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夫と初めてお風呂に入った。

旅行先では何回か入ったことがあるので、「初めて」というのはさすがに語弊があるかもしれない。

ただ、「日常のお風呂」は、付き合っている時も結婚してからも入ったことがなかった。

旦那さんと毎日一緒に入っていると言っていた人もいたし、時々入るよと言っている人もいて、急に「夫氏と一緒に入りたいなぁ」と思い誘ってみたのである。

「急にどうしたの…?」とものすごく怪訝そうだったけれど。



いざ入ってみると明るいところで素の裸を見合うのが照れ臭く、「明かりを消してよ」なんて恥じらう自分がいた。

(私にもまだ恥じらいというものが存在していたんだな…)

暗いお風呂場の中で、夫を背もたれにするように湯船に浸かると、ぶわわ〜っとお湯が外に流れ出た。

となりのトトロのシーンのようにこのぶわわ〜!っとお湯が出るのが大好きで、子供の頃は先に私と弟が湯船に浸かったあと、父に「お父さーん!今入って!」と大声でお願いしていた。

狭い湯船にぎゅうぎゅうで入った時のあのぶわわ〜!とお湯が出るのに大はしゃぎしていたのだ。



そんなことを思い出しながら入浴剤でとろりとしたお湯をちゃぷちゃぷと触り、今日あったことをお喋りした。

夫と結婚して改めて実感したのだけど、私はお喋りがものすごく好きだと思う。

主に「今日はこんなことを感じたんだ」みたいな話しが多く、そのことについてどう思うのかを聞きたいという欲求が強いのかもしれない。

でも男の人は結論のない話しが苦手だともよく聞くので、洗い物や掃除しながらよく話す順序をイメトレしている。

どうせ話すなら笑いをとりたいという欲がむくむくと出てきてしまい、ここはこんな表情で話そうとかここの間はこれくらいとってからオチを言おうとかを考えては夫に話すのを想像してはニヤニヤしている。

夫や友人と喋っていていつも思うのだけど、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうのだ。



どんどんと血流がよくなり、湯気のおかげで喉の調子も絶好調。

お風呂で歌うといつもの倍は上手に聞こえるような気がするから不思議。

裸ん坊の大人が二人、ぶわんぶわんと湯船に包まれてお湯越しにお互いの肌を感じる。

なんで今まで一緒に入らなかったのかと悔やむくらい、心底リラックスできたのだ。




もともと私も夫もかなり一人の時間を大切にしたいタイプで、その時間がないと息苦しくてどうしようもなくなる。

寝室もわけたし、プライベートな時間も確保できるようにした。

でもだからこそ「二人で何かする」ということに特別感があり、そういう時間を増やしたいと思うようになったのかもしれない。

夫婦は本当に毎日のことが当たり前になりがちで、特に私のような家にへばりついてるタイプは日々の些細なことを特別にしていきたいのだと思う。



今度一緒に入る時はどんな入浴剤にしようかな。

そんなことを考えてはワクワクするのでございました。



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