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ストリートチルドレンができるまで

玄関の鍵は2個あったが、きっちり2個閉めたうえにチェーンロックまでして閉め出さられた。
家に入ったら泥棒扱いされ、しょっちゅう家に入れなかった。

毎日夜中まで窓を叩いていたので、近所中知ってたはずだ。
私はどこからかハシゴを持ってきて、2階に伸ばし、あらゆる窓を外せないか毎日試した。

その内馬鹿らしくなって諦めた。

夏はどうにでもなる。
問題は冬なのだ。
私は田舎出身なので店なんて早くに閉まってしまう。
公衆電話は下が開いていて、足を上に上げながらどうにか寝ようとするが、眠れるはずかないし寒すぎる。

塀の角は意外とあったかかった。
でも隣の家の食卓の笑い声が聞こえて来て心が持たなくて夜の道を逃げ出した。

田舎の道は本当に暗い。
しかし、私は子供の頃から全く夜道が怖くなかった。
夜にいつも行動してたからだ。
1番怖かったのは他人の家のあったかい明かりと笑い声。
本当に苦しくて、家がない方を選んで歩いた。
学校にも何度も忍び込んだけど、全く平気だった。
いや、学校は少しは怖かったのかもしれない。
きっと凍えて死ぬより怖くて生きてる方を選んだだけなんだろう。

そのうち廃車置き場にある、鍵の開いた車を見つけ、そこに住むようになった。
車の中に草が生えてたけど、寒さも少しは防げるし、雨も大丈夫。
こうして私はストリートチルドレンになったのだ。

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