『多文化共生時代に学ぶ英語』多文化共生時代のコミュニケーションのあり方(多くの人のために役立つを第一に)
英語はイギリス語ではあるのだが、アメリカに渡り変化し、インドやシンガポールで変化し、時代や環境によって変化してきた。言葉であるからそれはあたりまえだが、この本は、その傾向を網羅的にまとめたものだ。
ジェンダーによる変化も大きい。例えば、チェアーマン(Chairman)は会長を表す英語だが、Chairwoman、Chairpersonが増えた。以前にリクルートの「キーマンズネット」の営業に、「キーパーソンズネット」にしないのとまずいのでは?と言ったことがあるが、このような例はたくさある。またイスラエルで経験したことだが、彼らには「エンジェル投資」という言葉はなく、「プライベート・インベストメント」(Private Investment)と表現する。ユダヤ教にはキリスト教のような天使がいないからだ。メキシコ系アメリカ人(Mexican American)、ベトナム系アメリカ人という言葉もあるが、違法移民であったとしても、彼らの子供はアメリカ国籍を得ることからもアメリカ人だ。このような表現は、今後日本語でも注意が必要になるだろう。
バークシャー・ハーサウェイの筆頭株主のウォーレン・バレットの以下の言葉は、英語であれ日本語であれ、今後は重要なことだろう。
「私はバークシャー・ハーサウェイの年次報告書を書くときには、自分の姉妹に話しているつもりで書いています。彼女らのことは容易に頭に浮かびます。彼女らは十分に知的ですが、会計や金融の専門家ではありません。平易な英語は理解しますが、専門用語は難儀します。・・・」
多文化共生社会のコミュニケーションは、企業の広報を含め、以下の4つが重要としている。
1)必要なことだけをいう。(必要なこと以外いわない)
2)真実をいう。(虚偽をいわない)
3)関係のあることだけをいう(関係のないことだけをいわない)
4)明確にいう。(あいまいな言い方を避け、短く、順序を立てる)
また、病院で医師が「How are you?」と言うと、日本人は「Fine!」と答えるという例は笑ってしまったが、医師はSOAPの主観的情報(患者さんの訴え)Sbjectiveを求めている。日本にいる外国人の立場で考えると、問診票は日本語だけではまずいということと同じことだ。
英語でも、日本語でも、多文化共生社会において、変化させる必要があることをこの本により知ることができる。分かりやすい英語、分かりやすい日本語、伝わりやすい方法、正確に伝わる技術などは、今後は多文化で考えなければならない。