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『サンダカン八番娼館 望郷』日本の女性が売春婦として海外に輸出されていたとは(日本の歴史)

 幕末から続くという海外売春婦「からゆきさん」(唐行)を取材したノンフィクション映画。「からゆきさん」は長崎県の天草出身の人が多かったようだが、子供の頃に仲介業者に売られ、アジアの各地をはじめ世界(シンガポール、中国、香港、フィリピン、ボルネオ、タイ、インドネシアなどアジア各地、 また、さらに遠くシベリア、満州、ハワイ、カリフォルニア、アフリカなど)に送られる日本人女性で、この映画ではボルネオ島のサンダカンという港町が舞台になっている。

 晩年天草に帰り過ごす元「からゆきさん」を田中絹代が演じているが、彼女は14歳のときに300円で売られ、三池炭鉱の石炭貨物船で密航し、サンダカンで働くことに。当時のサンダカンは人口2万人の港町で日本人は100名ほどいたようだ。サンダカンには9件の女郎屋があり、彼女が勤めたのは8番目のものなので、この映画のタイトルは「サンダカン八番館」となっている。部屋にはマクダラのマリアの肖像画が飾ってあり、彼らは現地人や日本人だけでなく白人も客だった。もちろん、ボルネオ島はイスラームなので、アザーンが鳴り響く。太平洋戦争でサンダカンは連合軍が空爆し、日本軍は現地人を虐殺し火を放ったため、八番館の建物は残っていなかった。

 現地にいることしかできなかった「からゆきさん」は、ジャングルの奥地の墓で静に眠っているが、その墓のすべては日本の方角である北を背にしていた。つまり、日本に背を向けて眠っているのだ。こういう歴史が日本にあったとは知らなかったと同時に、バブル時代の「ジャパゆきさん」はこの派生語だということも初めて知った。
 また、見事としか言いようがない、晩年の田中絹代の演技も光る。

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