『7日間で突然頭がよくなる本』 哲学をコモディティー化した本(使命分析)
頭が悪いので、小川仁志氏のこの本を読んでみた。小川仁志氏の主張は、哲学を知ることで物事の本質を知ることができる。そして、物事の本質をつかんで応答することが頭がよい人になることだとしている。ここでは、哲学の知識と論理パターンを使うことで、物事の見方を変え、言葉を論理的に整理し、ひと言でキャッチャーに表現するまでのプロセスを7日間にまとめてある。
思考の道具として哲学を位置づけるという発想は面白く、多くの哲学者の考えを知るという前提で利用価値が高いものなのだろう。というのも、哲学者の書いた本は読んでいると何が言いたいのか分からなくなるにも関わらず、「あらゆる物事は意味の場に現象する」とか、「脱構築とは一からやり直すこと」とか「自分で人生を切り開いていくべきだ(アンガージュマン)」などなど、ひと言にまとめたものは分かりやすく、こんな厚い本はいらないのではないか、と思うこともしばしばある。したがって、難解である故に、ひとりの哲学者の研究に一生を捧げる学者も生まれてくる。さらに、それらを束ね自由自在に使えるような道具としてコモディティー化したのがこの本ということになる。
哲学は歴史の上に「点」でなく「線」や「面」で存在しているので、代替案として現在に羅列すると、思考の手段となる。私の場合の思考の武器は「システム工学」だが、それが「哲学」であっても、そういう思考の背骨になるものをもつことは強みになることは確かだ。
1)新しい哲学そのものを考える哲学者(西洋に多い)
2)1)の哲学者の哲学を徹底的にキャッチアップし解読する哲学者(日本の大学に多い)
3)2)のすでに解読された哲学を思考のコモディティー化する哲学者(小川仁志氏のような人)
3)でコモディティ―化された哲学が整理されていると、1)が日本に少ないのが気になる1冊だった。