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絶対的第六感のMVについて

1.MV制作に注力する時代背景


・プロモーションビデオと呼ばれていた頃のMVの役割は当初のCDの付録として付与された曲紹介向けの用途からMTVという放送メディアが発達し、
パッケージ販売の付録から飛び出してYouTubeを基幹として動画プロモーションの場として視聴数を競うことになった。
・SNSのバズりを狙う意味から今後YouTubeからTiktokへの波及効果を見込んだプロモーションが拡大する

2.細かな配慮の固まりが映像の解像度を上げる


・今回の第六感のMVで取り上げられた映像中のSNS向け撮影の様子を通したグループの群像劇を主題としている。
・自分は曲の評価に関しては今回は前作を超えなかった部分があると思っているが、MVに関しては困難な状況の中よく形に落とし込んだなという感想
・白Tシャツとジーンズが〇〇に似ていると話題になっただけでも勝機が生まれたと思っている。
・衣装担当がそれぞれのメンバーの世代の休日の過ごし方、センターの2人は学校生活を表現していてユーザーの想像力の延長線上に点在している風景
・金村美玖、河田陽菜、小坂菜緒の3人は室内でそれぞれの趣味を入れ込んでいた。
・一方で公園で遊んでいる東村芽依と佐々木久美の流れは意味が分からなかった。

3.カット割りとスピード感


・宮崎駿「となりのトトロ」と高畑勲「火垂るの墓」の同時上映で演者が右から左に歩いてカメラ固定の動画があったのですが、2人の監督によって1カットの秒数と場面から人物が消えたとのコマ割りが違っていてシーンを観客まで届ける時間に対する考えかたが違うと思った。
・話を戻して昨今の切り貼り映像をつないだMVではスピード感という名目で短いカットのつなぎやハンディカメラでは追いきれないドローンやCGを使ったかカメラの移動を多用した映像が日常化して、視聴者はシーンの味わいを得る前に次のカットに切り替わっている映像が増えた。
・センスあふれる映像とは言ってもスピード感=動画の勢いと誤解させるカット割りは視聴者を置いてきぼりにする場合も多い。
・今回のMV監督濵田明日也氏は前回のハニーデューと同じ担当なので何か作家性を加速させたのだろうその傾向を強くしている。

4.盗用疑惑について


 ・比較動画を見た限り、映像のテイストが全く違うし撮影場所のロケーションをいただいたとしても出来上がったものは似て非なるものなので気にする必要がない。
 ・撮影のタイミングからカメラアングルまで似ていないとオマージュともなりえない。
 ・ただし映像のソースにあたる各MVからはかなりのシチュエーションをいただいているのだろう。
  出来上がった映像は似ていなくても意識している部分はあったと思う。
 ・そうなると白Tシャツにジーンズの衣装はヒップホップ系のジーンズに白Tのバランスの悪さを感じていたところに納得がいく。
  本来、あの衣装は白の胸元に余裕のあるデザインのノースリーブシャツにシルエットの甘いジーンズの合わせだったのだ。
 ・結果イメージの本質をモチーフにしないとズレた印象だけが残る。
 ・白Tシャツシーンもカメラが上下に揺れながらアップしているが、あの場合フォーメーション全体を引きで見せてからメンバーのアップを抜くのが正解。
 ・他の映像も年に潜むヒップホップの萌芽のような映像に青春の一コマみたいなWセンターの登下校風景が組み合わさるので映像の意図が散逸している。
 ・イメージ元のMVは一画面に登場する人数の規模感の違いが大きいのでパクろうとしたならそれさえも失敗している。

5.今後の展開


 ・MV以前に曲としての聞きやすさが前作に及ばないので今後も視聴数は伸び悩むと思われるが、カップリングには4人のうち誰かしらの卒業曲が含まれる可能性が高いのでそこに期待したい。
 ・齊藤京子の卒業曲に匹敵する作品にするのならばMV監督は安藤隼人さんになるだろう。
   ・秋元康さんの作詞能力はモノに例えるパターンかセンター合わせのリサーチによる宛て書きしかうまくいかない時期が続いているので卒業曲は良曲のチャンスになる。
 ・濵田明日也はここで一旦坂道MVから離れる可能性もあるかも。発注側は類似性に気が付かない一方で作曲家ではパクリ疑惑が発覚した作家はしばらく採用がなくなったりしている。
 ・裸足でSummerの作曲家とかその後パタッと採用が止まっているなんてこともあるので。


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