『最強の独学術 自力であらゆる目標を達成する「勝利のバイブル」』 いい意味で、まったく参考にならなった(技術情報バンク)
子供の頃から学ぶことと正解を教えてもらい育ってきた人(何を学ぶかで学んだ人)に、「どんな本を読んだらいいのですか?」という質問を受けることが数ヶ月に1回ぐらいのペースである。つまり、学校や会社で教えてもらうこと以外のことを、どのように学んだらよいか分からないのだ。そんなこと自分の頭で考えろ、と思う反面、どうしてこんなことになってしまったのだろう、という疑問が湧く。
この本の著者は東大からハーバードという経歴の持ち主なので、「何を学ぶか」を徹底的に詰め込まれてきたため、自分の頭で考えれない、答えのないことを判断できない人かと思いきや、内容が素晴らしいのでレビューに残すことにした。
複雑な問題を自分の頭で考え抜くという、社会で実際に必要な力を鍛えるのに独学は適している、とあるが、独学がノーマルなことで、それを補完するのが教師という捉え方をした方がいい。また、ハーバードなどの欧米のトップ大学では、5年後、10年後に効いてくるリベラルアーツ教育を重要視して実践しているというが、日本は文系理系議論の中で、STEM教育が重要、文系不要という論調が強い。リベラルアーツが重要なことが分からないのも不思議な話だ。
朝時間が独学のゴールデンタイムという考え方はまったく同意。というのも、我が家の猫が夜明け前に運動会を開催することが多く、朝型にならざるを得ないため、読書のほとんどは朝行う。また、世界のエリートといわれる人たちは、よく古典を読み込んでいるとあるが、エリートでなくとも古典や過去の歴史にヒントを求めなければ、未知の問題(正解のない問題)は解けない。一つのテーマの本をいっきに10冊まとめ読みすることで、3ヶ月でその分野のセミプロになれるという意見もまったく同意。私の場合は、その道のプロと思われる人の本を集中的に読むことで「巨人の肩」に乗る努力をしている。
学んだ本の書評をブログやfacebook、あるいは本のレビューサイトなどに書くことで、アウトプットの過程自体が論理的思考のトレーニングになるという。これも自分で実践し、その効果を実感している。頭のなかに「仮説思考」と「フレームワーク」を持つことが、インプットとアウトプットの質を高めるとあるが、これも激しく同意だ。私の場合はそれが「システム工学」ということになる。
最後に、すぐに役立たないと思えるようなものも頭の中で熟成させ、その熟成された点同士を、あるきっかけを通じて得られたインスピレーションによってつなぎ合わせることで、思ってもいなかった創造が生まれる、というポアンカレの法則にも大賛成だ。
要するに、この本は私にとってまったく参考にならず、役に立たなかった。なぜなら、すでに同じような方法で「どのように学ぶか」を日々実践しているからだ。不確実性の高い時代に、独学は必須のスキルなのだ。
Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。