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『サービスデザインの教科書:共創するビジネスのつくりかた』 サービスをデザインするとは、ジャーニーをデザインすることでは代替案が出にくい(使命分析)

 価値共創のためにサービスデザインを実践するためには、プロジェクトマネジメントが必要になる。そのためのデザインブリーフの例やサービスブループリントをみると、ユーザーの要求を定義するのか、マスクドニードをスタートラインにするのかが明確に分からなかった。最初のプロセスが発見とあり、デザイン・エスノグラフィーとあるので、おそらく後者だと推測できる。

 サービスデザインを定義するときに、発注者をユーザーとして考えることはないと思うが、定義段階の次のプロセスに、分析のプロセスを入れたほうがよい。本書内にあるメイヨー・クリニックの事例で考えると、対象とした3つの領域「外来患者への対応の再デザイン」「地域医療(予防や教育)の改革」「遠隔医療の整備」に対する目標の設定に対し、分析のプロセスを入れる。すると、メイヨー・クリニックの信条である「患者のニーズを第一に」に「それは何か」という分析を入れることになる。「クリニックに行く前」「クリニック内」「クリニック後」として目的を分析しておくと、サービスデザインがジャーニープロセスだけにフォーカスされにくくなる。メイヨー・クリニックのイノベーションセンターの改善対象は、「クリニック内」のプロセスだけとなっているように、他の事例もプロセスの改善にとどまっている。なぜなら、「サービスをデザインするとは、ジャーニーをデザインすること、つまり究極的には、人生のひとときをデザインすることである」という意識が強いからだ。

 本屋で本を購入するプロセス(ジャーニー)をデザインすることから、Amazonが生まれてこないように、目標を定義したら分析フェーズを入れることで、全体最適視点をビルトインしてからプロジェクトをはじめることが必要だ。それがないと、代替案につながらず、発注者の要求を実装することがプロジェクトになってしまう。病院であれば、停電したときなどのリダンダンシー・リスクマネジメントをデザインするような「患者のニーズを第一に」を実践する代替案は出てこないプロジェクトになってしまう。それがサービスデザインだと言われてしまう可能性もあるが...

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。