『クリエイティブな習慣 右脳を鍛える32のエクササイズ』自分の創造性のDNAを発見することができた(業界の歴史)
著者のトワイライト・サーブさんは、アメリカの振付師だが、創造性はアーティストだけでなく、商談をまとめる新しい方法を模索しているビジネスマン、問題を解決しようとしているエンジニア、子供に色々な角度から世界をみせたいと願う両親のものでもある。そして、彼の習慣は誰でもあてはまると言う。
儀式の準備
クリエィティブが習慣となっている人は、一日のスタートさせるのに選んだ環境につながる準備の儀式を行っている。作曲家イゴール・ストラヴィンスキーはスタジオに入るとバッハのフーガを弾く習慣がある。あるシェフは、ブルックリンの自宅で栽培しているハーブなどの植物に囲まれて料理のことを考える。ある画家は、スピーカーからガンガン流れる音楽なしには何もできない。ある作家は、外でしか書くことができない。要するに、創造性には個人個人の快適な環境がある。
著者の場合、「大好きな映画を観ない」「一度にいくつもの仕事をこなすこと」「数字が入っているものを見ない」「バックグランドミュージックを流さない」など、気が散るものを取り去ることで創造性を発揮する環境を作る。
あなたの創造性のDNA
あなたの創造性のDNAが、ギリシア語で生命を表す「ゾーエー」と「ビオス」であるかを意識することが重要だと言う。ゾーエーは特徴のない生命体全般、ビオスはある生命を他のものから区別する概念だ。ゾーエーは宇宙から地球をみるようなもので、自転する地球上の生命を感じるが、その天体に生きる個々の生命は感じない。細部を眺めると、生命と生命をビオスとして識別する。
あなたの記憶を生かす
創造性はメタファーにより、私たちが蓄えている事実、虚構、感情を取りあげ、それにつながる新しい方法を見つけ出す。メタファーは、奇妙なものを馴染みのあるものに変容させる。すべての芸術がメタファーであれば、すべての芸術は記憶ではじまる。
箱にとらわれずに考えるようになるには、箱から始めなければならない
著者は、すべてのダンスを箱からはじめる。箱にプロジェクト名を書き、作品ができあがるにつれ、ダンスに投入されるあらゆるものを箱に一杯にする。箱は、忘れる心配をする必要がないことを意味し、素晴らしいアイデアがなくなってしまうことがなくなる。
スクラッチする
宝くじが当たりかどうかを確かめるため、くじをこするように、何かを探すためにすべてを掘りすすめる。ファッション・デザイナーが年代ものの洋服屋を訪れたり、音楽ビデオを研究したり、歩道のカフェで通行人を眺めたり、とスクラッチしている。建築家が採石場を訪れたり、シェフが世界中のレシピ本をアイデアを探したりすることをスクラットと言う。読書、会話、環境、文化、英雄、師匠、自然のすべては、創造性の宝くじである。
アクシデントは起こるもの
生産性の高いアーティストは、仕事に取りかかるときに計画を持っている。しかし、「他人に頼り過ぎる」「完璧な準備を待つ」「構造を考えすぎる」「はじめたものを終わらせる義務を感じる」などは、アクシデントを引き起こす。
背骨
背骨は、最初の強いアイデアで始まる。アイデアを思いつくために、「スクラッチ」し、それを見つけ、クリエイティブな思考の次の段階で、創造性の背骨の中でそれを育む。
スキル
偉大な作曲家は、目が覚めるような演奏家である。素晴らしいシェフは誰よりもうまくみじん切りやさいの目切りができる。最高のファッション・デザイナーはいつでも針仕事の名手で、最高の作家は博識だ。成功した起業家は、あらゆること(倉庫での保管、供給メーカーとの交渉、製品開発、広告キャンペーン、取引締結、不満をもつ顧客をなだめる)をすることができる。これらの人物に共通しているのは、クリエティブな領域の基礎をなすスキルをマスターしていることだ。つまり、創造性をスキルの強固な基礎の上に築いている。
溝とグルーブ
創造性の溝にはまったら、思い込みに挑戦する簡単な方法は、その周りのものを入れ替え、スイッチが効くようにすることだ。そのプロセスは以下の通り。
1)役に立たないコンセプトを見極める
2)それについての思い込みを書き出す
3)思い込みに挑戦する
4)その挑戦を実行する
失敗のなかの「A」
私的な失敗は素晴らしい。ダンサーとの三時間の即興セッションを録画し、テープで30秒しか使える素材を見つけることができなかったとしたら、失敗の中でオール「A」を稼いだことになる。
ロングラン
イタリアの理学者チェーザレ・マルケッティは、クリエイティブな人生の法則を明らかにした。それは生物の成長曲線のS字カーブを描く。クリエイティブな生産は若い頃(学んでいるとき)はわずかであり、脂の乗った中年期に最高潮に達し、アイデア、エネルギー、モチベーションが枯渇する晩年には尻すぼみになる。
これらの法則は、創造性を仕事のベースにする人にとって思い当たるものがあるだろう。創造性のDNA、創造性とメタファー、創造性発見のスクラッチ、創造性の背骨など、無意識に行っていたことが明らかになり、私の創造性のDNAがゾーエーから生まれていることも発見できた。実に参考になる本だ。
Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。