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『トウキョウソナタ』38万km離れた月面より反射され、地球に至る月の光で照らされる世界もある(逆境は成長のルーツである)

 日本人ひとりの人件費で、3人の優秀な中国人が大連で雇える。タニタは大連に総務を移すことになり、46歳の主人公である総務課長は、この会社で何か他にできるか、それとも去るかとリストラを迫られる。日本の法律では、ここで諭旨退職を迫られたとしても、粘ることは可能だが、ここではあっさり自主退職してしまう。長男は米国軍の傭兵となり、次男はこっそりピアノを習う。妻は強盗に合う、というストーリーが日本の設定と少し違う。理由は、脚本家が日本人ではなく、オーストラリア出身のマックス・マニックスという人だからだろう。

 家族がそれぞれ話せない秘密を持ち、バラバラな家庭は普通にある。しかし、この映画で表しているように、最後に帰るところは自宅となり、アメリカに行った長男を除いて、3人で飯を食べるシーンからラストの「月の光」までの流れに行き着くことも、よくあることだと思う。

 これから日本では、数年間に渡るスタグフレレーションがはじまる。この主人公のような境遇に陥る人もたくさん現れるだろう。しかし、暗い夜でも、38万km離れた月面より反射され、地球に至る月の光で照らされる世界もある。ドビッシーの「月の光」のメロディーが、特に美しく感じる映画だ。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。