとおっしゃっていただけただけでも非常に興味ある発言だと思っております。
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