『ヒッチコック』アロマとのペアシステムを描いた(ペアシステム)
ヒッチコックと妻で脚本家でもあるアロマとのペアシステムを映画いた映画。ひとりで仕事をするより、10の能力の人と10の能力の人が、10×10=100になるのがペアシステムだ。『サイコ』は、大量殺人鬼エド・ゲインを主人公にしロバート・ブロックの小説がベース。この映画の制作が決まると、ヒッチコックは全米の図書館や書店にあるこの本をすべて買い占め、ラストを知られないようにしたという。
ところが、パラマウントはこの映画はヒットしないのではないかと制作への出資を行わないこととなり、ヒッチコックはアロマと住む自宅とプールを抵当に入れて自前の資金で制作することとなった。この段階で、アカデミー作品賞の『レベッカ』や『めまい』などでヒッチコックは有名な監督だったが、やはり名前だけの制作投資が難しいのが、アメリカの映画界なのだろう。逆に内容がよければ、有名無名に関わらず、制作への投資は行われるとうことだ。
アルマは『サイコ』には乗る気がせず、別の脚本を書いていた。しかし、ヒッチコックが倒れたときは、彼に代わって撮影を行った。出来上たった作品を関係者で試写した感想は、酷評以外の何ものでもなく、とてもヒットするとは思えなかった。この段階になり、アロマとヒッチコックのペアシステムがフル回転し出す。アロマがすべてのフィルムの編集をやり直すことで、『サイコ』は完成した。しかし、パラマウントは先行上映を2館だけに絞ることになったため、口コミでのマーケットへの浸透を図るしかなくなった。そこで、ヒッチコックは映画館に以下のことを指示した。
1)警備員を雇うこと。(取り乱す人が続発するため)
2)映画が開始したら途中入場できない。
さて、結果はどうなったか。
観客はシャワーのシーンで大声をあげ、記憶に残る恐怖を与えることに成功した。これが口コミとなり、世界中でヒットとなり、ヒッチコック最大のヒット作となった。ヒッチコック自身はオスカーとは無縁だったが、1979年のアメリカ映画界賞で生涯功労賞を受賞し、アロマとこの賞を分かち合いたいという受賞スピーチをしたという字幕で映画は終わる。
同じ内容のコンテンツでも、編集により、大凡作となるか、大ヒットとなるかが決まるが、それはペアシステムの成果であることが多い。この映画はそれを教えてくれる意味で価値がある。
Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。