イスラエルとパレスチナ、報復の連鎖を描く『ファウダ』Netflix はから学ぶ「終わり」のない世界。
イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への反撃というより壊滅作戦はすでに1年になろうとしている。初めは奇襲に対する報復で1カ月か2カ月で終わると思っていた。だがイスラエルはイスラム武装組織ハマスを殲滅するまで徹底的にやる気だとわかってきた。この際、レバノンの過激派ヒズボラまでやっつけてしまうつもりなのだろう。報復合戦は果てしない。
そういうドラマをNetflixで見つけた。
ハマスとイスラエルの特殊部隊とのまさに果てしない報復の連鎖を描いている。
『ファウダーー報復の連鎖』(2シーズン,12話、2015年製作)を紹介します。
主人公である特殊部隊の男はいったん退役して平凡な日常を送っていたところ、自分が指揮して暗殺したハマスの武装部隊のボスが、なぜか生きていると知らされた。殺したのは替え玉だったのかと訝りながら使命感と執念で部隊へ復帰する。
そして特殊部隊の主人公のチームはアラブ人に変装しボスの弟の結婚式に潜入する。ボスの弟はふつうの市井の若者であり、新婦も同様でハマスではない。しかしボスが変装して祝いに現れるかもしれない。
だがここからさまざまな狂いが生じる。ケーキ屋と偽って潜入した特殊部隊員は見破られて銃撃が始まってしまい、撃ち合いのなか見張りをしていた若いスタッフがボスの弟を誤って殺してしまう。
幼馴染の新郎を殺された新婦は生きる目的を失い呆然としていた。ボスは部下に報復として無差別テロを提案する。新婦は特殊部隊の若いスタッフが通っているテルアビブの先端風俗のきらびやかなクラブ(日本ならさしずめ六本木)へ。指示は爆弾を置いてスイッチを入れると3分後に爆発する仕掛けで、新婦は生還するはずだった。しかし未来に希望を失っている新婦は3分待って自爆するのだ。自爆テロによって多数の命が失われた。
テロ組織のボスを狙って失敗した特殊部隊の行動がきっかけで、こうして次々と犠牲者が生まれ、報復の連鎖が絡まった糸のように始まっていく。
イスラエル製作のドラマだが、イスラエルとパレスチナの双方に対してどちらに偏るでもなく公平に描いているにもかかわらず、つまりパレスチナ憎し一辺倒でないにもかかわらず、イスラエルでは人気ドラマなのだという。つまりイスラエル人も、報復の果てしない連鎖のなかにいて、そこから脱出する手がかりがない、そういう宿命を自覚ているのだ。パレスチナ人にとってはさらに救いがない。
全編を見なくてもよいから最初の数回だけでもご覧になってみたら、パレスチナ問題がよくわかる(わからないことがわかる)のではないでしょうか。
https://www.netflix.com/jp/title/80113612