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【水平社宣言を読む2022】水平社は、かくして生れた。

●水平社とレブエラース

 こうして創立された新しい組織の名は「水平社」でした。
 
 水平社という名前を提案したのは阪本清一郎でしたが、創立趣意書では、「彼のレブエラースから思ひ付いた様な名の此の結社」と記しています。「彼(か)のレブエラース」(レベラーズ)とは、イギリスのピューリタン革命期における急進的グループでした。

 17世紀イギリスで、クロムウェルが共和制を実現した時、テムズ川上流にあるパトニ教会において起きた論争で、広範な民衆の選挙権と政治参加を主張し「人民協定」を提出した下級兵士のグループを、レベラーズといいました。一方幹部は、政治に参加する条件として財産資格を求めました。下級兵士たちの要求は認められませんでしたが、平等、水平を意味するレベラーズと呼ばれるようになり、歴史に記録されました。
 
参考 レベラーズ
松井幸夫「憲法における市民と公共」
(『YURO2020 公共政策研究所報告2020 四日市大学特定プロジェクト研究報告2020』 四日市大学研究機構 2021)
 
 後に、阪本清一郎と西光万吉は、この名称について、次のように述べています。 

阪本清一郎「水平社創立の思い出」(『部落問題資料文献叢書第3巻第1冊 水平』解説)

 “水平社”という名は、私が平等ということから思いついたのだが、あとで17世紀半ば頃にイギリスの民主主義革命が行われたとき、農民が都市の勤労者と結んだときに名づけられた“レベェラース”(水平者)と相通ずるものがあることが判った 

西光万吉「水平社が生まれるまで」(『水平運動論叢』)

 水平社という名は、当時阪本さんが発案したもので、中世英国の有名な農民一揆の名を連想するので私たちも異議なしであった。

 「水平社」は、阪本清一郎の思い付きに、メンバーたちが遠くイギリスの革命や民衆を思って名付けられました。

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