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お:大好きな夫の話
あいうえお回顧録 お 夫
私の夫。名前はアキさん(仮名)
アキさんと私は同い年。
アキさんが早生まれで私が秋生まれで、月の差9ヶ月。学年で言えば1学年差。
しかし何処となく漂う年の差感(アキさんが老け顔だからとも言う)
初めて会ったのは31歳の時。
最早絶滅危惧種だった、お節介おばさんによるお見合い結婚組。
本人達が結婚したくてと言うよりは周りが年齢的に何とかしなきゃマズいんじゃと勝手に組まれたお見合いだったので当日の2人のテンションは割と低め(笑)
でも取りあえず結婚する可能性が有る人なら……と思って、質問をしてみました。
・タバコは吸いますか?(私も家族も全員タバコ嫌いのため)
→吸いません
・動物は好きですか?(私が無類の動物好きのためペット飼いたい)
→大好きです
・お酒は好きですか?(実家が酒豪揃いのため下戸なら大変)
→かなりいけるクチです
・スポーツは好きですか?(私が見るのもするのも興味が無いため)
→興味ないです
ちなみに向こうからは何も言われなかった(笑)
そんなアキさんはとても内気で人見知り。キングオブコミュ障の称号を貰えそうな程。
私は接客業だったので、盛り上がらなくてもつまらなくてもそれなりに適当な会話は繋げる感じ。
そんな状態でも毎週会って食事をしていれば次第に話も弾むようになるもので、初めは昼食を一緒したら「ハイ、サヨナラ。また来週~」と言う感じだったのが次第に食後に遊びに出かけるようになって行って。
とは言え、デートらしくはなっても元々結婚願望が有ったわけではないので腹が括れずズルズルズルズル。
その間に私の祖母が亡くなり、そうか両親もいつまでも生きてるわけじゃないよなと当たり前の事に思い至り、腹を括ってようやく結婚したのは34歳の時(丸3年)
見合い結婚に有るまじき亀スピード(笑)
悲しくて辛い思いを2度繰り返したのちに子供は自然に任せた結果、夫婦2人の人生を歩む事になりました。
悲しさや後悔が全く無いと言ったら嘘になるけれど、2人暮らしでしか得られない物も得られない経験もたくさん有るはずなので、私達はそう言う星の巡りだったんだと考える事にしています。
親子関係に幸薄いアキさん。
お義母さんは若くして病気で亡くなり、お義父さんとは車で10分の距離に住んでいるのに疎遠。
嫁ぎ先の親戚との付き合いは最初の2~3年はとても面倒くさかったけど、親戚中で揉め事が起こって絶縁状態に(楽になったぜ!)
両親にも親戚にも縁に恵まれなかったからか、代わりに私の親兄弟+兄弟の家族達をとても大事にしてくれるアキさん。
特に実母が亡くなっているからか、私の母が体を壊して入院したりすると本当の母のように心配したり泣いたり世話を焼いたりしてくれる。
父の事も、母ほどではないけれどそこそこ?大事にしてくれている。
兄2人と兄嫁とも仲が良く、遊べ遊べとせがむ甥っ子達の相手もソツ無くこなす(そんな甥っ子達ももう成人と中学生)
普段は大人しいけれど、お酒が大好きで飲むと陽気になって、面白い事を言ってみんなを笑わせてくれるアキさん。
大酒呑みの集まりみたいな我が血筋に無理しなくても余裕で溶け込めるアルコール分解酵素の持ち主(笑)
なのに自分の父親や親戚の前では無口でニコリともしないアキさん。
いつも仏頂面。当然ながら向こうからも好かれない。
元々疎遠だった親戚関係。それすら切れた親戚関係。
私は性格があまりよろしくないので、アキさんが私達にだけ見せてくれる優しくて面白い素の姿は特別なんだなって優越感に浸れます(性格悪いどころの騒ぎじゃないな?)
観葉植物が好きなアキさん。
会社で枯れかけて庭に捨てられてたユッカとか、ホムセンで枯れかけて50円で投げ売りされてるようなローズマリーとか買って来て上手に育てる。
私が「ミニトマト腐らせちゃった!」と言ったら、その腐りトマトをこっそり回収して種を取って自室で植えて、背丈は小さいながらも収穫できるくらいに育てちゃう。
月兎耳やサンスベリアを延々と増やして収集つかなくなっちゃう。
小さい動物が好きなアキさん。
ふたりで出掛けるようになって間もなしの頃、近所のホムセンのペットショップで、ケンカして片耳が無くなって投げ売りされているハムスターがいた。
2人とも後ろ髪を引かれる思いで帰宅した。
![](https://assets.st-note.com/img/1728368131-mAM3FUpoiHyEbf2D4P8WdveT.jpg)
画像が荒いのは時代のせい……。
次の日に私はもう一度ペットショップに行って、生まれて初めてのハムスターを飼った。めちゃくちゃ可愛かった。
それから度々、一緒に出掛けた先で売れ残りの子を見掛けると連れて帰るように。
そう。連れて帰るのはいつも売れ残り。
売れ残りを見ると動物でも植物でも可哀想になってしまう優しいアキさん。
私は実家で飼っていたハムスター2匹と共に嫁入りし、その後もアキさんと新しく迎えたり見送ったりしながらハムスターやジャービルにデグー、現在はモルモットと暮らしている。
可愛い可愛い小さな家族に異常が有れば、片道2時間半かけて車を飛ばして獣医さんへ連れて行ってくれるアキさん(田舎なので犬猫以外の獣医さんが無い)
デグーが老衰で介護が必要になった頃、ペレットをふやかしてゆっくりゆっくり一粒ずつ口に運び、食事の介助をしてくれる。
朝昼晩と1時間ずつ掛かるので手伝ってもらえるととても助かる。
後ろ足が麻痺してしまったデグーの足をさすったり曲げ伸ばししたりしてリハビリしてくれた(片足だけ蹴りを食らわしてくるまでに回復)
この子は最後の2年半、1ヶ月おきに通院していたので運転が得意じゃない私はアキ様様!って感じだった。
惜しみなくペットに愛情を注ぐアキさん。
大柄なアキさんが小さいネズミーズを手のひらに乗せて愛でている姿はとても微笑ましくて可愛かった。
さて。
実は、そんな優しくて愛情深いアキさんと別居生活を始めて早3か月になります。
そこに至るまでの1年半、私がどんなにアキさんとこれからもずっと一緒にいたいと泣いても叫んでも、別居は避けられない未来であり現実でした。
今となっては私達はもう違う世界の住人です。
文字通り、あの世とこの世と言う別々の世界に、病魔によって引き裂かれてしまったからです。
どんなに一緒に居たくても、アキさんを追ってあちらの住人にはなれません。
なろうとも思っていません。
今、私がアキさんと一緒にいる事を選んでしまったら悲しむ人がいてくれる間は、あちらには逝けません。
大好きなアキさん。
自分が逝く事よりも置いて行く私の心配をしていたアキさん。
昔、私が流しの占い師に言われた「守護霊が居ない」と言うネタのように言った話を思い出して「まだ空席だったら俺が憑いてあげるから」って言ったアキさん。
基本的に約束は破らないアキさん。
「来年の結婚記念日は分からないけど、今年の私の誕生日は一緒にいるよ」って言ったのに、珍しく約束を破ったアキさん。プンスコ。
来週、納骨します。