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色のはなし。


私は【色】という物が大好きだ。

手芸店で働いていた時、
ミシン糸や刺繍糸の品出しを真っ先に買って出た。色とりどりの糸の棚の前に立つと幸せな気分になれるからだ。

そのお店は大型店だったので、品揃えが豊富だった。
青ひとつ取っても、微妙に違いがあって
それが綺麗に並べられてるなんて最高じゃないか!

お客さんが布地を持ってきて
「これと同じ色」
そう聞かれるのが好きだった。
(これと同じ色、どれですか?)
(これと同じ色、ください)
多分、こう続くのだろうが、ぶっきらぼうな問いかけでも私は待ってました!と
棚の上の見本帳を引っ張り出した。

色番でやっと区別するほど似たような糸たち。
布地と丁寧に合わせて、ぴったりな一色を探す。
色はたくさんある。ワクワクする瞬間である。

見本帳は非売品だったが、手に入るなら買って家で眺めてたいと思った。

手芸を好きな身として、
服はともかく、小物は糸で遊んでもらいたい。
例えば、カーキの布袋にオレンジ色のステッチをかける。
ペパーミントグリーンにラベンダーを合わせる。
攻めの感じか、優しい感じかなど、
色で個性が出る。
私が言うまでもなく、そんなのみんなやってるし、好きなんじゃないかな。

(但し、服の場合は目立たない方が綺麗なので一部保留とする。)

以前、カメラのストラップをACRUさんに注文した時も色の組み合わせでワクワクした。
今も愛用している。

手芸店に来るお客さんの中には、意外と慎重な人が多かった。
けれど、後から考えてみて、店員に聞いて来ないお客さんは自分で色の組み合わせやイメージがしっかり出来てる人なので、単に会話をしなかっただけなんだろうとも思った。

手芸店は年明け、2月、3月が一番忙しい。

小さな子供達を連れた若いママさんたちが入園準備のために大勢やってくる。

ある時、
カバンを作るための表布と裏布の合わせ方が分からないというお客さんがいた。
見れば、とってもオシャレで、若くて可愛い娘さんと言ってもいいほどのママさんだった。

(我が家の娘はまだ大学生だが、20代、30代の子を見ると、娘と同じように感じて可愛くてしょうがない、単純に応援したくなる。)

こんなにセンス良く服を着こなしているのに
なぜ、入園カバンの布選びが分からないんだ?
アドバイスをしながら、とっても疑問に思った。

失敗なんて恐れなくても好きなものを合わせたらいいんじゃないかな?
第一、失敗なんてそうそうない。
幼稚園児の持ち物なんて、シックに上品に作ったって、ポップに派手に作ったって、
何持ったって可愛いんだから!

自分の感覚を信じて、もっと冒険して楽しんでいいんじゃないかな。

              個性的なの、私は大好き!



〈注意書き〉
文中の革製品のお店 ACRUさんですが、
書くにあたって調べたところ、
卉奏 kisou さんに変更されていました。
とてもオシャレな雰囲気のあるお店です。
Twitter @kisou_

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