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メカトロニクス化が産業に与えた影響 2/2

こんにちは。イノカドです。

前回は日本企業の視点からメカトロニクス化を考えましたが、ここからは、欧米のライバル企業の視点でメカトロニクス化を考えてみましょう。

欧米企業は、日本のメカトロニクス製品に圧倒され、市場を奪われてしましました。どうすれば、この難局を切り生き残ることができるのでしょうか?

6. QCDを考えてみよう

基本に立ち返りQCDに沿って考えてみましょう。

まず、Q(品質)について考えましょう。品質は会社の技術力や、部品メーカの品質に左右されます。

製品の品質で欧米企業は日本企業に負けているのでしょうか?決してそんなことはありません。その証拠にアメリカを始めとする先進国は、多くのノーベル賞受賞者を排出しています。

これらの国は技術力を喪失したわけではありません。事実、トランジスタやレーザなどの革新的な製品を発明したのは日本ではなく、欧米諸国の場合が多かったのです。

日本企業は欧米企業の発明した製品の改良や量産を得意としており、基礎的な開発力では欧米企業に負けていたのです。

実は、日本企業は、この弱点を量産技術で補い、基本特許をクロスライセンスと呼ばれる方法で取得していたのです。

次に、C(価格)とD(≒量産性)を考えましょう。価格に関しては、日本の人件費の方が安いため、製品の価格で勝負することは難しそうです。

量産性はどうでしょうか。量産性を向上させるためには最新の製造ラインを導入する必要があります。これを実行するためには、既存のラインを改造する費用がかかる上に、実行しても成功するとは限りません。本業で儲かっていないのですから、リスクを取って量産性を向上させることも難しそうです。

7. 欧米企業の生存戦略

まとめますと、QCDの内、日本企業に勝てそうなのはQで、C・Dで勝つのは難しそうです。やはり、日本企業に勝つのは不可能なのでしょうか?

そんなことはありません。方法は3つあります。1つ目は、日本企業と戦うことを避けることです。開発力を生かし、日本企業の居ない分野に脱出するのです。

2つ目は、自国での製造を諦め、日本よりも人件費の安い国に製造拠点を移すことです。欧米企業は製造拠点を人件費の安い中国や東南アジアに移していきました。

3つ目は、自社で製品を作ることを辞め、他社に製造を任せることです。つまり、製造業であることを捨て、自社は開発にのみ専念するということです。

アメリカは意図的に3つ目に方向転換したと個人的には思えます。

事実、インターネットを作った国ですし、AppleやGoogle・Microsoft は自社でモノを作らず、開発に専念しています。

8. メカトロニク化とアジア諸国

ところで、アジア諸国はどうしていたのでしょうか?実は、メカトロニクス化の進展は、部品のモジュール化が進むことと同義でもあるのです。

つまり、部品が標準化され、素人でもある程度の製品が組み立てるられるようになるということです。極論すれば、製造業がプラモデルの組み立てになるということです。

製造側としては、部品メーカに要望を伝えるだけで良くなっていくのです。もちろん、部品メーカには相応の技術力が求められますが。

アジア諸国にとっては、テレビやパソコンのような高度な製品であっても、ヒトとカネを集めて外国から部品を買えば製造業を興せるということを意味します。

流石に素人集団では製造業を回せないですが、工場が先進国から移転されたことにより、量産技術をアジア諸国は貪欲に吸収していきました。

これは、日本が追う側ではなく追われる側になったことを意味します。今度は、日本企業がメカトロニクス化の脅威にさらされることになったのです。

機械屋の端くれとして認めたく無い事実ですが、歴史を振り返ると、製造業で日本がかつてのような成功を修めることは難しいと思います。

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