ウルフ・オブ・ウォールストリート
今更見た。2013年の映画。Amazonで欲しいものがあり、送料を払うくらいならと1ヶ月だけプライムに入会し、久々に映画でも見ようと思って11年前のこれを選んだ。
詐欺に近い株取引で大金を稼いだ男、ジョーダン・ベルフォートの伝記。セックス、ドラッグ、セックス。ぶっ飛んだ生活が描かれていたが、けっこう事実もあるらしい。羨ましくもあり、恐ろしくもある。金にまみれると脳の閾値がおかしくなって普通の刺激では何も感じなくなってしまうようだ。
自分は今、日中の労働で、高級なマンションによく出入りする。お金が集まるとどのような建造物が建ち、そこにどのような人が住むかということを知った。そんな空間にいると、かつて夜勤の派遣労働の倉庫作業で自分に優しくしてくれた貧しい中年男性の笑顔を思い出す。そして、くらくらして何が正しいのかわからなくなる。
かといって、なんだ!この歪んだ世の中は!是正せねばならん、と社会主義者として革命を企もうというのは自己欺瞞だ。自分が今貧しいから世の中の歪みに不満を持つわけであって、明日から大金持ちになれますよ、と言われたら、この綺麗な心はなんと答えるだろう。
金持ちの家に資産として保管されているヴィンテージギターも、金がなければ取り返せまい。俺なら弾ける、美しい曲を作って歌える、と叫んでもはじまらない。それならば金を稼げ、である。不満を持っているのは貧富の差がある社会に対してなのか、それとも貧しい自分の現状に対してなのか。その嫌悪感は実は資本主義が持つ欲望を実現する能力への憧れかもしれない。
お金があったら皆んな何をしたいのだろう。あらゆる層の、様々な金銭感覚の人から聞いてみたい。