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マディソン郡の橋ーcovered bridges

 前回投稿した「大阪 水の都」の中で取り上げた四ツ橋、この四ツ橋を舞台にした江戸の恋愛コメディー「四ツ橋心中」というお芝居を偶然二十年近く前になるでしょうか、観ていました。四ツ橋のことなど何も知らないし、特別の興味もなかった頃で、桂三枝(現在の桂文枝)さんの軽やかな身のこなしと、かとうかず子さんの艶やかな立ち姿が印象に残っています。
 そういえば、橋と恋愛の物語、結構ありますね。

<橋と男女の恋愛をテーマにした作品>

 ①「哀愁」
 1940年の映画
原題は “Waterloo Bridge”  主演の ヴィヴィアン・リーとロバート・テイラーのポスターをどこかで見たことはないでしょうか?
 ちなみに Waterloo(ウォータールウ)はフランス語ではワーテルロー。イギリスなどの連合軍がベルギーのワーテルローでナポレオン軍に勝利したワーテルローの戦いは有名です。この史実にちなんででしょうか、Watarlooという地名はたくさん見られます。

 ②「君の名は」(「君の名は。」ではありません)
 ラジオドラマ 1952年から1954年 98回放送 
 放送時間帯になると「銭湯の女湯ががら空きになる」と伝説のように語り伝えられています。舞台となった数寄屋橋は自動車用道路建設のため1958年に撤去、今は原作者、菊田一夫による「数寄屋橋 此処に ありき」という石碑が立てられています。

 ③ 「あの橋の畔(たもと)で」
 テレビドラマ 1972年に19話放送された。原作は菊田一夫
 あの橋とは、東京 御茶ノ水 聖橋(ひじりばし)で、関東大震災後に建造され現存するコンクリートの橋です。

     そして
 ❹「マディソン郡の橋」

原題は ”The Bridges of Madison County”
 小説の発表は1992年、映画化は1995年
 物語の内容についてはnoteにいくつも投稿がありますのでチェックしてみてください。この小説、そして映画によってマディソン郡は大いに湧き立ったようです。

<Covered Bridgeとはどんな橋>

 私の手元に少し資料があります。  
英語に勉強になればとアメリカの住宅建設に関する雑誌を買っていたことがありました。写真が豊富で、家を建てるにあたっての物語があり、技術的なことも学べるのではと期待したのですが、成果はどうだったでしょうか。
 住宅なのになぜ橋の記事が、と疑問に思うかもしれませんが、木造の家と木造の橋は工法に共通点が多いからだと思われます。

 🪵 covered bridgesの起源は古く、スイスと北イタリアの森林地帯で14世紀に出現している。屋根だけある橋に限れば、さらにさかのぼる。
 16世紀イタリア人の建築家 Andrea Palladio が アーチ、トラス、柱からなる木製の橋の設計集を発表し、およそ200年後 イングランドで広まり、アメリカに伝わった。
 アメリカでの最初の橋は1805年にフィラデルフィアで造られた。
 アイオワ州のマディソン郡では1870年台から1880年台に建造された。

 🪵 橋脚は立てず、川の岸と岸との間に渡した木材を安定して堅固に繋ぐため、様々な工夫がされている(ブレース-brace, トラス-truss,  弦-chordなどの活用)。
 内部は壁面、天井ともに部材がXを形作るように木材がめぐらされていて、伝統的な木骨 ( timber-frame)造りが好きな人には見逃せない構造物となっている。
 橋の建造には地域の農家の人たちが参加し、それが人頭税として納められた。

 * 建築用語に疎いのでイメージが掴めず、橋の画像を検索したのですが、covered bridges の構造がわかるものが見つかりません。諦めかけていたのですが、アメリカ制覇!さんが2019年8月に現地を訪れた時の写真の中に橋の裏側が写り込んでいる一枚を発見!鮮明ではありませんが、役に立ちました‼️

 🪵 橋の内部には教会からのお知らせ、商売をする人の宣伝などが貼り付けられ、教会のピクニックが雨に降られれば橋の中で集まり、恋人たちの待ち合わせの場所にもなった。
 covered bridgesはペンシルベニア州、オハイオ州に多く見られる。小説、映画で取り上げられたアイオワ州マディソン郡には当初19 か所あったがその後6か所となり 、現在そのすべてが国の歴史登録財となっている。
 映画に登場する、ただ一つ車が乗り入れ可能な橋は Cedar Covered  Bridgeで、橋の名前は通常、橋に一番近い住人の名をつけた。

 🪵マディソン郡のcovered bridges についてはthe Madison County Chamber of Commerce(商工会議所)に問い合わせを。

TIMBER HOMES ILLUSTRATED FEBRUARY 2002を参照
タイトルの写真はwikipediaより

マディソン郡の the Chamber of Commerce/Tourism をネットで調べた時にこのマークが出て来ます。

 ❣️多くの人の紅涙(こうるいー女の涙)を絞った、橋と恋の物語。川の端(はし)と端を繋ぐ橋での出会いと別れ。この先も素敵な作品がきっと生まれるでしょう。

 ❣️古い上に、あまりにも当たり前で、誰も特別扱いしない、けれど大切な存在(マディソン郡の橋のように)。いつどんな光が当てられるか分かりません。大切にしましょう。


 * covered bridgeの日本語訳がまだないようなので英語のままにしました。


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