『カタリン・カリコの物語』(物語共有の法則)
本書はメッセンジャーRNAを活用する研究を行いノーベル理学・医学賞受賞者を受賞したカタリン・カリコ博士のイノベーションの物語だ。
このイノベーションの物語には3つのポイントがある。
1)カタリン博士は小学校のときに先生がもってきた顕微鏡で細胞を見たことに驚きと感動があったことから、科学者になりたいと家族に話した。すると母親が「あなたがノーベル賞をもらうのを楽しみにしているわ」と応援団となったこと。(拍手の応援団)
2)移住したアメリカのテンプル大学で科学者の仲間から「mRNAを使った薬なんて絶対に作れっこない」と言われ、テンプル大学を辞めさせられ、次のペンシルバニア大学でも降格されても諦めなかったこと。(逆境は成長のルーツである)
3)1997年にコピー機のところで、後の研究パートナーであるドリュー・ワイスマンに出会い、二人で話しているときに新しいアイデアをおもいついたこと。(ペアシステムによる情報のキャッチボール)
この3つは他のイノベーションを生み出すときの共通のルールでもある。
また、このようなイノベーションを生み出した人の人生の物語が多くの人に共有されることは、得られる知識に根が生えることになり、長く残るものになる。単に科学的な業績を科学的に解説するのではなく、イノベーションの物語としてまとめることは、ハンガリーの人たち、旧社会主義国の人たち、移民の人たちに物語共有の法則(イノベーションの第3法則)が働くことになる。
また、サイエンスをわかりやすく解説することを本業とする竹内薫氏のYESインターナショナルの生徒たちが翻訳したものなので、YESインターナショナルの人たちにも物語共有の法則(イノベーションの第3法則)が働くだろう。
Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。