読書メモ:『みいちゃんと山田さん』
ペケッター連載中の『みいちゃんと山田さん』を読んでいる。
作者のダイアナさんが描かれる漫画はTLでよく見かけていたのだが、あまり興味がわかなかった。
性的価値を換金する女性目線の話が主だと思う(他にもあったらすみません)。
私自身そういう仕事に絶望的に向いてなかったこともあり、縁のない世界だな…程度に眺めていた。
『みいちゃんと山田さん』もいわばその手の話、なのだけれど、みいちゃんの設定に惹かれてしまって読むことを止められない状態になっている。
・12ヶ月後に殺される
・貞操観念が皆無
・恐怖感情が希薄(たぶん"嫌だな"ぐらい)
・性的価値の対価に求めるものが承認
・言動が幼稚
・バカにされることを嫌がるが理解はしている
・禁忌の子(←new!)
現在8ヶ月目。
本人に悲壮感が窺えないところに好感を持っている。そこまでの知能がないといえばそれまでなのだけれど、自分を被害者として認識できない…というのは幸せに生きるための才能なのかもしれない(死ぬけど)。
*
みいちゃんの幼なじみのムウちゃんが出演する回で、以下のようなモノローグが入る。
万引きの前科がつく代わりに掬われるムウちゃん。
万引きしてもちんちん舐めて許される代わりに網の目に引っかからないみいちゃん。
対比が際立っていた。
近親交配の末に産まれ、どういう経験を経て山田さんと出会ったかはわからない(まだそこまで明かされてない)みいちゃんの、残り4ヶ月の人生。
彼女が生きている間に、疑問は解けるんだろうか。
私は、今まで疑問にも思ってなかったことが気になり始めてしまった。
なぜ近親相姦がここまで忌避されているのか。
先天異常の出やすい高齢出産が許容され、先天異常の出やすい障害者同士の結婚が認められ、LGBTが理解増進される時代に"どうしてダメなの?"
と、昨晩酔っ払いながらブツブツ言ってたら、リプライをいただけてうれしかったです。ありがとうございます!
ずっと昔に近親婚が盛んだった時代があり、そこで先天異常を持って産まれる子供が多く確認された。
原因が近親交配にあると気付いた人々が、近親相姦を呪われた行為、禁忌として語り継いだ結果の今。
民法で近親婚が禁止されているのは、そういった昔ながらの優生思想からきているらしい。
ただ、近親相姦自体やそれによって産まれてきた子に法的な罪はない。
それでも彼らは『道徳的な』罪を負う。
私は何の疑問もなく、それを受け入れている。
さらに言うなら、彼らを救おうと「近親相姦を認めろ!近親婚ができないのは人権侵害!」と叫ぶ活動家はいないし、故に彼らはマイノリティである権利もない。
同性愛の近親相姦なら認めるべきである(子供が産まれないので問題ない)…ぐらいのことは言う人がいるかもしれない、と思ったが、優生思想も同時に発露するのでやっぱりいないかもしれない。
*
それはさておき。
最後に、一番のお気に入りシーンを紹介したい。
3ヶ月目、4ページ。
立ちんぼ佇む雪景色。
美しい構図、美しい表情。
彼女が誰になぜどうやって殺されるのか、結末を楽しみにしています。
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