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2024年ノーベル経済学賞にダロン・アセモグル氏ら

 先日ノーベル経済学賞の受賞者が発表されました。マサチューセッツ工科大学のダロン・アセモグル教授、サイモン・ジョンソン教授、シカゴ大学のジェームズ・ロビンソン教授の3氏です。受賞理由は「制度がどのように形成され、国家の繁栄に影響を与えるかの研究」です。

  この切り抜きは10年前のもので(日本経済新聞 2014年1月20日)、ダロン・アセモグル氏の研究を紹介しています。当時、ざっと目を通した際に、何か捨てがたく感じたのでしょう、後日ゆっくり読むつもりで保存していました。気がついたらなんと10年の月日が流れていて🤣、もう捨ててもいいかな、内容はもう古くなっているだろうしと思っていた時にアセモグル氏のノーベル経済学賞受賞の報に接しました。よく読んでみると、古いどころか、とても刺激的でした。

 印象に残った部分を書き出してみます。

…米国における所得格差の拡大は、教育機会の平等など包括的な制度の維持を阻害している。一握りがあまりにも豊かで強大になり、税制、金融規制、労働行政といった分野で政治的な影響力を行使し、格差を是正するための政策を困難にしている。
 < 包括的制度とは、この記事の最初の部分に、幅広い政治参加法と秩序の確立財産権の保障市場経済を伴う、と説明されています。>

 ✍️  2024年の日本において「所得格差」、「貧困」という言葉は稀に聞かれる言葉ではなく、定着した感があります。でもそれはおかしいと思います。定着する前に、もっと早い時期に格差を是正する政策を柔軟に打てなかったのでしょうか。日本にもあまりにも豊かで強大な一握りが存在するのでしょうか。

米国家安全保障局(NSA)による膨大な情報収集、日本における特定秘密保護法制定など国家が情報技術を駆使して国民を監視したり、情報を独占したりする動きも懸念される。そのような社会は自由な言論や創作、イノベーションを阻害するからだ。

 ✍️  マスコミが弱体化しているとか、SNS、動画サイトでの発言がバン (ban /禁止、停止)される、ということがしばしば聞かれます。なんでやねん😠(なぜか関西弁)と言いたくなります。

 ✍️ イノベーション(innovation /技術革新、経営革新〜)という言葉、なんとなくわかったつもりでいますが、改めて調べてみました。
動詞 innovate ⬅️ 16世紀ラテン語 innovāre/ to renew ⬅️ in+novāre/ to make new  ⬅️ novus/new
16世紀頃にできた言葉で、意外と新しいように思いました。ついでに16世紀に何があったのかを改めて知りたくなりました。 
⚪︎ 大航海時代  
⚪︎ ルターの宗教改革 
⚪︎ イエズス会創立 
⚪︎ ノストラダムスの予言  
⚪︎ コペルニクス地動説発表 など
おそらく、こんな大きな変化が背景にあって生まれた言葉で、技術革新、経営革新よりもっと大きな現象を表す言葉かもしれません。

中世に地中海貿易で栄えたベネチアは、既存のエリート層が政治権力の独占を強める過程で、警官隊を創設するなど圧政を敷いた。財産を持たない若者でも参入することができた貿易業務を国営化したため、成長は鈍り、人口も減少した。このかつての経済大国はいま、世界中から観光客を集める“博物館"に変貌した。ベネチアのたどった道は、包括的な制度が覆されれば繁栄は反転しかねないという事実を想起させる。 

 ✍️  これって今の日本にピッタリと当てはまりませんか。
 この30年間、経済は落ち込み、人口は減少していると言われています。
 冤罪が無実の人を苦しめ、若者がいとも簡単に特殊詐欺と言われる犯罪に関わってしまうなど、法と秩序が揺らいでいます。また、モリ、カケ、サクラに代表される政治的なおかしな出来事(すっきりと解決したと思っている人は少ないと思います)がいくつもありました。またコロナ禍を振り返っての検証はどうなっているのでしょうか。最近では裏金・脱税議員の存在など、どれもこれも既存のエリート層の政治権力の独占に根っ子があるのではないでしょうか。

 ✍️ 海外からの観光客の増大に浮かれていてはいけません。おいしい食べ物、美しい景色に大喜びする外国の人々、それを迎える日本人は監視社会の中で夢を持てず、寂しい顔をしている。
 🙏日本が第二のベネツィアのようになりませんように。


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