見出し画像

『パブリック 図書館の奇跡』「怒りの葡萄」は米国の10代の必読書(環境研究)

 米オハイオ州シンシナティは極寒の地で、凍死するホームレスが続発する地域。ホームレス専用のシェルターはあるが、圧倒的に収容数が不足している状態。ホームレスは日中、暖かい公立の図書館で過ごすが、ある極限の寒さの夜に、図書館の閉館時間を過ぎても行くところがないホームレスがそのまま居座ったことから事件ははじまる。図書館員の主人公は追い出すこともできず、自らもホームレスの経験があることから、彼らを受け入れることになった。しかし、マスコミや警察は立てこもり事件として扱うことに。

 クライマックスは、主人公がマスコミとの直接電話取材で、ション・スタインベックの『怒りの葡萄』の一節を朗読するシーン。米国では『怒りの葡萄』は10代の必読書とのことで、状況を理解した住民からの差し入れが長蛇の列になった。残念ながら、私自身は今のところ『怒りの葡萄』を読んだことがないので、米国人のそのときの心情は分からないが、図書館を日中利用することができるありがたさは理解できる。

 改めて、経済学者の宇沢弘文氏の「社会共通資本」に目を通してみたが、公立図書館は社会共通資本となっていなかった。しかし、地域での「知」の供給以外にも、災害時のリダンダンシーな施設にもなるので、社会共通資本と見なすべきではないだろうか。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。